【産婦人科医監修】出生前検査とは?妊婦さんの相談体制を整備へ!いつから&受ける前に知っておきたいことを紹介

ママの血液を採取して行う新型出生前検査(NIPT)などを含む出生前検査について、情報提供の充実や相談窓口の整備、制度の見直しが進められています。いつから受けられるのか、陽性の結果が出た場合はどうなるのかといった疑問を解説しながら、制度の見直しのポイントについて紹介します。

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この記事の監修

藤東 淳也
産婦人科医
藤東 淳也

目次

  1. 出生前検査とは?
  2. 出生前検査の相談窓口を整備
  3. 出生前検査を受ける前に知っておくことは?
  4. 出生前検査で陽性になったら?
  5. 出生前検査はどこで受けられる?
  6. 出生前検査は信頼のおける機関に相談しよう
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出生前検査とは?

お腹の赤ちゃんの先天異常を調べる検査

ママのお腹の中にいるあいだに、赤ちゃんの病気や身体の状態を調べる検査を出生前検査といいます。出生前検査では染色体異常、遺伝子疾患、子宮内感染症、奇形などを判定できます。

希望した人だけが受ける検査

出生前検査というと、大きくは妊婦健診で行われる検査も含まれますが、一般的にはNIPTなど、検査を希望した人が受ける任意のものを指します。妊娠したからといって、必ずしも受けなければならない検査ではありません。

検査結果によって赤ちゃんの命にかかわる重大な決断をしなけらばならない可能性があるため、検査のメリット・デメリットを正しく理解し、検査を受けるかどうかを慎重に判断することが大切です。

夫婦ふたりでしっかり検討できるように、検査前には産婦人科医と遺伝専門医による複数回のカウンセリングが設けられています。検査はカウンセリングとは別の日に行われるため、出生前検査について知りたいときは余裕をもってかかりつけの産婦人科医や自治体の窓口に相談すると良いでしょう。

羊水穿刺や超音波などで検査が行われる

出生前検査は染色体異常などの診断やリスク評価に使われる遺伝学的検査と、赤ちゃんの奇形や臓器の異常を調べる胎児超音波検査のふたつに区別されます。

遺伝学的検査はさらに、赤ちゃんの疾患の診断を確定させるために行う確定的検査と、赤ちゃんの疾患の可能性を評価し確定的検査を受けるか受けないかを判断するための情報を得る非確定的検査とに分かれます。

確定的検査には、検査結果をもとに医師が診断を行う羊水検査と絨毛検査があります。いずれも子宮内穿刺により羊水や絨毛を採取するため、流産や破水などのリスクをともないます。

確定的検査よりも手軽だとして広まっているのが、母体血清マーカー検査や新型出生前診断(NIPT)などの非確定的検査です。ママからの採血で検査が済むため、安全性の面でも評価されています。母体血清マーカー検査と胎児超音波検査を組み合わせたコンバインド検査も行われています。

妊娠9週~20週頃に行う

出生前検査を実施する時期は、検査の種類や医療機関によって異なります。遺伝学的検査のうち、子宮穿刺をする羊水検査は妊娠15週以降、絨毛検査は妊娠11週~14週が目安です。

非確定的監査は、その結果により確定的検査を受けるかを検討するため、検査時期は確定的検査より少し早く、NIPTは妊娠9週~10週頃以降、コンバインド検査は妊娠11週~13週、母体血清マーカー検査は妊娠15週~18週に採血するのが一般的です。(※1)。

画像診断である胎児超音波検査は、赤ちゃんの成長にあわせてその時期に適切な内容を検査するため、検査時期は内容や病院により異なります。

出生前検査の相談窓口を整備

2013年にNIPTが日本で初めて導入されて以来、出生前検査を実施する医療機関は増加しています。その中には本来必要とされる遺伝的カウンセリングや心理的ケア、検査後の診療体制が不十分な病院もあり、ママやパパたちの混乱を招くケースがありました。

このような状況はママとパパ、赤ちゃんにとって大きな不利益を生むことから、厚生労働省が主導となって、2021年に適切な情報提供と体制の整備を担う「出生前検査認証制度等運営委員会」が設置されました。

運営委員会ではホームページを公開し、出生前検査の相談が受けられる窓口の情報を提供しています。遺伝カウンセリングを行っている医療施設、委員会が認証しているNIPT実施施設、自治体の性と健康の相談支援センターなどが整備されており、専門医療機関や障害福祉関係機関との連携も図られています。

出生前検査を受ける前に知っておくことは?

生まれてくる赤ちゃんの中で、先天的な疾患が見られるのは全体の約3~5%といわれています(※2)。そのうち、出生前検査でわかる疾患はダウン症などごく一部に限られます。検査結果が陽性であっても健康に生まれてくることもあれば、陰性であっても別の疾患を抱えていることもあり、検査結果が完全なものではないということを理解しておきましょう。

非確定的検査ではまれに偽陽性・偽陰性が発生します。検査結果が陽性であった場合は確定的検査による診断を受ける必要があります。

近年では胎児医療や新生児医療の進展により、これまで治療が難しいといわれていた疾患に対してもさまざまな治療が登場しています。疾患や障害を持つ子どもの育児をサポートする制度やサービスも充実してきています。検査結果が出た後のことを念頭に、どのような選択肢があるかあらかじめ情報を集めておくことも大切です。

出生前検査で陽性になったら?

陽性という判定が出た場合にどう対応をするか決めていたとしても、結果を前にすると不安や迷いが生まれるものです。そのため、まずはママやパパに対する心理的ケアを優先したうえで、産婦人科医や小児科医といった専門家によるカウンセリングが行われます。

カウンセリングでは分娩までの経過や出生後の成長、陽性判定の意味や今後の方針・対応などについて説明し、ママやパパのその後の選択を支援します。

非確定的検査で陽性だった場合は、確定診断のための検査が必要です。胎児の状態を詳しく把握するため、別の検査が提案されることもあります。非確定的検査のみに対応している医療機関では、確定診断を希望する人に対し転院の措置がとられます。

出生前検査はどこで受けられる?

出生前検査のうち、NIPTに関しては日本医学会に設置された出生前検査認証制度等運営委員会により、指針が示されています。その要件を満たす医療機関は「NIPTを実施する医療機関」として認証されており、検査の質が保障されているため、安心して検査を受けることができます。

認証施設には基幹施設と連携施設のふたつの種類があります。連携施設で対応が難しい場合は基幹施設が支援にあたるなど、地域内での連携体制を整備しています。また、検査分析結果の質を担保するために、検査分析機関に対しても、認証が行われています。

しかし、実際には認定を受けずにNIPTを実施している医療機関があり、なかには産婦人科医がいなかったり十分なカウンセリング体制が整っていなかったりするケースも見られます。カウンセリングや心理的ケアはその後の選択に大きく影響することから、医療機関を選ぶときには注意が必要です。

出生前検査は信頼のおける機関に相談しよう

出生前検査は「命の選別」にかかわる可能性があるとして、積極的な情報提供が避けられてきました。しかし現在では、出生前検査認証制度等運営委員会の設置、こども家庭庁による出生前検査認証制度等啓発事業や性と健康の相談センター事業の推進など、さまざまな整備が進められ、正しい情報の発信と相談窓口の充実が図られています。

男女ともに社会に出て活躍するようになり、将来的な不安や心配事を抱え悩んでいるママやパパは少なくありません。陽性の判定が出ても、十分なカウンセリングや心理的ケアを受けることで将来的な不安が払しょくでき、妊娠・出産を前向きにとらえることができたという事例もあります。

出生前検査について知りたいときは、妊娠・出産に関して不安があるときは、ママもパパも十分に納得して家族の未来を選択ができるよう、信頼のおける機関に相談するようにしましょう。

※この記事は2023年12月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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