【低出生体重児をサポート】リトルベビーハンドブックとは?母子手帳との違いや特徴について紹介
低出生体重児(リトルベビー)の子育てをサポートする取り組みが各地で広がっています。母子手帳に代わって、小さく生まれた赤ちゃんの成長を記録する「リトルベビーハンドブック」もそのひとつです。一般的な母子手帳との違いや受け取り可能な場所などについて助産師監修で紹介します。
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目次
低出生体重児とは?出生の割合
低出生体重児とは
出生時の赤ちゃんの状態は出生体重、在胎週数に応じた身体の大きさ、出産週数の三つの定義によって示されます。このうち出生体重による定義において、2,500g未満で生まれた赤ちゃんを「低出生体重児」と呼びます。2,500g以上4,000g未満は「正出生体重児」、4,000g以上が「高出生体重児」と分類されています(※1)。
低出生体重児 | 2,500g未満 |
正出生体重児 | 2,500g以上、4,000g未満 |
高出生体重児 | 4,000g以上 |
2019年の低出生体重児の割合は9.4%
大阪府立病院機構 大阪母子医療センター 母子保健統計「低出生体重児の体重別出生数と出生割合:全国・大阪府」によると、2019年に全国で誕生した約86万5,000人の新生児の中で、2,500g未満の低出生体重児は9.4%、約8万1,000人でした(※2)。赤ちゃんが小さく生まれる要因はさまざまで、妊娠高血圧症候群や前置胎盤、多胎妊娠などがあげられます。
低出生体重児の中でもっとも多いのは2,000g以上2500g未満で生まれる赤ちゃんですが、1,500g未満の極低出生体重児や1,000g未満の超低出生体重児として生まれてくる赤ちゃんもいます。こうした小さく生まれた赤ちゃんの成長を見守るために作られたのが「リトルベビーハンドブック」です。
超低出生体重児 | 1,000g未満 |
極低出生体重児 | 1,500g未満 |
低出生体重児 | 2,000g以上2500g未満 |
リトルベビーハンドブックとは?
リトルベビーハンドブックは、小さな身体で生まれた赤ちゃんとママ・パパのための母子健康手帳(母子手帳)です。
一般的な母子手帳の様式では、小さな身体で生まれた赤ちゃんの身長・体重や発達を記録しづらいという難点がありました。一般的な赤ちゃんの成長曲線を見て心が苦しくなったママやパパもいることでしょう。こうした不便さとママやパパの不安を解消するために、リトルベビーハンドブックではさまざまな配慮がなされています。
内容は発行する自治体によって異なりますが、多くは低出生体重児を持つ当事者であるママや小児科医などが制作に携わっており、実際の経験に基づいた情報が盛り込まれているのが特徴です。おおむね3歳までの成長や治療の記録ができ、母子手帳との併用も可能です。
リトルベビーハンドブックの特徴
赤ちゃんの成長が記録しやすい
一般的な母子手帳は乳幼児身体発育調査の結果をもとに作成されているため、体重は1kg、身長は40cmから目盛りが始まります。
一方のリトルベビーハンドブックは体重1,500g未満の発育曲線が描かれ、目盛りは0を起点としています。NICUでの記録や退院時のケアについて記録できるページ、修正月齢による発育状況を記入する欄などが設けられており、成長の経過がわかりやすくまとめられます。
医療的ケアが必要になったときに、医師や看護師に必要な情報を伝えやすいというのもポイントです。
ママやパパに寄り添ったメッセージ
小さな身体の赤ちゃんを育てていると、ママやパパの胸にはうれしさと同時に赤ちゃんの成長に関する不安な気持ちや自分を責めてしまう気持ちなど複雑な感情がわいてくることがあるかもしれません。赤ちゃんや自分が置かれた現状に深く悩むママも少なくありません。
リトルベビーハンドブックには、こうした気持ちを抱えるママやパパに寄り添ったメッセージが載せられています。先輩ママが感じた偽りのない言葉や医療機関スタッフからの励ましは、ママやパパ、家族の不安を少しずつ解消してくれるのではないでしょうか。赤ちゃんの成長やママの気持ちの面などで悩むこともたくさんありますが、多くの人がママや家族を支えてくれていることが実感できる内容といえます。
低出生体重児向けの育児情報
低出生体重で生まれた赤ちゃんは、その子なりのそれぞれのスピードで成長していきます。一人ひとりの成長をゆっくりと見守れるように、発育に関する情報が多く掲載されているのもリトルベビーハンドブックの特徴です。
運動機能を確認するポイント、予防接種や医療情報、発達に関するQ&Aなど、必要な情報が簡潔に整理されています。困ったときに相談できる地域の窓口も記載されているため、健康保険証と一緒に管理しておくと安心ですね。
リトルベビーハンドブックはどこでもらえる?
現在6県5市で運用中
一般的な母子手帳は自治体の窓口に妊娠を届け出ると交付されますが、リトルベビーハンドブックを扱っているのは一部の自治体に限られています。2021年12月現在配布されているのは静岡県、岐阜県、福岡県、広島県、愛知県、佐賀県など6県5市です。
各県のホームページでは、健康福祉を管理する部署のページからリトルベビーハンドブックのデジタルデータがダウンロードできます。住んでいる自治体でまだ取り扱いがない場合は、取扱いのある自治体のホームページからダウンロードし、参考にしてみると良いでしょう。
最近では導入を検討する自治体が増えているので、住んでいる自治体に扱いがあるか確認してみても良いですね。各県の総合周産期母子医療センターや地域周産期母子医療センターなどで配付されていることもあります。
配布の対象者
リトルベビーハンドブックは出生体重が1,500g未満の場合を対象に配付されています。出生体重が2,500g未満の場合は、特に支援が必要な場合に配付されることが多いでしょう。早産児も対象に含む自治体や、そのほかの低出生体重児で支援が必要な場合を対象にしている自治体もあります。
低出生体重児のサポートを活用しよう
リトルベビーハンドブックは、同じ体験をしたママたちの声から生まれた手帳です。つらい気持ちになったとき、リトルベビーハンドブックに載せられているたくさんの情報や励ましの声が、ママや家族を支えてくれるのではないでしょうか。
リトルベビーハンドブックを活用し、周囲のサポートを得ながら、赤ちゃんとママのがんばりを記録していきたいですね。
※この記事は2022年1月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。