【助産師監修】マザリーズとは?赤ちゃんとママの絆を深める話し方?特徴や月齢別の効果について解説
マザリーズは0歳から2歳までの子育て中に実践できるコミュニケーションの方法で、赤ちゃんとの絆を深める話し方としてメディアなどでたびたび取り上げられています。話し方に特徴があり、赤ちゃんの発達やママとの愛着形成にかかわるとされていますよ。マザリーズのやり方や特徴について、効果とともに現在の見解をご紹介します。
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目次
マザリーズとは?
赤ちゃんに対する話し方
赤ちゃんや小さな子どもに話しかけるとき、話し方は自然とゆっくりになり、いつもより声が少し高くなりませんか。語尾を伸ばしたり音の強弱をつけたりと、表現も豊かになるはずです。
このような乳幼児に対して見られる特徴的な話し方を「マザリーズ(母親語)」といいます。マザリーズは老若男女を問わず使っていることから、「ファザリーズ」「ペアレンティーズ」と呼ばれることもあります。
大人同士の会話でもよそゆきの声を出したり親しい人には砕けた調子になったりと、人は場や相手に合わせて話し方を変えることがありますが、なかでも、新生児から2歳ごろまでの乳幼児を対象としているものをマザリーズとしています(※1)。
アメリカの言語学者が発表したもの
マザリーズは1966年にアメリカの文化人類学者・言語学者チャールズ・ファーガソンが初めて用いた用語だといわれています(※2)。
脳科学や発達心理学のあいだでは専門的に「対乳児発話(IDS)」と呼ばれており、赤ちゃんへの効果やママへの影響など、さまざまな観点から現在も研究が進められています。
マザリーズの話し方の特徴
声の調子や抑揚がポイント
ファーガソン以降にまとめられた研究により、マザリーズには普段の話し方よりもやや声が高く、話す速度がゆっくりになり、声の抑揚・強弱が大きくなるという特徴があることがわかりました。
さらに、語尾が上がることが多い、繰り返しが増える、相手の反応を待つように間(ま)をとるなども特徴としてあげられています(※3)。
4段階の分類
マザリーズは2歳までの乳幼児に対する話し方として定義されていますが、そのあいだにも4段階に変化することがわかっています(※1)。第一段階は新生児期のマザリーズです。生後2ヶ月から3ヶ月頃には第二段階の特徴が見られます。
生後3ヶ月から6ヶ月頃になるとマザリーズは第三段階に入り大きく変化します。第四段階は6ヶ月から1歳頃のマザリーズを指します。
【月齢別】マザリーズの効果
新生児
新生児期のマザリーズは、赤ちゃんの聴覚を刺激し反応を引き出す効果があります。普通の話し声よりも、マザリーズの特徴的な話し方のほうが関心を長く引きつけるともいわれています。
語彙を獲得していない赤ちゃんは、長い文章で話しかけても内容を理解できません。しかし、同じ言葉を繰り返しゆっくり話すマザリーズには注意を傾けるようです。さらに、機械的な音と人の話し声で比べると、人の話し声を聴いたときのほうが赤ちゃんはリズムに合わせて身体を動かす様子がみられました。
ママやパパが話しかけるときは、言葉の数よりもゆっくりと抑揚をつけて話すことで赤ちゃんとの親和性を高め信頼関係を築くことにつながるといえるでしょう。
生後2ヶ月〜3ヶ月
新生児期をすぎて生後2ヶ月頃になると、赤ちゃんはママやパパからの語り掛けに反応を示すようになりますね。笑顔もみられるようになってきます。マザリーズはこうした赤ちゃんの情動(じょうどう)に働きかけ、豊かな感情を引き出すものです。
情動とは一般的に快・不快、喜び・怒り、安らぎ・不安といった感情の動きを指します。マザリーズはこの中でも特に、快感や安らぎなどのポジティブな感情を与えると考えられています。
最近の研究では、誇りや恥、嫉妬(しっと)といった社会的な感情、思考力や推論力にも影響することが明らかになっているようです。
生後3ヶ月〜6ヶ月
赤ちゃんの首がすわり、物の動きを目で追う様子が見られるようになると、赤ちゃんとの遊びの幅が広がってきますね。ねんねをしながらの手遊び歌や、おもちゃ遊びを楽しむママ・パパもいることでしょう。
こうした活動が広がるにつれて、マザリーズには複雑な音程が含まれるようになります。赤ちゃんはマザリーズにあらわれるリズムやメロディーから、相手の気分や意図を察するようになるといわれています。
生後6ヶ月〜12ヶ月
生後6ヶ月を過ぎると赤ちゃんの聴覚はさらに発達し、話しかけに対しての注意力があがります(※4)。活発に喃語を話し、ママやパパの言葉をまねする様子もみられるでしょう。
このように言葉への関心が増して意味を理解し始めるようになると、マザリーズのイントネーションであったり、リズムのパターンであったりが変化してきます。
たとえばボール遊び。ボールを転がしながら「ボールころころー」と語尾を伸ばして強調しませんか。手を拭きながら「きれいきれいしようねー」と繰り返すこともあるでしょう。こうした母音が強調される語尾の使い方や繰り返しのリズムが、赤ちゃんの言語習得に影響するのです。
聞いたことのある言葉だと赤ちゃんの脳の反応も変わることが判明しており、マザリーズが言語理解を促すことが科学的に証明されています。
マザリーズはママにも効果がある?
言葉を話せない赤ちゃんに対して、接し方がわからず不安に思うママやパパは少なくありません。このようなときは、マザリーズを実践すると赤ちゃんが好意的な反応をかえしてくるので、ママやパパはコミュニケーションに自信が持てるようになります。
反応がかえってくるとママやパパの語りかけが増え、赤ちゃんとのコミュニケーションはますます活発になります。ここに赤ちゃんとママの愛着が形成され、精神的にも安定した状態が保たれますよ。高い声でゆっくりと、抑揚を付けながら繰り返し赤ちゃんに話しかけてみてくださいね。
マザリーズで赤ちゃんとのコミュニケーションを楽しもう
マザリーズの話し方は特徴的なため、抑揚をつけたり高い声で話したりすることに恥ずかしさを覚えることもあるかもしれません。マザリーズを実践するのが難しいと感じたときは、まずは身体の力を抜いてリラックスしてみましょう。呼吸を意識して、発声練習からはじめると声を出すことへの抵抗感が薄まるかもしれません。
幼児番組のお兄さん・お姉さんを真似て話しかけるのも良いですね。マザリーズで話しかけているうちに少しずつ慣れてきて、ママやパパの気持ちが自然と明るく前向きに変わってくることでしょう。
子育て支援センターや助産院などではマザリーズ講座を開講していることがあります。住んでいる地域で参加できるものがないか確認してみてはいかがでしょうか。
※この記事は2022年4月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。