妊婦に便秘薬は使える?便秘の種類や原因によって対処法が変わる?
腹痛や下痢・お腹の張りなどの症状を引き起こすこともある「妊婦の便秘」に悩む人は少なくないでしょう。便秘薬の種類や便秘の原因による対処法の違い、病院でのマグミットやラキソベロンなどの処方薬・市販薬はどのようなものかについて解説します。
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便秘・頻尿、注意したい妊婦のマイナートラブル
妊娠に伴い、妊婦はさまざまな不安や悩み、トラブルを抱えることがあります。妊娠中の行動や食生活、胎児の発育への不安、出産・育児への不安、妊娠による心と身体の変化などが気になる人もいるかもしれません。なかでもマイナートラブルと呼ばれる症状に悩む人は多いでしょう。便秘や腰痛、つわり、胸焼け、頻尿、お腹がつる、不眠、めまい、だるいといった症状は、個人差はあれども多少なりとも経験したことがある妊婦は多いかもしれません。
つわりのように妊娠初期を過ぎると比較的落ち着いてくるものもありますが、妊娠後期にお腹が大きくなるにつれて悩む妊婦が増える不眠などもあり、妊娠期間を通して常に悩みが尽きない人もいるでしょう。特に便秘をはじめ頻尿や尿漏れといった症状は相談しにくいと感じる人が多く、症状を我慢してしまったり自己判断による対処で悪化してしまったりするケースは少なくないといわれています。
何日出なかったら便秘?妊婦が悩む「便秘」の定義
便秘とは排泄が著しく遅れる、または排泄時に痛みを感じるといった状態を指します。一般的には1日1回以上の排便がある人が多いといわれています。多くの場合、1週間で3回程度の排便があるといわれており、目安としては3日以上排便がない状態であれば便秘の可能性を考えても良いかもしれません。
ただし「排便回数」のみではなく、「排便に関する不快な症状はないか」にも注意が必要です。2・3日に1回程度の排便間隔でも、排便時に痛みを感じる、苦しい・お腹が張るといった症状がないのであれば便秘としての治療は必要ないともいわれています。一方で1日1回以上の排便がある場合でも、痛みなど不快な症状があるのであれば、治療の必要があるかもしれません。
妊婦の便秘、いつからいつまで注意が必要?
女性は便秘になりやすいといわれています。便秘にはさまざまな原因が考えられますが、妊婦であれば妊娠による便秘、普段の生活習慣による便秘の可能性が高いかもしれません。原因にもよりますが、妊婦は便秘になりやすいといわれているため妊娠期間を通して便秘には注意が必要だといえるでしょう。
「妊娠による便秘」では、妊娠初期に分泌が増える女性ホルモンのひとつ、プロゲステロン(黄体ホルモン)の影響があげられるでしょう。プロゲステロンは流産を防止するために腸の蠕動(ぜんどう)と呼ばれる動きを抑制するため、便秘の原因になっている可能性が高いといわれています。また妊娠中期・後期に関しては、お腹が大きくなることで腸が圧迫され便秘が起こりやすくなるといわれています。大きくなったお腹は血管も圧迫し、痔を引き起こすこともあります。
普段の生活習慣による便秘は、妊娠期間を通して注意が必要でしょう。普段から食事量が少ない・栄養バランスが偏っている・水分摂取が少ないといった食の問題や運動の問題、日頃から排便を我慢してしまう、ストレスをためやすいといったことが便秘を引き起こす場合があります。
便秘の種類で対処法が変わる
妊娠中の身体の変化・症状に関する悩みであげられることが多い便秘には、大腸性の便秘と直腸性の便秘があります。便秘の種類は原因によって決まり、それぞれの特徴や対処方法が異なります。
「大腸性の便秘」は、腸の動きが悪くなっていることが特徴的です。腸を動かすために排便を促す食事・適度な運動量の確保・定期的な排便といった対処を行う場合があります。「直腸性の便秘」は、直腸から便を排出できないことが特徴となります。排出を促すために姿勢やタイミングといった排便習慣の見直し・ウォシュレットなどによる肛門の刺激・座薬や浣腸の使用といった対処が検討されることがあります。「その他の便秘」としては、便が腸を通過できないケースや鉄剤などの薬による副作用のケースも考えられるでしょう。
便秘の原因を特定するのは難しいため、医師と相談しながら適切な対処を行っていくことが大切でしょう。便秘薬を飲んでも効かない場合には、便秘の種類と特徴にあっていない便秘薬を服用している可能性があるかもしれません。妊婦は薬による母体・胎児への影響を防ぐためにも、医師に相談しながら適切な対処を行い、症状の緩和を目指すのが安全です。
妊婦も飲める?便秘薬には種類がある
妊娠中に悩む人が多い「便秘」には種類があるため、便秘薬にも種類があります。病院で処方される薬・市販の薬、液体のもの・固形のもの、錠剤・座薬・浣腸薬、習慣性(依存性)があるもの、妊婦など特定の人への使用には注意が必要なものなど、さまざまな特徴があります。代表的な便秘薬は大きく5つの種類にわけられるでしょう。
妊婦には原因と症状、妊娠の経過や妊娠週数、他の薬との併用により薬の使用可否・使用される薬が異なり、酸化マグネシウム・センナ・センノシド・ピコスルファートといった下剤の処方が行われる場合もあるようです。これらの成分が含まれた市販の便秘薬の使用を希望する場合も、医師に相談してから使用するのが良いでしょう。
酸化マグネシウムなどの「塩類」
マグラックスという商品名などで販売されている「酸化マグネシウム」は8時間から10時間程度のあいだ効果に期待ができます。依存性がなく、継続的な使用が可能な場合もあります。
ラクツロースなどの「糖類」
リフォロースという商品名などで販売されている「ラクツロース」は40時間から96時間と比較的長いあいだの効果が期待できます。産婦人科系の手術後や子どもの便秘に使用される場合があります。
センノシド、センナなどの「刺激性」
刺激性の便秘薬にはいくつか種類があります。代表的なものは、アローゼンなどの商品名で販売されている「センノシド、センナ」で、8時間から12時間程度のあいだ効果が期待できます。ただし長期間使用していると耐性ができて効果が弱まる人もいるようです。
グリセリンなどの「浣腸剤」
グリセリン浣腸といった名称で販売されている「グリセリン」は、浣腸剤という特徴上、すぐに効果が現れることに期待ができます。連続して使用すると耐性がつき、効果が出にくくなる人もいるようです。
パンテチンなどの「自律神経作用薬」
パントシン散などの名称で販売されている「パンテチン」は、10時間から20時間程度のあいだ効果が期待できます。神経に作用する薬となるため、発汗・吐き気などの副作用が出る場合もあるようです。
妊娠中の便秘薬は禁忌(きんき)ではない?
妊婦は薬の使用に慎重にならなければいけないという認識がある人は多いかもしれません。妊娠中の薬を使用すると、薬によっては母体や胎児に深刻な影響を与える可能性があります。妊娠初期であれば胎児の各種器官形成への影響、妊娠中期・後期であれば胎盤を通じて胎児に薬の効果が現れることへの影響が考えられるでしょう。飲み薬だけでなく、湿布などの貼り薬や軟膏などの塗り薬、漢方薬にも注意が必要です。
「禁忌(きんき)」には、薬を使用してはいけない人を指す「禁忌」、薬を使用しないことを原則とするものの特別に必要な場合には慎重に使わなければならない「原則禁忌」があります。禁忌・原則禁忌は添付文書と呼ばれる薬の取扱説明書のようなものに記載されています。
妊娠中はすべての薬を使用してはいけないという認識の人もいますが、必ずしもそうとは限りません。妊婦を禁忌として定めている薬もありますが、原則禁忌の場合や禁忌として定められていないものもあります。妊娠中の薬の使用については医師や薬剤師への確認をするとともに、添付文書を参考にするのも良いかもしれません。お腹の赤ちゃんへの影響を考えて、妊婦は薬の使用に関しては自己判断せず、必ず医師に相談してから使用するのが安心でしょう。
妊婦が使用したい薬について調べることはできる?
妊婦が禁忌である薬かどうかを確認したい
独立行政法人の医薬品医療機器総合機構のHPでは病院で処方される薬、市販されている薬の添付文書や薬に含まれている成分を確認することができます。基本的には妊婦が使用する薬については病院へ相談するのが安心ですが、参考情報として活用するのは良いかもしれません。
妊娠中に飲んでしまった・飲みたい薬の相談は
妊娠・授乳中の薬に関する情報機関「妊娠と薬情報センター」をご存知でしょうか。2005年に厚生労働省の事業として始まり、2017年12月現在では全国46施設に拠点病院が広がっています。妊婦・胎児に対する薬の相談・情報収集を行うことで、予期せぬ妊婦・胎児への薬の影響を防ぐことを目的としています。
かかりつけの産婦人科医への相談が望ましいですが、相談が難しい場合・他の意見を聞きたい場合などに活用できるかもしれません。相談方法にはいくつかの手順がありすぐに相談できるわけではない点には注意が必要ですが、安心できる公的機関であることから何かあれば活用するのも良いかもしれませんね。
下痢・お腹が張る・腹痛、便秘薬の副作用はある?
妊娠中であれば薬の使用に関して慎重になる妊婦は多いでしょう。便秘時には、お腹が膨脹することで「お腹が張る」、便秘によって子宮に刺激が与えられ子宮収縮による「お腹の張り」を感じることもあります。吐き気・おなら・気持ち悪い・胃痛といった症状が気になることもあるでしょう。
妊婦だからと症状を我慢するのではなく、症状を緩和する方法をよく医師と相談することが大切です。医師に相談して薬の使用が可能になると、次は副作用や影響が気になってくるかもしれません。便秘薬を使用した際に考えられる副作用・影響は、使用した薬の種類や便秘の原因によっても変わるでしょう。
下剤を使用した場合には、薬の効果によって「下痢」、「水様便」と呼ばれるゆるい液状の便が出るといったケースもあるかもしれません。薬が効きすぎていると感じた場合には医師にこのまま継続して使用すべきかを相談すると良いでしょう。便秘により排便しにくくなることで「腹圧がかかり、流早産を招く」可能性もあります。自己判断による便秘薬の使用では胎児に奇形・障害といった危険性を招く可能性もあるかもしれません。医師とよく相談し、副作用や影響などをよく理解した上で薬を使用するのが良いかもしれませんね。
妊婦の便秘は何科にかかる?便秘薬は処方される?
妊娠中に便秘、便秘に伴う腹痛・下痢・お腹の張りに悩む場合には病院の受診を考える人もいるでしょう。妊娠中に便秘で病院を受診する際には、内科・消化器内科・産婦人科などの受診を検討すると良いでしょう。産婦人科以外を受診する場合には、薬の処方の際の参考になるため妊婦である旨を必ず告げましょう。
妊婦への薬の使用は母体・胎児への影響を考える必要があるため、妊娠の経過や妊娠週数・便秘の原因や状況・併用する薬の有無などを考えて処方の有無・薬の種類が検討されるでしょう。妊娠中の薬は使用を控える方向で考える医師は少なくありませんが、妊婦でも便秘の状況によってはマグミット・アローゼン・ラキソベロンなどの下剤が処方されることもあります。薬が効かない場合には医師に相談してくださいね。
「酸化マグネシウム」をふくむマグミット・マグラックス、「センナ・センナジツ・センナエキス」をふくむアローゼン・ヨーデルS糖衣錠、「ピコスルファートナトリウム水和物」をふくむラキソベロン・ヨーピス・シンラック錠などが便秘薬として病院から処方される妊婦もいるようです。
ただし、他の薬との併用や妊娠の状況によって個々人にあわせて処方されているため、妊娠前に処方されたものを飲み続けたり似た成分が入った市販薬を自己判断で服用したりするのはやめましょう。
市販の便秘薬、漢方薬は妊婦にも使える?
妊娠中の便秘に対して即効性を重視した解消法を求めるのであれば市販の便秘薬、漢方薬などを検討する人もいるでしょう。妊娠中は薬の服用に慎重にならなければいけませんが、絶対に服用してはいけないというわけではありません。市販の便秘薬も事前に薬剤師や医師に相談して使用するのであれば比較的安心できますね。ただし薬には副作用があり、何かしらの影響を母体・胎児におよぼす可能性があることは理解した上で使用しましょう。
市販の便秘薬としては、「センノシド」をふくむウィズワン、「水酸化マグネシウム」をふくむミルマグ、 「酸化マグネシウム」をふくむ3aマグネシア・スラーリア便秘薬、「ビサコジル」をふくむコーラックなどがあげられます。また複数の有効成分をふくむカイベールやスルーラックといった市販薬もあります。多くの薬は妊婦が使用する際には医師や薬剤師への相談が必要としているため、自己判断で服用することはやめましょう。
薬局などで販売されている市販の漢方薬も「薬」であるという認識がない人は少なくありません。漢方でよく用いられる生薬(しょうやく)の効果を強調した健康食品などもあるため、なかなか見分けがつかないこともあるでしょう。原則、漢方薬は薬であることには変わらず、生薬やハーブ由来だから妊婦にも安心であるとはいえません。タケダ・ツムラなどの有名メーカーが販売する漢方を使用してはいけないわけではないため、医師へ相談してから使用すると良いでしょう。
便秘薬は毎日飲んだらダメ?鉄剤との併用は?
妊娠中には便秘になりやすいといわれ、便秘から痔の症状が引き起こされることも珍しくないといわれています。痔の痛みや出血への恐れから排便を我慢し、便秘の症状が進むケースもあります。便秘は、毎日排便できていないから便秘であるとは限りませんが、ある程度の排便間隔があると不安になる人もいるかもしれません。便秘で腹痛・お腹が張る・便秘といった症状があれば、すぐに効き目が現れてほしいと考えて便秘薬の使用を検討する人は多いでしょう。
便秘薬を飲む頻度について悩む人は少なくありません。ただし、便秘には種類があり、便秘薬によって効果が現れる時間が異なります。便秘薬を飲む目安、タイミングは薬によって異なるため医師や薬剤師に聞いたり薬の添付文書を参考にしたりすると良いでしょう。なかには毎日の服用を推奨していないものもあるため、飲みすぎには注意が必要です。
また便秘薬と妊娠中の各種症状に対する薬の併用について悩む人も少なくないでしょう。妊娠中は腰痛、肩こり、腹痛、便秘、めまい、下痢、つわり、貧血、お腹の張りなどさまざまな症状に悩む人が多いといわれています。貧血対策としての鉄剤、お腹の張りに対しての張り止めの併用は、それぞれの薬に種類によって異なります。鉄剤や張り止め、便秘薬にもさまざまな種類があります。飲みあわせによっては副作用も考えられるため、薬の併用時には医師・薬剤師への相談が必須でしょう。
妊娠中の便秘は内側からの改善の検討も
妊娠中の便秘は、さまざまな原因が考えられます。妊娠特有の原因である可能性もあれば、食事や運動などの生活習慣が原因である可能性もあるでしょう。便秘薬が効かないのであれば、「便秘の原因・種類による対処法の違い」の可能性も考えられるかもしれません。ひとりで悩むよりは、妊婦という大切な状況下を考えて病院に相談するのも良いでしょう。鉄剤や張り止めなどの薬の併用に関して悩む場合にも、病院に相談することで安心が得られるかもしれませんね。
妊婦の便秘は、日常的な生活習慣の見直しにより改善することもあるといわれています。食事量や適度な水分摂取、適度な運動、必要であればオリゴ糖や乳酸菌・食物繊維などの栄養素を意識した食事を検討してみても良いかもしれません。人によっては産後も便秘が続くといわれているため、腹痛や下痢などの症状を引き起こしたり便秘薬を飲んでも便が出なかったりする場合には検討してみてくださいね。