【助産師・保育士監修】粉ミルクの作り方は?調乳用の水や温度はどうする?注意点は?
粉ミルクは、お湯に溶かすだけで赤ちゃんにミルクをあげられるママの強い味方です。しかし、基本的な作り方の手順は、知っているようで知らないという方が案外多いかもしれません。ここでは、粉ミルクの温度や量、作り方のコツ、赤ちゃんに飲ませるときの注意点のほか、毎日のミルク作りを便利にしてくれるアイテムをご紹介します。
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目次
粉ミルクの種類と成分
粉ミルクの種類
一般的な粉ミルクは、「乳児用調製粉乳」と呼ばれ、食品衛生法で「調製粉乳」に分類されています。調製粉乳には、他にフォローアップミルク、低出生体重児用粉乳があります。(※1)
粉ミルクの成分
粉ミルクの原料は主に牛乳で、母乳に近づけるよう、栄養成分の置換や強化、除去といった改良がされています。母乳の代替品として粉ミルクがあるので、厚生労働省の「乳児用調製粉乳たる表示の許可基準」により基本的な成分や量が決められています。
粉ミルクの基本的な成分は、どのメーカーの粉ミルクも同じですが、メーカーによって配合されている成分が多少異なります。タンパク質のラクトフェリンや、ビタミン類、オリゴ糖などが含まれています。
アレルギーがある赤ちゃん用には、主に大豆を原料にして作られた「大豆蛋白調整乳」など、アレルギー対応の粉ミルクも販売されています。
離乳期から飲ませることができるフォローアップミルクは、離乳食では不足しがちな栄養素を補う成分が多く含まれています。
粉ミルクの作り方!温度と量は?
粉ミルクの作り方は、ざっくりいうと「粉ミルクをお湯で溶かす」だけの簡単なものです。しかし、はじめてだと粉ミルクの作り方がわからず、作る手順、粉ミルクを溶かすお湯の温度、粉ミルクの量などに戸惑うこともあるでしょう。
しかも、世界保健機関(WHO)及び国連食糧農業機関(FAO)が「乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドライン」を作成するほど、粉ミルクの作り方と保存には注意が必要なのです。(※2)
粉ミルクメーカーや育児書などによっても、粉ミルクの作り方の手順は多少異なりますが、一般的な粉ミルクの作り方を紹介します。
一般的な粉ミルクの作り方
基本的な粉ミルクの作り方をご紹介します。粉ミルクを使用する前に、哺乳瓶など必要なアイテムを消毒し、しっかりと手を洗った状態でミルクを作り始めます。一般的な粉ミルクの作り方は以下になります。
1.必要な器具を準備します。粉ミルク、専用スプーン、お湯、哺乳瓶、タオルなどです。
2.専用スプーンを使い、必要な粉ミルクを哺乳瓶の中に入れます。ミルク缶などに付いているすりきりを使用すると正確に粉ミルクを入れられます。
3.作りたいミルク量の約半分~2/3の量のお湯を入れます。使用するお湯の温度は、沸騰済の70℃以上のものを使います。
4.哺乳瓶を振り粉ミルクを溶かします。哺乳瓶はとても熱いので、タオルを巻いて瓶の底を回すようにして溶かすと安心です。できあがり量になるように不足分のお湯を入れて、乳首などの部品を取り付けて溶かします。
5.水道で水を出しながら冷ましたり、水を入れた容器の中に哺乳瓶を入れて冷ましたりします。温度の確認方法は、ママの腕の内側に哺乳瓶を当てたり、実際にミルクを垂らしたりして温度を確認しましょう。37℃程度の体温程度の温度に冷ましたら完成です。
粉ミルクがキューブ型になっているものや、スティックタイプになっている場合はパッケージなどを確認して必要量を哺乳瓶に入れるようにしましょう。実際に粉ミルクを作るときは、商品パッケージなどを確認してから作るようにしてくださいね。
ミルクの温度
粉ミルクの作り方で重要なポイントは、一度沸騰させた70℃以上のお湯で粉ミルクを溶かすことです。高い温度のお湯を使うのは「粉ミルクを殺菌するため」という理由があります。なぜ殺菌が必要なのかというと、製造工程や開封後にサカザキ菌・サルモネラ菌といった病原菌が混入する可能性があり、粉ミルクを完全な無菌状態にすることは難しいからです。(※3)
70℃以上のお湯で粉ミルクを溶かし、熱いままであげると赤ちゃんが火傷をしてしまいます。ミルクを飲ませる前には必ず体温程度に冷めているか確認してから赤ちゃんに飲ませましょう。ミルクの温度は、37程度が適しています。哺乳瓶が体温程度に冷めていても、中のミルクが熱い場合があるので注意しましょう。
70℃以上のお湯で粉ミルクを作ると、必要な栄養が壊れてしまわないか心配になる人もいるかもしれません。しかし、粉ミルクは70℃以上のお湯で溶かすことを想定して製造されているため、栄養が不足することはありません。(※4)
ミルクの量
ミルクの量は、成長にあわせて量が増えていきます。離乳食の進み具合や個人差によりミルクの量は異なりますが、基本的なミルクの量は以下になります。
1~2ヶ月は、1日6回×約140mL
3~4ヶ月は、1日5回×約200mL
5~6ヶ月は、1日4~5回×約220~240mL
ミルクの量は、粉ミルク容器にも記載されているので、赤ちゃんの月齢や体重などを参考にミルクを与えるようにしましょう。
器具の消毒方法
使用した器具は、丁寧に洗い消毒をします。消毒方法はいくつかありますが、代表的な消毒方法は3パターンあります。「煮沸消毒」は、鍋と水があれば簡単にできます。使用した器具が入るサイズの鍋を使用し、器具が隠れる程度の水を鍋に入れて沸騰させ、3分ほど煮沸します。特別な薬剤などが必要ないので、一番簡単にできる消毒方法です。
この他にも、専用の容器を使用して消毒する「電子レンジ消毒」や、専用の消毒液に浸け置きして消毒をする「薬液消毒」があります。
ミルクの保管場所
粉ミルクは、冷蔵庫で保管せずに乾燥した涼しい場所で保管するようにします。開封してから約1ヶ月以内に使用するのが理想的です。
粉ミルク用の水(調乳水)は何を使う?
ミルクを作るときに使用する水は、水道水以外のものを使用しても大丈夫なのでしょうか。水道水とミネラルウォーターについてご紹介します。
水道水
日本の水道水は「軟水」なので、粉ミルクに最も適しています。粉ミルクは、水道水を沸騰させてミルクを作ることを基本として作られています。
ミネラルウォーター
国内製のミネラルウォーターは、水道水と同じ「軟水」の場合が多いので沸騰させて使用できます。国内製の水でも硬度が高い水もあるので、ミネラルウォーターを使用するときは、日本の水道水と同等の硬度60mg/L以下の軟水を使用するとよいでしょう。
海外製のミネラルウォーターの場合は、「硬水」の場合が多いので、使用する前には必ず確認するようにしましょう。赤ちゃんには、ミネラル分が多すぎて下痢になることがあります。
粉ミルクの作り方のコツは?
毎日数回、ミルクを作るのは大変ですよね。粉ミルク作りを手助けしてくれる、便利なアイテムをご紹介します。
調乳ポットを使う
調乳ポットとも呼ばれている商品や温度調節ができる電気ポットは、ミルク作りに最適な温度を保ってくれるので、ミルクを作るたびにお湯を沸かす手間が省けます。
沸騰したお湯を入れると、ミルク作りに最適な70℃でお湯をキープしてくれる商品です。電子レンジに対応しているので、簡単に沸騰したお湯を準備できます。
ミルクケースで小分けにする
「ミルクケース」や「ミルカー」と呼ばれる、1回に必要な粉ミルクを小分けしておける便利なアイテムがあります。夜間など、事前に粉ミルクの量を測って入れておくことでスムーズに作ることができます。小分けされているので、外出時や他の家族に預けるときも便利なアイテムです。
アンパンマンのキャラクターが描かれたミルクケースです。事前に3回分のミルクを入れておくことができます。1個ずつ分けて持ち運びでき、ロート形状になっているので哺乳瓶にも入れやすいのがおすすめです。ミルクを飲まなくなったら、おやつ入れや小物入れとしても使用できます。
湯冷ましを作り置きしておく
湯冷ましを作り置きしておき、ミルクを溶かすときにミルクの量を調整するお湯として、湯冷ましを使います。作ったミルクを水で冷やす手間を省いてくれます。24時間以内には使い切りましょう。
ウォーターサーバーを使う
ウォーターサーバーを活用すると、お湯を沸かす手間を省くことができます。赤ちゃんのミルク作りの他にも家族全員で使えます。
粉ミルクの作り方・飲ませ方の注意点
粉ミルクの作り方や飲ませ方で、主な注意点は以下になります。
・使用する哺乳瓶などの器具は毎回消毒しましょう。
・お湯を使い危険なので、赤ちゃんの近くでミルクは作らないようにしましょう。
・必ず一度沸騰させて70℃くらいまで冷やしたお湯でミルクを溶かしましょう。
・ミルクを飲ませる前に、ミルクが体温程度になっているか確認してから与えましょう。
・雑菌が繁殖する恐れがあるので、ミルクの作り置きや、残ったミルクを与えるのは控えましょう。作ったら、できるだけ早く飲ませましょう。2時間以内は保存可能とされていることもありますが、温度によって違うためあまり長く置かない方が安全です。
・空気を一緒に飲み込みやすいので、ミルクを飲ませ終わったら「げっぷ」をさせるようにしましょう。げっぷが出ない場合は、しばらくたて抱っこすると安心です。
便利なアイテムを活用しよう
ミルク育児や混合育児は、準備するものが多かったり消毒が必要だったりと、手間と時間がかかりますよね。一日に数回あるミルク作りはミルカーなどの便利なアイテムを活用しましょう。
粉ミルクならパパなど他の家族でも赤ちゃんに飲ませられるので、便利なアイテムを活用しながら家族で赤ちゃんのお世話をしてみてくださいね。
※この記事は2024年7月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。