揺さぶられっ子症候群はいつまで心配?「高い、高い」遊びはダメなの?

揺さぶられっこ症候群とは、赤ちゃんを激しく揺さぶることで脳や神経などに損傷を与えることです。虐待による事例が多く報告されていますが、高い高いなどによるあやし方でも発症することが知られています。ここでは、揺さぶられっ子症候群の症状や解説動画、どれくらい揺さぶったらなるのか、いつまで注意すべきかといった情報をお伝えします。

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この記事の監修

染谷 朋之介
小児科医
染谷 朋之介

目次

  1. 揺さぶられっ子症候群(乳幼児揺さぶられ症候群)とは?
  2. 揺さぶられっ子症候群の症状
  3. 揺さぶられっ子症候群になりやすいのはいつまで?
  4. どのくらいの揺れで揺さぶられっ子症候群になるの?
  5. 「高い高い」遊びで揺さぶられっ子症候群になるの?
  6. 転んだりぶつけたりした頭のケガも虐待になる?
  7. 育児ストレスで赤ちゃんを揺さぶる前にSOSを!
  8. 揺さぶられっ子症候群の危険性をパパとも共有しておこう
  9. あわせて読みたい

揺さぶられっ子症候群(乳幼児揺さぶられ症候群)とは?

虐待による乳幼児頭部外傷

「揺さぶられっ子症候群」とは「乳幼児揺さぶられ症候群」の俗称としてこれまで使われてきた用語で、赤ちゃんの身体を暴力的に激しく揺さぶることによって生じる頭部外傷を指します。

身体の外側には明らかなケガがないにもかかわらず、頭の内部に重症を負っているという特徴的な所見があり、こうした症例の多くは暴力的に激しく揺さぶられることが原因で引き起こされていることからこのように呼ばれていました。

ところが虐待による頭部外傷は、激しい揺さぶりに限らず、頭部への故意の衝突(鈍的外力)などからでも生じることがわかってきたことから、現在では「乳幼児揺さぶられ症候群」という用語にかわって、「虐待による乳幼児頭部外傷(AHT)」という用語が用いられています(※1)。

暴力的に揺さぶることの危険性

揺さぶられるという言葉が名称から外れても、虐待による乳幼児頭部外傷の定義には激しい揺さぶりが含まれ、その行為の危険性に変わりはありません。

激しく揺さぶられることで、赤ちゃんの頭の中に起こる結果は重大です。そこでこの記事では、激しく揺さぶる行為の危険性を中心に、一般的になじみのある「揺さぶられっ子症候群」という用語を用いて症状や影響、普段のあやし方で気をつけるポイントなどを解説していきます。

揺さぶられっ子症候群の症状

揺さぶられっ子症候群のメカニズム

揺さぶられっ子症候群は赤ちゃんのわきの下を持ち、暴力的に激しく揺さぶられる行為で引き起こされます。激しく揺さぶられることで赤ちゃんのやわらかな脳に回転力が加わり、さまざまな速さで動きだします。

内側の脳が動くと外側の頭蓋骨とのあいだにずれが生じ、血管や神経は引きちぎられます。網膜の血管も同様の損傷を受け、結果として硬膜下血腫や多層性多発性網膜出血、脳実質異常といった所見がみられるのが典型的です。

揺さぶられた後にみられる症状

脳が激しく揺れ、血管や神経が損傷を受けることで、揺さぶられっ子症候群の赤ちゃんは低酸素状態に陥ります。そのため、強い揺さぶりの後に次のような症状が見られます。

すぐに眠ってしまう
嘔吐
けいれん
意識障害(呼びかけても反応しないなど)
呼吸困難
昏睡状態(目覚めない)

症状がひどい場合は死にいたることもあります。揺さぶられっ子症候群の疑いがあるときは、一刻も早く救命救急センターなどの医療機関を受診しましょう。

揺さぶられっ子症候群の後遺症

命が助かった場合でも、揺さぶられっ子症候群の結果、次のような後遺症や障害を残すことがあります。

失明、視力低下
言葉の遅れ
学習障害
脳損傷
けいれん発作
知的障害
脳性まひ

揺さぶられっ子症候群は、生涯にわたり赤ちゃんの健康に影響を与えるものです。激しく揺さぶる行為はとても危険なことだと認識しましょう。

赤ちゃんが泣き止まずイライラしたり、どうしていいかわからずパニックになったりすることがあったら、赤ちゃんの安全を確保したうえで、赤ちゃんから少し離れてママの気持ちを落ち着かせることが大切です。

揺さぶられっ子症候群になりやすいのはいつまで?

首すわり前

揺さぶられっ子症候群になりやすい時期として、特に注意が必要なのは首すわり前です。抱っこをするときは必ず首を支えるようにする、バウンサーやベビーカー、抱っこ紐は正しく装着し、月齢に応じたものを使用することを徹底しましょう。

首すわりは生後3ヶ月頃から始まります。しかし、一見首はすわったようでも、首の筋力が弱く、首や身体が安定していないことがあります。過去には、生後5ヶ月頃の赤ちゃんでも揺さぶられっ子症候群になったという事件があります。生後6ヶ月頃までは特に注意が必要です。

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頭蓋骨の成長が完了する2歳まで

首がすわってからも、頭蓋骨の成長が完了する2歳頃までは引き続き注意が必要です。2歳頃までの子どもは、頭蓋骨と脳のあいだにわずかな隙間があります。通常のあやし方であれば問題ありませんが、幼児であっても激しく揺さぶり続ける行為は絶対にやめましょう。

2歳以上も注意が必要

虐待による乳幼児頭部外傷では「5歳未満の子どもの頭部に鈍的外⼒や激しい揺さぶり,またはその両⽅が意図的に加えられたことで頭蓋⾻や頭蓋内に⽣じる損傷(※2」と定義されており、5歳児の症例も報告されています(※3)。大人の強い力で乳幼児を激しく揺さぶり続けることは大変危険です。揺さぶられっ子症候群にならずとも、体調を害したり子どもの心に強いショックを与えたりするので、激しく揺さぶることはしないでください。

どのくらいの揺れで揺さぶられっ子症候群になるの?

揺さぶられっ子症候群はどれくらいの揺れで起こるのか、不安や心配に思う人は多いでしょう。揺さぶられっ子症候群の事例のほとんどは、虐待によるものです。

赤ちゃんの抱っこやベビーカーでの移動や、首や身体を支えた横向き抱っこで揺らすことや、げっぷをさせるために軽く背中をたたくことなど、一般的なお世話によって症状が出ることはほとんどないと考えてよいでしょう。

バウンサーやベビーカーの揺れは心配ない

バウンサーやベビーカーで寝ているときの揺れは心配ありません。ただし、ベビーカーは月齢に応じたものを使用することが大事です。バウンサーやベビーカーを使うときはしっかりベルトを着用し、赤ちゃんが落下しないように気を付けましょう。

車での移動での注意点は?

車で移動するときは、必ずチャイルドシートを正しく使用しましょう。舗装されていない道を運転するときは特に注意してください。長時間の移動は避けるようにし、適宜休憩を挟むと良いですね。

「高い高い」遊びで揺さぶられっ子症候群になるの?

首がすわるまでは「高い高い」遊びは厳禁です。あやす目的だとしても、首の支えなしで揺さぶることは絶対にやめましょう。

首がすわって身体が安定していれば、「高い高い」遊びや膝の上にのせて揺らすリズム遊び、横抱っこで揺らすなど、通常のあやし方で揺さぶられっ子症候群になることは考えにくいです(※4)。しかし、落下事故を招く危険があるため、おすすめできません。低い位置でゆっくり持ち上げるだけでも、赤ちゃんは喜んでくれますよ。

転んだりぶつけたりした頭のケガも虐待になる?

赤ちゃんに硬膜下血腫、網膜出血、脳浮腫などの脳実質損傷といった所見がみられ、揺さぶられっ子症候群が疑われ場合、複数の職種で構成された子ども虐待対応チームが連携して対応します。子どもの安全を最優先に、ときにはセカンドオピニオンも検討されます。

ただし、この3つの兆候があるからといって、必ずしも「虐待があった」と認められるわけではありません。過去のニュースなどから「赤ちゃんが頭にけがをしたら、虐待を疑われるかもしれない」と不安になることがあるかもしれませんが、けがに対して慎重になりすぎると、それがストレスにつながります。

赤ちゃんがけがをしないように基本的な落下防止策や転倒対策をしていれば、不安になりすぎることはないでしょう。赤ちゃんを激しく揺さぶらないことは大前提として、高い高いやリズム遊びなど、赤ちゃんとの遊びを楽しみましょう。

育児ストレスで赤ちゃんを揺さぶる前にSOSを!

揺さぶられっ子症候群にいたった事例の多くは、育児ストレスによる虐待事件です。慣れない育児や睡眠不足が続くなどして精神的に追い込まれ、泣き止まない赤ちゃんを揺さぶってしまったという事例が多くみられます。保護者にとっては一時的な揺さぶりかもしれませんが、赤ちゃんの明るい未来を奪ってしまう危険な行為です。

育児に不安やストレスを感じるのは決しておかしいことではありません。少しでも自分の心に異変を感じたら、周囲の人に相談したり、行政の相談窓口や児童相談所を頼ったりすることが大切です。

全国共通ダイヤル「189」に電話をすると近くの児童相談所につながります。「いちはやく」と覚えておきましょう。

次の動画は、赤ちゃんの泣きの特徴とその対処法を示すために、厚生労働省が作成したものです。動画では、揺さぶられっ子症候群の注意を促すとともに、赤ちゃんが泣いたときにどうすれば良いか解説しています。

揺さぶられっ子症候群の危険性をパパとも共有しておこう

揺さぶられっ子症候群の危険性は、ママが知るだけではなくパパにもしっかり共有しておきましょう。揺さぶられっ子症候群のほとんどは虐待事件によるものですが、過去には父親が激しいあやし方をしたり、目を離したすきに転倒したりして外傷を負ったケースもみられます。揺さぶられっ子症候群の情報は母子健康手帳に記載されていることが多いです。赤ちゃんを悲しい事故から守るために、家族みんなで気を付けましょう。

※この記事は2026年2月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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