【産婦人科医監修】ひどい咳が止まらない!妊婦が飲める薬の有無や影響
咳が出ると「風邪」を疑う人が多いかもしれません。咳は風邪以外でも起こるケースが多く、原因により適切な対応をとることが大切です。妊婦だからといって、ひどい咳や止まらない咳を我慢するのではなく、咳を止めるためにどのような対処が可能なのか、どのような影響があるのかを理解することが大切でしょう。妊婦の咳について解説します。
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目次
いつもの「咳」でも妊娠中は気になるもの
日常生活のふとした瞬間や風邪にかかった際などに起こる「咳」は、頭痛や腹痛などと同様にとても身近な症状のひとつといえるかもしれません。馴染み深い症状であるからこそ、咳という症状を軽んじてしまう人も少なくないかもしれません。しかし妊娠中となれば状況は別でしょう。
咳の原因は風邪なのか・他の病気なのか、咳によって起こる腹痛や寝不足などによって何か妊娠の経過に影響はあるのだろうか、いつもと違う状況だからこそ細かな点が気になる人もいるでしょう。「咳だから」と見過ごさないことが大切かもしれません。風邪の場合でも、妊婦は普段とは違う適切な対処が必要になります。また他の重大な病気のサインである可能性もあるでしょう。あまりにも咳が長く続くようであれば、緩和方法を含めて必ず医師に相談しましょう。
尿漏れ、お腹の張り、妊婦特有の咳の影響もある
普段からよくある症状のひとつである「咳」は、妊娠していない状態であれば特に気にしないという人もいるかもしれません。しかし妊娠中の咳となると、さまざまな影響が気になる人は多いでしょう。咳による影響は大きく分けて2種類にわけられます。「普段から起こる咳による影響」と「妊娠中に起こる咳による影響」です。
普段からよく起こる咳による影響としては、咳のしすぎによって「腹痛」を感じる人は少なくありません。咳のしすぎで筋肉痛を感じる・肋骨が痛い・脇腹が痛いという人もいるようです。寝る前に咳が出ることで、夜に寝苦しさを感じたり寝不足になったりといった問題もあるかもしれません。
妊娠中に起こる咳による影響としては、妊婦が悩みとしてあげることが多い「尿漏れ」「お腹の張り」が気になるという人が多いようです。妊娠中は、さまざまな身体の変化が起こり、不調を訴える人が少なくありません。原因によって適切な対処法が異なる場合があり、自己流で対処したことによって悪化する可能性もあります。咳の影響としてとらえているさまざまな症状が、「本当に咳から起こっているものなのか」どうかも含めて、自分で判断せずに担当の医師に相談し、対応していくことが大切かもしれません。
咳に鼻水・嘔吐・喉の痛みは風邪?他の病気?
経験することが多い症状のひとつである「咳」を感じると、風邪なのではないかと考える人が多いかもしれません。風邪はウイルスが鼻や喉にくっつき炎症を起こすことで、くしゃみ・鼻水・咳・喉の痛み・発熱などの症状を引き起こす状態を指した言葉です。このため、咳だから風邪であると断言するのは難しいかもしれません。咳は気道にほこりや細菌・ウイルスなど異物が入ってきたときに、身体から異物の侵入を防ごうとする生体防御反応です。
風邪のウイルスも異物ですが、その他のほこりや花粉などウイルス以外の異物である可能性もあるでしょう。風邪以外では、副鼻孔炎(蓄膿症)・喘息・インフルエンザ・急性気管支炎・百日咳・マイコプラズマといったものが原因となり咳が出る可能性があります。嘔吐や吐き気などはつわりとの違いを見分けるのが難しいということもあるでしょう。咳が続く・ひどい咳が出ている・咳による影響で眠れないなど、つらい症状が続くようであれば病院に相談するのが1番でしょう。
痰(たん)がでる咳とでない咳
咳には2種類あります。痰(たん)が出る咳と痰が出ない咳です。大きくわけると痰が出る咳は湿っており、痰が出ない咳は乾いた咳という分類になります。痰が出る咳は風邪・インフルエンザなどの感染症、副鼻腔炎(蓄膿症)などの鼻の病気、喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の可能性があります。また痰が出ない乾いた咳では、咳喘息・百日咳・胃食道逆流症の可能性があります。咳が気になる場合には、痰が出るかどうかもあわせて確認してみましょう。
咳が止まらない!?長引く咳には要注意
気道に侵入してきたほこり・ウイルスなどの異物から身体を守る「生体防御反応」である咳ですが、長く続く場合には注意しなければならないといわれています。これは咳が続く期間によって、感染症が原因なのかどうかを見分ける際の目安になるためのようです。感染症の咳であれば、風邪やインフルエンザ急性気管支炎などの可能性があります。感染症以外の咳であれば咳喘息や副鼻腔炎(蓄膿症)、マイコプラズマや百日咳の可能性があるでしょう。
咳が長引く際にひとつの目安したいのが「3週間以上続くかどうか」です。3週間未満であれば感染症が原因である風邪やインフルエンザ、3週間以上続くのであれば感染症以外が原因である咳喘息やマイコプラズマなどの疑いもあるでしょう。一方で、風邪の症状が長引き咳のみが続くのは珍しいことではありません。期間はあくまでも目安である点には注意が必要です。数日・1週間でもつらい咳に悩んでいるのであれば、我慢せずに咳を止める方法がないかを専門の医師に相談しましょう。
つらい咳を止めたい!妊婦にも使える薬はある?
「妊婦は薬を飲んではいけない」というイメージを持っている人は、多いかもしれません。妊婦でも、風邪による頭痛・腹痛、つわりによる吐き気・嘔吐、肩こりや腰痛・むくみなどの症状に悩む人は少なくないのではないでしょうか。妊婦はつらい症状を我慢しなければいけないのではなく、「妊婦はさまざまな症状を緩和するために行う手段に注意しなければならない」という点はあまり知られていないかもしれません。
妊娠中に薬を飲む場合には、担当の医師とよく相談した上で使用することが大切です。これは飲み薬や市販の薬だけではなく、貼り薬や塗り薬・吸入器・漢方薬などでも同様のことがいえるでしょう。妊娠の経過は人それぞれ異なるため、薬の効果や副作用とともに医師とよく相談して使用しましょう。医師とよく相談した上でなら使用して良い薬もあるため、自己判断で市販の薬を使用せず、風邪などの際によく使う薬があれば先に相談しておくのも良いかもしれませんね。
妊婦が使える薬以外の咳止め方法
妊娠中は薬を飲んではいけないというイメージが強いため、薬以外の方法で咳を止める方法を検討する人は多いかもしれません。のど飴や濡れマスク、部屋の湿度を上げる、うがいをするといった方法は手軽に試すことができ、実践してる人も多いかもしれませんね。のどが炎症を起こしている場合には、はちみつや牛乳・ヨーグルトなどの刺激が強くないものを混ぜた飲み物も好まれるでしょう。
ただし注意しなければいけないのが、咳の原因によっては対症療法でしかなく、咳を止める方法ではない可能性があるという点かもしれません。あまりにも長く続く、咳でつらい場合には病院を受診するのが良いでしょう。
ひどい咳でお腹の胎児や母体への影響はある?
咳による影響に腹筋が痛い、肋骨が痛い、脇腹が痛いといった「お腹の痛み」を訴える人は少なくありません。妊娠中は、お腹の赤ちゃんや母体への影響が気になる人が多いでしょう。咳をすると、腹圧とよばれるお腹に圧力がかかります。腹圧は咳以外でも重いものを持ったときなどにもかかります。腹圧が原因で引き起こされるものには、腹圧性尿失禁(尿漏れ)・前期破水・子宮脱(骨盤臓器脱)・子宮下垂などがあげられます。
腹圧に関しては咳だけが原因になるわけではないため、咳が原因で何かが起こったと断定するのは難しいかもしれません。前期破水のケースであれば、腹圧だけでなく羊水過多・双子以上の妊娠・子宮内圧の上昇といったものも原因で起こります。破水があれば赤ちゃんへの影響としては、早産・破水発生時の感染などが心配されるでしょう。
一方で、咳があるからといって、すぐにさまざまな症状が引き起こされるわけではありません。妊娠初期・中期・後期・臨月といった時期を問わず、咳を含めて気になる症状があれば病院へ相談し、妊娠の経過に問題がないか確認することで不安は軽減できるかもしれません。
ひどい咳で病院を受診するなら内科?産婦人科?
妊娠中は自己判断で薬を飲むことができないため、つらい咳や頭痛・発熱などの症状がある場合には病院を受診しましょう。
妊娠中に病院を受診する際には、何科に行くべきかといったところで悩む人が多いかもしれません。このときに考えられるケースが内科と産婦人科でしょう。かかりつけの内科がある場合には、自分の妊娠の経過を必ず内科の担当医に伝えることが大切です。これは薬を処方など治療方針の参考になります。薬を処方されるのが怖い・控えたいという考えがあれば、副作用や影響などメリット・デメリットを担当医とと相談しても良いかもしれません。自己判断で民間療法や市販薬を試すのはリスクもあるため、十分に注意が必要です。
また担当医がいる産婦人科を受診する場合には、それぞれの妊婦のこれまでの妊娠の経過を把握しているため、スムーズな相談が期待できるるかもしれません。ひとりで悩まずに医師に相談し、適切な対処を行なっていくことが妊娠中は大切でしょう。
妊娠中の咳!インフルエンザの可能性があるなら
家族や会社など身近にインフルエンザの人がいる状況で、急な発熱・咳や喉の痛みがあった場合には、インフルエンザの可能性が考えられます。インフルエンザの場合には、病院を受診するまでの流れに注意が必要です。
インフルエンザの可能性がある場合、必ず一度病院に電話で相談をし、受診までの流れについて指示を受けることが大切です。これはインフルエンザの感染拡大を避けるために必要な対応となります。インフルエンザにかかりたくないと考える妊婦は多いでしょう。同様に他の妊婦、一般の方々もインフルエンザには極力かかりたくないはずです。自分のためにも他人のためにも、インフルエンザの可能性がある場合にはまず病院へ相談すると良いでしょう。
咳だからと軽んじずに、不安も含めて専門家に相談しよう
「咳」といえども、さまざまな原因によって引き起こされている可能性があり、さまざまな咳があります。咳という症状だけで、風邪だと決めつけたりせずに、さまざまな可能性を考慮することが大切でしょう。咳の原因に応じて適切な処置を行うことで、お腹の赤ちゃんを守ることにもつながるでしょう。
自分の判断で薬を飲んだり放置したりせずに、専門の医師と相談して対応していくことが大切です。咳以外でも気になる症状があれば、随時医師に相談していくことで不安を軽減し、母子ともに健康な妊婦生活を送ってくださいね。