子宮外妊娠の確率は?年齢が高いとなりやすいの?初産と二人目では異なるって本当?
産婦人科医監修|子宮外妊娠(異所性妊娠)は妊娠全体に対する確率は低いものの、母体へのリスクが大きく、早期の発見が大切です。妊娠年齢が高い場合や過去に人工妊娠中絶を経験した場合などは、子宮外妊娠になりやすくなるといわれています。ここでは、ケース別の発症率や原因、症状などについて解説します。
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目次
子宮外妊娠が起こる確率は?
子宮外妊娠とは
子宮外妊娠は、正式には「異所性妊娠」と言います。本来子宮内膜に着床するはずの受精卵が、何らかの原因で子宮内膜以外の場所に着床してしまうことです。
主に卵管に着床しますが、まれに卵巣や子宮頸管で発症することもあります。受精卵は子宮以外のところでは正常に発育できないため、子宮外妊娠では妊娠を継続することができません。また、卵管に着床したまま放置してしまうと、卵管が受精卵の成長に耐えられず、卵管破裂などを引き起こす危険性があります。
子宮外妊娠の確率
子宮外妊娠が起こる確率は全体の妊娠に対して1〜2%といわれています。特に、卵巣や卵管の手術を受けたことがある人、クラミジアなどの性感染症や子宮内膜症を発症したことがある人、人工妊娠中絶をしたことがある人は比較的発生率が高いようです。体外受精で胚移植を行った場合も、子宮外妊娠になる確率が上がります。
ケース別の確率を以下にまとめましたので、参考にしてみてくださいね。
□子宮外妊娠の既往
子宮外妊娠を経験した人が再び子宮外妊娠になる確率は10~15%程度といわれています。
□経産婦
初産と二人目以降の経産婦ではどちらが子宮外妊娠になりやすいかというと、前回の妊娠から5年以上経った経産婦がなりやすいといわれます。
□体外受精
体外受精で受精卵を子宮内腔に注入する「胚移植」を行った場合、子宮外妊娠になる確率は約2〜4%です。
□高齢妊娠
40歳以上の妊娠では、10代の妊娠の3倍の確率で発症するといわれています。
子宮外妊娠の原因
卵管の異常
クラミジア感染症や子宮内膜症などが原因で卵管が炎症を起こした場合、卵管が癒着しやすくなります。癒着により、受精卵が子宮まで到達できなくなり、子宮外妊娠が起こる可能性があります。
受精卵の輸送の異常
□受精卵の外遊走
卵管で受精した受精卵が腹腔内に排出されて、発育した後に腹膜や卵巣、反対側の卵管などに着床することを言います。
□体外受精後の胚移植
体外受精で胚移植をする際、受精卵が子宮体部を通り越してしまい、卵管内や子宮頸部に着床することがあります。
子宮の異常
過去に子宮内避妊具の使用や人工妊娠中絶の経験があると、炎症が起こって子宮内の環境が変化し、受精卵が卵管内などに着床することがあります。
子宮外妊娠の症状は?
一般的に妊娠6週目頃までは症状が出ないことが多いようです。ただし、妊娠週数が進むと受精卵が発達してくるので、不正出血や下腹部痛の症状がみられるようになってきます。月経や正常な妊娠との区別がつきにくいため、自覚症状から早期に気づくことは難しいといわれます。
たとえば卵管に着床している場合、受精卵の発達に伴って卵管がその大きさに耐えられなくなり、出血や痛みも増してきます。妊娠7〜8週頃になると卵管破裂のリスクが高くなり、放置すると腹腔内に大出血が起こり、出血性ショックにいたる可能性も出てきます。
子宮外妊娠はいつわかる?
子宮外妊娠は、妊娠6週目頃までにはわかることが多いようです。
子宮外妊娠は正常妊娠と同じように、生理が止まり、妊娠検査薬では陽性反応が出ます。正常妊娠ならば妊娠5〜6週以降、エコー検査で子宮内に赤ちゃんを包んでいる「胎嚢(たいのう)」が確認できるようになります。この胎嚢が子宮内に確認できない場合、子宮外妊娠の可能性が高いと言えます。
ただし、妊娠週数の数え間違いといった理由から、妊娠6週を過ぎても胎嚢が確認できない場合もあります。そのため、基礎体温から実際の妊娠週数を計算したり、受精卵を育てるために必要な「hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)ホルモン」の数値を血液検査で調べたりして、総合的に診断します。
早期発見が何よりも大事
子宮外妊娠は誰にでも起こる可能性があり、完全な予防は困難です。気づかずに時間が経つと卵管破裂の危険性もあり、母体へのリスクも大きくなります。しかし、早期に発見できれば深刻なダメージを回避できる可能性があります。妊娠検査薬で陽性反応が出たら、早めに産婦人科を受診しましょう。胎嚢が確認できるまでは不正出血や下腹部痛などの症状を見逃さず、もし思い当たることがあればすぐに医師に相談してくださいね。