胆道閉鎖症とは?注意するべき3つの症状を知っておこう!【パパ小児科医コラムvol.16】

母子手帳をもらったママやパパであれば、ほとんどの方が「便色カード」を見たことがあるのではないでしょうか。今回のコラムでは、パパ小児科医の加納友環(ぱぱしょー)先生に、新生児期の発症が多い胆道閉鎖症について教えていただきました。

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目次

  1. 胆道閉鎖症とは?
  2. 知っておくべき、胆道閉鎖症の3つの症状
  3. 胆道閉鎖症で脳出血を起こすのはなぜ?
  4. 胆道閉鎖症の治療法は?
  5. 早期発見が重要!
  6. 赤ちゃんの家族にできること
  7. ぱぱしょー先生によるお役立ち動画はこちら!
  8. パパ小児科医(ぱぱしょー)先生の過去のコラム
  9. 著者:加納友環(ぱぱしょー)
  10. あわせて読みたい

胆道閉鎖症とは?

「もう少し早く気づいていれば・・・」

そんな声が聞こえてくるようでなりません。今回は多くの人に知ってもらいたい、早く気づいて治療につなげてもらいたい、そんな気持ちで紹介する病気です。その名を胆道閉鎖症といいます。

胆道閉鎖症は新生児期に約10,000人に1人の確率で発症し、合併症により消化管出血や皮下出血、ときに脳出血を起こしてしまう命に関わる病気です。

生後2ヶ月以内・・・できるだけ早くに見つけて手術をすることで、その予後が変わるため早期発見がとても重要です。ただ残念なことに、医療機関でスルーされてしまった事例もあるというのが現実です。

知っておくべき、胆道閉鎖症の3つの症状

病気の発症そのものを予防する方法は今のところありません。できるだけ多くの患者さんが早期発見、治療につながるようにと思います。どのような症状に注意しておけば気づくことができるでしょうか。3つの症状について説明します。

1.黄疸

身体の中の老廃物のひとつとしてビリルビンという物質があります。本来、ビリルビンは胆汁として腸から便へと排出されますが、胆道閉鎖症を発症した場合には便へ排出されず、血液の中に増えてしまいます。これにより皮膚や、目の白目の部分が黄色くなってくるのです。

胆汁については、のちほど詳しく説明します。

2.便の色

胆汁が排出されないため、便の色はうすい黄色であったり、白っぽい便になることが特徴です。母子手帳には早期発見のために「便色カード」が添付されており、赤ちゃんの便と比較できるようになっています。

白っぽい便であれば、胆道閉鎖症を強く疑うことができますが、黄色っぽい便でも実際には病気にかかっているという場合もあり、便だけでは判断することができません。

赤ちゃんの便の色が気になる方は、母子手帳に添付されている「便色カード」を確認してみてくださいね。

3.尿の色

血液の中に増えたビリルビンは腎臓から排出されるので、尿の色が濃い黄色から、ウーロン茶のような褐色のように濃くなります。尿が染み込んだおむつの色を確認するようにしましょう。

上記3つの症状がありますが、「これがあれば胆道閉鎖症」だと判断できるという決定的な症状はありません。ひとつだけで判断すると見落としが起こるため複数の症状を見て判断する必要があります。

胆道閉鎖症で脳出血を起こすのはなぜ?

胆道閉鎖症を発症すると、場合によっては脳出血を起こすことがあります。胆道は消化器系の臓器なのに、どうして脳出血を起こすのか不思議に思われる方もいるでしょう。少し複雑ですが、病気の仕組みを説明します。

脂肪の消化吸収に必要な「胆汁」は肝臓でつくられ胆のうに貯蔵されます。そして食事をすると胆汁が総胆管(胆道)を通って十二指腸に送られ食べ物と出会い、脂肪の消化吸収の手助けをします。胆道閉鎖症はこの総胆管(胆道)が閉鎖してしまっているので、脂肪が吸収されません。

脂肪が吸収されないと、脂肪に溶けるビタミンであるビタミンKが吸収されなくなり、ビタミンK不足により血が止まりにくくなってしまうのです。血が止まりにくくなると、青あざができたり、消化管出血で便が赤く(黒く)なったり、脳の中に出血してけいれんを起こしたりと命に関わる場合があるのです。

また胆汁が排出されなくなるので、肝臓にはどんどん胆汁がたまり(胆汁うっ滞)、肝臓の細胞は正常にはたらくことができません。肝臓の細胞が破壊されていき、最終的には完全に壊れる「肝不全」になってしまい命に関わります。

豆知識「ビタミンK」

血液の「凝固因子」を作るはたらきをします。生後間もない赤ちゃんはビタミンKを体内で作る機能が未熟で不足しがちです。そのため、産院では赤ちゃんにK2シロップを与えています。

胆道閉鎖症の治療法は?

胆道閉鎖症を発症した場合、胆道が閉鎖してうっ滞するため、手術によって胆汁が腸へ排出される経路を作らなければなりません。

予後に影響するため生後2ヶ月以内に、「葛西手術」と呼ばれる手術をすることが望まれます。また胆汁うっ滞が進み肝臓へのダメージが大きい場合、「肝臓移植」が必要になることがあります。

早期発見が重要!

胆道閉鎖症は予後にかかわるため、早期発見が重要です。しかし残念ながら、この病気は医療機関でも見過ごされることがあるのが現実です。

便は典型的には灰白色便になるのですが、実際にはうすい黄色ということもあります。私が経験したケースでも灰白色ではありませんでした。ある日の診察で問題ないと判断されても、時間がたつと状況が変わっていることもあります。

胆道閉鎖症は小児外科が専門ですので、かかりつけの小児科が詳しくないこともあります。判断ができないときや納得のいく説明が得られないときには、専門機関への紹介など他の医師の意見を聞くことを考慮してくださいね。

赤ちゃんの家族にできること

統計によると、胆道閉鎖症は年間約100人の患者さんが発生して、うち数人が脳出血を発症します(※1)。発見が遅れることにより、命にかかわります。
1ヶ月健診のときに気になる症状がなくても、2ヶ月のワクチン接種時までに症状が変化していることもあります。この病気を知って早く受診しましょう。

ある患者さんの保護者はこう語ります(※2)。

黄疸が長引いて、脳出血を起こすなんて知らなかった

薄い黄色(淡黄色)の便が続くことが病気の症状だと教えてほしかった

早期発見により、赤ちゃんの命を救い、このように悔しい思いを抱いている保護者を減らすことはできるはずです。
産後間もない中で慣れない育児に奮闘しているママ、パパ、そしてそのご家族のみなさん。大変な中ではありますが、赤ちゃんを守るために、赤ちゃんの便や尿の色、皮膚や白目の色はこまめに確認してあげてくださいね。

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著者:加納友環(ぱぱしょー)

二児(2歳、4歳)の父で小児科専門医。

TwitterやInstagramを中心に子育て当事者の立場から、また医療者の立場から子育てに役立つ情報を発信しています。

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