おむつなし育児(EC)って実際どうなの?おまるやおむつは必要?|助産師監修
助産師監修|おむつなし育児は、おむつを外して赤ちゃんに快適に排せつをさせてあげる方法のことで、ECともいいます。上手に排せつを促してあげることができれば、赤ちゃんにとってもママやパパにとってもメリットがたくさんありますよ。ここでは、おむつなし育児の方法をわかりやすく紹介します。
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目次
おむつなし育児(EC)とは?
「おむつなし育児」とは、赤ちゃんがおむつの外で自然に排せつをする機会を増やす育児法で、EC(Elimination Communication)といわれることもあります。
おむつなし育児では、赤ちゃんがおしっこやうんちをしたそうなサインやタイミングに気付いたら、おむつを外しておむつの外に排せつをさせてあげます。
おむつなし育児の目的
最近の紙おむつは性能が良くなってはいるものの、おしっこやうんちをすれば赤ちゃんはお尻が濡れて気持ちが悪いでしょう。おむつなし育児は、赤ちゃんがおむつの外で排せつする機会を増やすことで、赤ちゃんを気持ちよく過ごさせてあげることを目的としています。
ママやパパが赤ちゃんのおしっこやうんちのタイミングを観察することで、赤ちゃんの気持ちを理解しやすくなるといわれています。おむつなし育児を通じて、赤ちゃんとママやパパが楽しくコミュニケーションをとることができると良いですね。
おむつなし育児ではおむつを使わないの?
「おむつなし育児」というと「おむつを使わない育児」というイメージを抱く人が多いかもしれません。おむつを付けずにうんちやおしっこを垂れ流し状態にするのであれば不衛生なのではないかと心配になってしまいますよね。
しかし実際は、おむつなし育児をしていても、普段は赤ちゃんにおむつをはかせて過ごさせることが一般的です。
おむつなし育児はトイレトレーニングとは違うの?
おむつなし育児は、小さいうちからおむつの外で排せつをすることから「早すぎるトイレトレーニング」と誤解され、批判されることが多いようです。しかし、おむつなし育児はトイレで排せつできるようになることを目的に行うものではありません。
実際、おむつなし育児をしている子であっても、おむつ外れが早いとは限りません。
おむつなし育児のメリット
おむつなし育児は、上手に取り入れれば赤ちゃんにとってもママやパパにとってもメリットがある育児方法です。おむつなし育児のメリットを紹介します。
親子のコミュニケーションの機会が増える
おむつなし育児では、赤ちゃんの排せつのサインやタイミングを見極めることが大切です。そのため赤ちゃんの様子をしっかりと観察することが必要になり、ママやパパが赤ちゃんの気持ちを理解しやすくなるといわれています。赤ちゃんの望むことがわかるようになることは、ママやパパの育児の自信につながるかもしれませんね。
小さな赤ちゃんの場合、おしっこやうんちをするときは、おまるに座らせたり身体を支えてあげたりと大人のサポートが必要になります。自然に赤ちゃんに声かけをすることで、親子のコミュニケーションの機会が増えるのも大きなメリットですね。
おむつなし育児を行うときは、赤ちゃんの様子を注意深く観察する必要があります。赤ちゃんを見る時間が増えたことで、赤ちゃんの欲求のサインを見逃すことが少なくなったように感じました。
赤ちゃんのおしりが気持ち良い
紙おむつは吸水力に優れていますが、長時間はかせていると、おしっこやうんちの汚れや蒸れなどによってお尻がかぶれてしまうことがあります。おむつなし育児では、排せつ物がお尻にべったりと付いてしまうことが少ないため、赤ちゃんが気持ち良く過ごすことができますよ。
おむつ代が節約でき、ゴミも減る
おむつなし育児では、おむつの外でうんちやおしっこをさせるため、紙おむつの使用枚数が少なくなります。そのためおむつ代の節約につながりますね。紙おむつのゴミが減るので、パパやママのゴミ捨ての負担が軽減されるでしょう。ゴミが減らせるので環境にも優しい点がうれしいですね。
トイレトレーニングが進めやすい
赤ちゃんが小さいころからおむつの外にうんちやおしっこをする習慣を身に付けていると、排せつコントロールが身に付きやすいといわれています。おむつなし育児でおむつ外れの時期が早くなるわけではないものの、トイレトレーニングが進みやすい傾向にあるようです。
2歳になってからはおまるを卒業し「これからはトイレでしようね」と言い聞かせました。すると、その後は数回おもらしやおねしょはありましたが、すんなりとトイレトレーニングが完了したのです。
おむつなし育児はいつからはじめる?新生児でもできるの?
おむつなし育児は、いつからでも始めることができます。
新生児からおむつなし育児を始めても問題ありません。ただし、産後まもなくはママの身体が十分に回復していないため、おむつなし育児の負担が大きくなってしまうことがあります。無理はしないように気を付けてくださいね。
おすすめは生後2~5ヶ月頃に始めることです。まだ自由に身体を動かすことができない時期の赤ちゃんは、排せつのサインがわかりやすいことが多いため、おむつなし育児が始めやすいでしょう。
また首がすわるとおまるや補助便座に赤ちゃんを座らせやすいため、おむつなし育児が楽になるかもしれませんね。
おむつなし育児のやり方
おむつなし育児は、どのような方法で進めていけば良いのでしょうか。おむつなし育児の具体的な方法を紹介します。
1.排せつのタイミングやサインを観察する
赤ちゃんはうんちやおしっこをする前に、サインを出すことがあります。また寝起きや外出前後、授乳前後などのタイミングでうんちやおしっこが出ることも多いでしょう。
よくある赤ちゃんの排せつのサインやタイミングは、以下の通りです。
排せつのサイン | 排せつのタイミング |
---|---|
・泣く ・身体を震わせる ・表情をかたくする ・落ち着きがなくなる ・ママやパパをじっと見つめる ・抱っこ・おんぶのときにのけぞる | ・目を覚ましたばかりのとき ・おんぶやだっこから降ろされたとき ・授乳中(食事中) ・授乳後(食事後) ・外出の前後 ・お風呂の前後 ・寝る前 |
赤ちゃんの様子を注意深く観察していると、排せつのサインが徐々にわかるようになっていくでしょう。排せつのサインやタイミングを見極め、赤ちゃんに「おしっこ出るかな」などと声掛けをしておむつを外してあげてください。
生後6ヶ月以降の赤ちゃんには、ベビーサインを教えるのもおすすめです。ベビーサインとは手や指を使った簡単なジェスチャーによって、赤ちゃんと会話する方法のことをいいます。赤ちゃんとのコミュニケーションが楽になるかもしれません。
2.赤ちゃんを排せつしやすい姿勢にしてあげる
赤ちゃんのおむつを外したら、排せつをする場所で赤ちゃんが楽におしっこやうんちをしやすい姿勢にしてあげましょう。排せつしやすい姿勢は、赤ちゃんによって異なります。また成長によっても排せつしやすい姿勢は変わるため、赤ちゃんにとって最適な姿勢を探してあげてください。
赤ちゃんにおしっこやうんちをさせるときは「しーしー」「うーん」などと声掛けしてあげると良いですね。いつも同じ場所で排せつさせるようにすると、赤ちゃんがおしっこやうんちに成功しやすいかもしれません。
3.赤ちゃんのお尻を拭く
おむつの外でおしっこやうんちをするとお尻はあまり汚れませんが、それでもさっと拭いてきれいにしてあげる必要があります。赤ちゃんのデリケートな肌に合わせて作られたおしりふきを使うと、市販のトイレットペーパーより肌への負担が少ないでしょう。
4.排せつ物を処理する
赤ちゃんのうんちやおしっこを処理します。赤ちゃんがおもらしをしたら、床を雑巾や古タオルなどで拭いてきれいにしてくださいね。においや汚れが気になるときは、重曹やクエン酸を活用すると良いでしょう。
おむつなし育児ではおまるに排せつさせるの?
おむつなし育児はトイレトレーニングではないため、排せつ場所をトイレやおまるにこだわる必要はありません。おむつなし育児をしているママやパパは下記のような場所で赤ちゃんにおしっこやうんちをさせているようです。
おまるや洗面器
赤ちゃんが小さいうちには頻繁におしっこやうんちをするため、部屋の中に置いておけるおまるがあると便利です。赤ちゃんが自分でお座りできるようになるまでは、洗面器もおすすめです。軽くてさっと赤ちゃんのおまたにあてられるうえ、お手入れもしやすいですよ。
トイレ
赤ちゃんが新生児のころからトイレで排せつさせることが可能です。トイレで排せつさせるときには、大人がしっかり身体を支えてあげましょう。
赤ちゃんがトイレに座れるようになってからは、補助便座があると便利です。前にハンドルが付いていないタイプの補助便座のほうが、赤ちゃんを手早く座らせることができるでしょう。
開いたおむつの中
赤ちゃんがおしっこやうんちをしそうなサインに気付いたら、おむつを開いてその上で排せつさせることもできます。おむつの節約にはつながらないものの、その場でできるので手軽ですね。おしっこやうんちが飛ばないように気を付けてください。
おむつなし育児をするときの注意点
おむつなし育児には多くのメリットがある一方、ママやパパが頑張りすぎると疲れてしまうことがあります。また無理をすることで、周囲から批判されることがあるかもしれません。以下の点を参考に、無理なくおむつなし育児を取り入れてみてください。
うまくできなくても気にしない
おむつなし育児を続けていても、赤ちゃんのおしっこやうんちのタイミングがわからず、赤ちゃんがおむつの中にうんちやおしっこをすることはよくあることです。赤ちゃんがおむつの中に排せつしないことがおむつなし育児の目的ではないので、うまくできなくても気にする必要はありません。
また、赤ちゃんがパパやママが決めた場所で赤ちゃんがおしっこやうんちをしてくれるとは限りません。そのためおもらしの片付けや洗濯など、お世話の負担が多くなってしまうことがあります。
もしおむつなし育児の手間がパパやママのストレスになってしまうなら、おむつなし育児を行う時間を減らしてみても良いですね。
長女が0歳児から通っている保育園は布おむつを採用していました。せっかくなら家でも布おむつを取り入れてみようと、気持ちに余裕があるときに布おむつやおむつなし育児を実践してみました。
「やりたいと思ったときだけやる」という、ゆったりとしたおむつなし育児でしたが、結果として親子ともにあまり負担を感じることなく、おむつなしで過ごす時間を楽しむことができました。
外出先では周囲に配慮する
普段おむつなし育児がうまくいっていると、外出先で赤ちゃんにおむつの中でおしっこやうんちをさせるのをためらってしまうかもしれませんね。しかし、公園の茂みなど排せつに不適切な場所でおしっこやうんちをさせては、周囲の人に迷惑をかけてしまします。
おむつなし育児を実践するときは、周囲に迷惑をかけないように心掛けることが大切です。外出時は、おむつに排せつしてもらうように赤ちゃんに言い聞かせてもよいですね。
保育園ではおむつなし育児にこだわらない
子どもを保育園に通わせる場合、トイレトレーニング完了まではおむつを着用することが一般的です。「保育園では先生が忙しいからおむつでおしっこやうんちをしてね」「家ではおむつの外でおしっこやうんちをしようね」など、子どもにしっかりと言い聞かせるようにしましょう。
どうしてもおむつなし育児にこだわりたい場合は、おむつなし育児を取り入れている保育園を探してみてもよいかもしれませんね。
こだわりすぎると批判につながることも!
おむつなし育児は日本ではメジャーな育児ではないため、周囲の理解を得られない可能性があります。実際おむつなし育児には、批判の声が少なくありません。
おむつなし育児はその名前から「おむつを使わない育児」というイメージが強く、不衛生だという意見もあげられています。また「早すぎるトイレトレーニング」と誤解され、批判されることが多いようです。
なかには、おむつなし育児にこだわるあまり、お友だちの家でもおむつを使わずに過ごしているケースや、子ども用トイレがない外出先でも子どもにおしっこやうんちをさせるケースなどもあるようです。こだわりすぎると、ますます周囲の理解が得られなくなることがあるため、無理しすぎないようにしてくださいね。
おむつなし育児に関する本
おむつなし育児について、もっと詳しく知りたい場合は以下の本をチェックしてみてはいかがでしょうか。
失敗談・続けるコツも紹介「やってみよう!おむつなし育児」
おむつなし育児を通じて、身体も心もたくましい子どもに育てることを目標とした、心温まる一冊です。失敗談や長く続けるコツなど、おむつなし育児を始めるうえで気になる情報がたっぷり紹介されています。
専門家による指南書「赤ちゃんにおむつはいらない」
「かつては実践されていたおむつを使わない育児が、なぜ変わっていったのか」と、育児を「負担」にしている現在の社会のあり方について疑問を投げかけた一冊です。現代の親子がおむつなし育児に挑戦した様子を通して、常識にふりまわされることのない育児方法について提案しています。
意気込み過ぎないことが大切
赤ちゃんのためにおむつなし育児を徹底しようとパパやママが頑張りすぎると、なかなかうまくいかずにイライラしたり、がっかりしてやる気をなくしたりしてしまうことがあるかもしれません。さらにそんなママの感情が赤ちゃんに伝わり、赤ちゃんが不安になってしまったり、快適に排せつできなくなってしまったりしては本末転倒です。
あまり意気込み過ぎず「赤ちゃんが気持ちよく過ごしてくれれば良いな」という温かい気持ちで実践してみましょう。焦らずに赤ちゃんとコミュニケーションをたくさんとってあげることが、おむつなし育児成功への一番の方法といえるでしょう。