【産婦人科医監修】出生前検査とは?妊婦さんの相談体制を整備へ!いつから&受ける前に知っておきたいことを紹介

ママの血液を採取して行う新型出生前検査(NIPT)などを含む出生前検査について、情報提供の充実や相談窓口の整備、制度の見直しが進められています。いつから受けられるのか、陽性の結果が出た場合はどうなるのかといった疑問を解説しながら、制度の見直しのポイントについて紹介します。

2476

この記事の監修

藤東 淳也
産婦人科医
藤東 淳也

目次

  1. 出生前検査とは?
  2. 出生前検査の相談窓口が整備へ?
  3. 出生前検査を受ける前に知っておくことは?
  4. 出生前検査で陽性になったら?
  5. 出生前検査はどこで受けられる?
  6. 出生前検査は信頼のおける機関に相談しよう
  7. あわせて読みたい

出生前検査とは?

お腹の赤ちゃんの先天異常を調べる検査

ママのお腹の中にいるあいだに赤ちゃんの病気や状態を調べる検査を出生前検査といいます。出生前検査では染色体異常、遺伝子疾患、子宮内感染症、奇形などを判定できます。

羊水穿刺や超音波などで検査が行われる

出生前検査は染色体異常などの診断やリスク評価に使われる遺伝学的検査と、赤ちゃんの奇形や臓器の異常を調べる胎児超音波検査のふたつに区別されます。遺伝学的検査はさらに赤ちゃんの疾患の可能性を評価するために行う非確定的検査と、赤ちゃんの疾患の診断を確定させるために行う確定的検査に分かれます。

確定的検査には、検査結果をもとに医師が診断を行う羊水検査と絨毛検査があります。いずれも子宮内穿刺により羊水や絨毛を採取するため、流産や破水などのリスクをともないます。

確定的検査よりも手軽だとして広まっているのが、母体血清マーカー検査や新型出生前診断(NIPT)などの非確定的検査です。ママからの採血で検査が済むため、安全性の面でも評価されています。母体血清マーカー検査と胎児超音波検査を組み合わせたコンバインド検査も行われています。

妊娠9週~20週頃に行う

出生前検査を実施する時期は、検査の種類や医療機関によって異なります。子宮穿刺をする羊水検査は妊娠15週以降、絨毛検査は妊娠11週~14週が目安です。母体血清マーカー検査は妊娠15週~20週、NIPTは妊娠9週~10週頃以降に採血するのが一般的です。コンバインド検査が行われるのは、妊娠11週~13週です(※1)。

出生前検査は、検査結果によって赤ちゃんの命にかかわる重大な決断をしなけらばならない可能性があるものです。そのため、検査のメリット・デメリットを正しく理解し、検査を受けるかどうかを慎重に判断することが大切です。

夫婦ふたりでしっかり検討できるように、検査前には産婦人科医と遺伝専門医による複数回のカウンセリングが設けられています。検査はカウンセリングとは別の日に行われるため、出生前検査について知りたいときは余裕をもってかかりつけの産婦人科医や自治体の窓口に相談すると良いでしょう。

出生前検査の相談窓口が整備へ?

2013年にNIPTが日本で初めて導入されて以来、出生前検査を実施する医療機関は増加しています。その中には本来必要とされる遺伝的カウンセリングや心理的ケア、検査後の診療体制が不十分な病院もあり、ママやパパたちの混乱を招くケースが出てきています。

このような状況はママとパパ、赤ちゃんにとって大きな不利益を生むことから、厚生労働省の専門委員会が出生前検査の適切な在り方について検討を進めてきました。2021年の夏ころには、適切な情報提供と体制の整備を担う運営委員会が発足する予定です。

運営委員会では今後、ホームページによる情報発信や保健所などに設置されている「女性健康支援センター」での相談窓口の整備などが進められます。検査の内容や結果について十分な理解が得られるように中立的な立場からの情報提供を充実させ、専門医療機関や障害福祉関係機関との連携も図られます。

出生前検査を受ける前に知っておくことは?

生まれてくる赤ちゃんの中で、先天的な疾患が見られるのは全体の約3~5%といわれています(※2)。そのうち、出生前検査でわかる疾患はダウン症などごく一部に限られます。検査結果が陽性であっても健康に生まれてくることもあれば、陰性であっても別の疾患を抱えていることもあり、検査結果が完全なものではないということを理解しておきましょう。

非確定的検査ではまれに偽陽性・偽陰性が発生します。検査結果が陽性であった場合は確定的検査による診断を受ける必要があります。

近年では胎児医療や新生児医療の進展により、これまで治療が難しいといわれていた疾患に対してもさまざまな治療が登場しています。疾患や障害を持つ子どもの育児をサポートする制度やサービスも充実してきています。検査結果が出た後のことを念頭に、どのような選択肢があるかあらかじめ情報を集めておくことも大切です。

出生前検査で陽性になったら?

陽性という判定が出た場合にどう対応をするか決めていたとしても、結果を前にすると不安や迷いが生まれるものです。そのため、まずはママやパパに対する心理的ケアを優先したうえで、産婦人科医や小児科医といった専門家によるカウンセリングが行われます。

カウンセリングでは分娩までの経過や出生後の成長、陽性判定の意味や今後の方針・対応などについて説明し、ママやパパのその後の選択を支援します。

非確定的検査で陽性だった場合は、確定診断のための検査が必要です。胎児の状態を詳しく把握するため、別の検査が提案されることもあります。非確定的検査のみに対応している医療機関では、確定診断を希望する人に対し転院の措置がとられます。

出生前検査はどこで受けられる?

出生前検査のうち、NIPTに関しては日本医学会や日本産科婦人科学会などの団体が認定登録制度を運用しています。この制度をもとに、認定を受けた大規模な医療機関に限ってNIPTが行われています。

しかし、実際には認定を受けずにNIPTを実施している医療機関があり、なかには産婦人科医がいなかったり十分なカウンセリング体制が整っていなかったりするケースも見られます。カウンセリングや心理的ケアはその後の選択に大きく影響することから、医療機関を選ぶときには注意が必要です。

こうした現状を踏まえ、これまでの認証制度の見直しも進められています。今後は国もかかわって認証制度の運用が開始される予定です。新制度では実施機関の認証基準を新たに策定し、審査・認証が行われます。認証の対象には、専門的なカウンセリングが行える大規模病院と連携した地域の産婦人科医院も対象となります。

出生前検査は信頼のおける機関に相談しよう

出生前検査は「命の選別」にかかわる可能性があるとして、これまでは積極的な情報提供が避けられてきました。しかし、検査で陽性の判定が出ても、十分なカウンセリングや心理的ケアを受けることで将来的な不安が払しょくでき、妊娠・出産を前向きにとらえることができたという事例もあります。

男女ともに社会に出て活躍するようになり、将来的な不安や心配事を抱え悩んでいるママやパパは少なくありません。出生前検査について知りたいときは、中立的な立場で情報提供を行う信頼のおける機関に相談するようにしましょう。

今後は行政、医療、福祉が連携して体制を整備する予定です。ママやパパが安心して妊娠・出産の準備が進められるよう、これからの環境に期待したいですね。

※この記事は2021年4月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

あわせて読みたい

【中絶体験談】出生前診断は必要?胎児の先天性心疾患が発覚した私の決断
https://mamanoko.jp/articles/30696
妊婦が食あたりになったら?食中毒の症状、胎児への影響や原因、対処法・予防法
https://mamanoko.jp/articles/30062
産褥熱とは?原因や症状、治療法・予防法を解説!帝王切開でも産後に発熱する?|産婦人科医監修
https://mamanoko.jp/articles/29896
妊娠性鼻炎はいつから?妊娠超初期症状?症状と対処法、薬の服用の可否|医師監修
https://mamanoko.jp/articles/29688
妊婦のおやつ|体重管理や小腹がすいたときに役立つおいしく低カロリーの間食を紹介
https://mamanoko.jp/articles/3187