【産婦人科医監修】切迫早産で安静に過ごす期間は?安静中の生活と過ごし方、注意点

妊娠するとどのような方でも、切迫早産になる可能性があります。切迫早産とはどういう状態かどのようにして過ごせば良いか悩む方も少なくありません。「普段の生活より安静に過ごす」基準はどのような状態なのか、切迫早産や安静生活の過ごし方などについて、産婦人科医監修の記事で解説します。

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この記事の監修

藤東 淳也
産婦人科医
藤東 淳也

目次

  1. 切迫早産とは
  2. 切迫早産の原因は?
  3. 切迫早産の症状
  4. 切迫早産で入院による安静が必要になる基準
  5. 切迫早産による自宅安静中の生活
  6. 切迫早産による安静中の過ごし方
  7. 切迫早産による安静時の注意点
  8. 切迫早産で安静に過ごす時期
  9. 切迫早産に関する筆者の体験談
  10. 切迫早産になったらできるだけ安静に過ごそう
  11. あわせて読みたい

切迫早産とは

切迫早産とは、どういった状態のことをいうのでしょうか。

まず、切迫流産とは「早産の一歩手前」の状態です。また、「切迫流産」との違いは妊娠週数だけで、ともに赤ちゃんがお腹から出てきそうになっている状態を指します。妊娠22週目未満は「切迫流産」と呼ばれ、22週目以降から妊娠36週6日までは「切迫早産」と呼ばれています。

切迫早産の原因は?

切迫早産の原因は、ママ側にある場合と赤ちゃん側にある場合にわけられます。

ママ側に原因がある場合

ママ側の要因としては、以下のようなものが考えられます。

・子宮頸管無力症
・妊娠高血圧症候群
・子宮筋腫
・過度のストレス
・喫煙
・歯周病

赤ちゃん側に原因がある場合

赤ちゃん側の原因としては、赤ちゃん自身もしくは胎盤の機能不全や、羊水過多・過少などがあげられます。

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切迫早産の症状

切迫早産の症状を大きく分けると、以下のようになります。

不正出血

真っ赤な出血や、止まらない出血、大量の出血がある場合は受診しましょう。少量の出血であっても、妊娠中の不正出血は、流産・早産の危険信号の可能性があります。

お腹の張りや痛み

横になって休んでも改善されない張りや痛みは要注意です。激痛があるときも受診しましょう。また、安静にしているにもかかわらず、頻繁にお腹が張る場合も注意が必要です。

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子宮頸管や子宮口の変化

子宮頸管が短くなっている、子宮口が開いてきている、といった場合は切迫早産のリスクが上がります。早産の可能性もあるので要注意です。しかし、自分では身体の異常に気付かないことが多いため、妊婦健診は必ず受けましょう。

破水

破水をしたら早急に産婦人科に電話をし指示をあおいだり受診したりしましょう。

切迫早産で入院による安静が必要になる基準

入院が必要になる基準は個人差があり、母体や赤ちゃんの状態で変わるので医師の診断にしたがうことが大切です。一般的には「入院するほどではない」と考えられるレベルでも、「入院して経過を見たい」と医師が判断する場合もあります。

また、住環境や家庭環境などにより、安静に過ごせる環境を優先するためには、入院したほうが良いというケースもあります。

切迫早産による自宅安静中の生活

入浴

入浴しても良いのかどうかは、お腹の赤ちゃんの状態はもちろん、ママ自身の健康状態で大きく変わります。湯船につからずにシャワーは浴びても良いという場合もあれば、シャワーも控えめにしてホットタオルなどで汗を拭くくらいで済ませる場合もあるでしょう。

トイレ・洗面・歯磨き

歯を磨くことも顔を洗うこともできない状況なら、自宅安静ではなく、入院となるでしょう。自宅安静のレベルであれば、トイレや洗顔、歯磨き程度は問題ないと判断できます。ただし、椅子に座るなどの工夫をしたり、寒い時期は冷えにくい格好をしたりすると良いですね。

家事全般

家事の中で避けなければならないのは、長時間立ったままの料理や前かがみで行う掃除などです。また、重いものを持たないように気を付けてください。「今しなければ命にかかわるという重大なこと以外はやらない」くらいの感覚で過ごすのが無難でしょう。

安静にしていても、食事の準備や掃除、洗濯は気になってしまいますよね。しかし、安静を優先することが大事なので、お弁当を買ってきてもらう、デリバリーを頼む、冷凍食品を使うなどの工夫をして食事を済ませ、掃除洗濯はパパや家族に頼みましょう。可能であればお掃除ロボットを使うのもひとつの手段ですよ。

仕事

仕事をしている場合、「切迫早産となっても休みたくない、頑張りたい」と思う人もいるでしょう。しかし、無理をして職場で倒れるようなことがあれば、休むこと以上に迷惑をかけてしまうことになります。今後のことを考えると、仕事を休むという選択ができると良いですね。

外出

外出に関しては、どうしても行かなくてはならない用事以外での外出は避けたいものです。たとえば、上の子の保育園の送迎がある場合は、家族に頼むなどの方法を考えてみてください。「これくらいは大丈夫」と自己判断せず、かかりつけの医師などに相談しましょう。

上の子の世話

上の子のお世話は全てを他人任せにできない部分が多く、年齢によっては抱っこをしなければならないこともあるでしょう。しかし、抱っこの負担は想像以上であり、上の子の欲求にすべて答えていると、安静にしていられる時間は極端に減ってしまいます。「かわいそう」と思うかもしれませんが、一時保育を利用するなど、ママの負担を減らしましょう。

また、上の子が未就園児の場合は、ママの状況を問わず、一時保育やベビーシッターファミリーサポートなどの一時的に頼めるサービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

ママが家にいるあいだは、普段より余計にママを求めることもあるので、ママの負担は増えてしまいます。子どもがこうしたサービスに慣れていると、万が一のときも安心できますよ。

セックス

医師から自宅安静の指示が出て、「セックスは絶対にやめてください」などと注意されている場合以外は、特別に神経質になる必要はありません。しかし、赤ちゃんが産まれやすくなっている状況なのは変わらないので、安静にしているのにお腹が張るときや体調が悪いときなどは避けましょう。

精液には、子宮を収縮させる「プロスタグランディン」というホルモンが含まれています。このホルモンが切迫早産の引き金になることがあるといわれています。セックスの際は感染症対策も兼ねて必ずコンドームを使い、心配なときは主治医に相談しましょう。

切迫早産による安静中の過ごし方

横になってゆっくり休むことが大切なので、安静時は上手に暇つぶしをしつつ、ストレスをためないようにしましょう。たとえば、読書や編み物などをするのもおすすめです。生まれてくる赤ちゃん用グッズを作るのも楽しみが増えます。漫画を読んだりDVDを観たりするのも良いですし、大人の塗り絵やパズルも楽しいものですよ。

しかし、楽しむことを優先して根を詰めてしまうと安静とはいえません。ゆっくりと横になって過ごしながら、出産や産後の育児のイメージを沸かせてみてはどうでしょう。出産時の流れを思い浮かべたり、生まれた赤ちゃんをお風呂に入れる手順を考えてみたりと、想像するだけでも楽しくなれそうですね。

切迫早産による安静時の注意点

仕事をしている方は、仕事を休みましょう。無理をして職場で倒れてしまうなど、かえって迷惑をかけてしまいます。心苦しく感じるかもしれませんが、お休みすることが、自分にも赤ちゃんにも職場にも必要なんだと割り切ることが大事です。必要な場合は医師から診断書を書いてもらい、職場へ理解を求めましょう。

切迫早産中は、やりたい家事や自分の用事、仕事は我慢のときです。ゆっくりと横になって休むことが優先なので、無理はしないのが鉄則だと考えましょう。しかし、それがストレスになってしまっては苦しくなるだけです。上手にガス抜きをして、ストレスなく過ごせる工夫をしてくださいね。

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切迫早産で安静に過ごす時期

切迫早産と診断されたら、正期産(37週以降)に入るまでは安静にするという感覚で過ごすことがすすめられています。安静に過ごす時期は妊娠37週を超えることがひとつの目安となります。

切迫早産に関する筆者の体験談

筆者は4人目で初めての切迫早産を経験しました。3人目をどこに預けるのかと必死になったことは今でも忘れません。切迫早産で自宅安静になったことで生じた我が家の問題点は、自分たちだけの力では乗り切れないものでした。

上の子を抱っこすることでお腹は張り、休みたくても休めない現実に身体も心も疲れ切っていました。お腹の赤ちゃんを守りたいけれど、今の自分では限界があるとさえ感じた時期でした。切迫早産は他人ごとだったので、自分にふりかかるなんて夢にも思っていなかったのです。しかし、現実は切迫早産で自宅安静ということで、本当に大変な時期を過ごしました。

自宅安静を守ることを条件に退院しましたが、安静はどのレベルなのか、どこまで安静にしていれば良いのか、生まれるまで安静に過ごすのは無理ではないかと、いろいろなことを考えました。安静の大敵であろうストレスも感じていました。上の子がいたら安静にするのは無理です。家事をしなければならないと、寝て過ごすことはできない状況でした。

いつ切迫早産になるかは、誰にもわかりません。しかし、備えがあればなんとかなるものです。今後妊娠を考えている方も、最善を尽くせるように準備しておくことをおすすめします。

切迫早産になったらできるだけ安静に過ごそう

切迫早産になったら仕事や家事は休み、安静に過ごすことを優先しましょう。無理をせず、ゆったりとした時間を長く確保することが大切です。自宅安静になったら、ストレスをためないよう工夫をしつつ、しっかりと休んでくださいね。

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