【産婦人科医監修】妊娠1週|妊婦の身体の変化・過ごし方と赤ちゃんの成長
妊娠1週は妊娠0ヶ月で、いわゆる排卵前の時期にあたります。もっとも妊娠しやすい時期となりますが、着床していないため妊娠の兆候はまだありません。この時期に妊娠する確率や妊娠しやすいタイミングについて産婦人科医監修で解説します。妊娠1週のママの身体の状態と過ごし方についても、あわせてみていきましょう。
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この記事の監修
目次
妊娠1週とは
最終月経開始日の翌週
妊娠1週というと、いつごろにあたるのでしょうか。受精日や排卵日から妊娠週数を数えるイメージがある方が多いかもしれません。しかし実は、妊娠0週や妊娠1週の時点では、「妊娠」とついてはいるものの受精すら成立していません。それではどうして妊娠1週と数えるのかというと、妊娠週数は最終月経開始日を起点としてカウントを始めるからです。
つまり、最終月経開始日が妊娠0週0日となり、6日目までを妊娠0週と数えます。7日を1週の単位とするので、最終月経開始日の翌週が妊娠1週0日となります。
妊娠週数の数え方
最終月経開始日を妊娠0週0日、7日を1週の単位とする数え方は、WHO(世界保健機関)において定義されています。さらにWHOは、正常な妊娠持続期間を280日とし、分娩予定日を妊娠40週0日とすること、28日間を1ヶ月と計算することも定めています。
この定義は、WHOが行った調査で、分娩までの平均的な日数が280日±15日だったことに基づいて取り決められました。
この数え方では、最終月経開始日が不明だったり間違ったりしたときに、実際の週数とのあいだに誤差が生じます。そのため、妊娠9週~10週とされる時期にエコー検査による計測を行い、胎児のCRL(頭殿長)から分娩予定日の調整が行われることもあります。
妊娠1週は妊娠しやすい時期
排卵日2~3日前が妊娠しやすい
平均的な月経周期では、最終月経開始日の14日後に排卵が起こります。妊娠1週は、排卵日前の7日間ということになりますね。この7日間のうち、特に排卵日の2~3日前に性交すると妊娠しやすいといわれています。
この時期が妊娠しやすいのは、卵子と精子の寿命に関係しています。個人差はありますが、卵子の寿命は約24時間、精子の寿命は約72時間です(※1)。卵子は6~8時間しか受精に適した状態でいられず、一方の精子は射精後に6~8時間かけて受精能を獲得するとされています。
受精は卵管の奥にある「卵管膨大部」で行われます。排卵が起こったときに、受精能を獲得した精子がこの場所で待機していると妊娠の可能性が高まります。つまり、精子が卵子を待ち受けるのに適した性交のタイミングが、ちょうど排卵日の2~3日前なのです。
妊娠確率はケースバイケース
排卵の2~3日前に性交のタイミングを合わせても、必ずしも自然妊娠できるとは限りません。妊娠率は年齢が上昇するごとに徐々に低下していきます。また、疲れやストレス、喫煙習慣も受精や着床をさまたげる要因となります。
妊娠は、ホルモンの状態、卵子と精子の質、性交のタイミングなどさまざまな条件が重なり合ったときに、奇跡的な確率で起こるものです。これらの条件を意識して行動しても、妊娠にいたらないケースがあることを覚えておきましょう。
一方で、排卵時期とずれた性交や高齢など、一般的に「妊娠しにくい」といわれているケースでも、妊娠する可能性はあります。妊娠を望まない場合は、しっかりと避妊することが大切です。
妊娠1週の妊婦の身体の変化と症状
妊娠1週は最後の月経開始日の翌週です。生理周期でいうと、妊娠1週は「卵胞期」にあたります。卵胞期は「卵胞」と「子宮内膜」が育つ時期です。卵胞は脳下垂体から分泌される「卵胞刺激ホルモン(FSH)」の作用で、原子卵胞から成熟卵胞へと成長します。成熟した卵胞は女性ホルモンの「エストロゲン」を分泌し、子宮内膜を増殖させます。
卵胞が十分な大きさに育ち、エストロゲンの分泌量が一定の量を超えると、それが合図となりLHサージが起こります。こうして卵胞から卵子が飛び出すと、「排卵」となります。この時点で妊娠1週が終わります。
このように、妊娠1週では通常の月経周期と変わりなく、妊娠の兆候は見られません。妊娠超初期症状があらわれるのは、早くて妊娠3週後半から4週頃です。排卵前後の体調不良は、ホルモンバランスの変化によるものと考えられます。
排卵日や生理を予測する方法
基礎体温を計って周期を知る
基礎体温は、目覚めてすぐに安静にした状態のまま、婦人体温計を使って舌下で計測します。基礎体温を毎日計測してグラフに記録すると、月経周期に合わせ規則的に変化していることがわかります。
一般的に、月経から排卵までのあいだが低温、排卵後から月経までが高温を示します。基礎体温の変化は、排卵後に女性ホルモンのバランスが変わることで起こります。排卵後に多く分泌されるのは、子宮内膜をふかふかに厚くする「プロゲステロン」というホルモンです。排卵後の「黄体」から分泌され、体温を上昇させる作用もあります。
黄体は約14日間で寿命を迎えるため、その時期をすぎるとプロゲステロンの分泌量が減り、体温も低下します。プロゲステロンの分泌が減ることで、子宮内膜がはがれて生理が来ます。基礎体温を測って周期的なサイクルを知ることは、次の生理や排卵を予測したり、ホルモンバランスの乱れを把握したりすることにつながりますよ。
身体の症状をこまめにチェックする
女性の身体はエストロゲンとプロゲステロンの影響を受け、月経周期の中で体調が変化します。月経から排卵までの「卵胞期」はエストロゲンが多く分泌され、気持ちや体調が落ち着いている時期です。続く「排卵期」には、卵子が卵巣を飛び出すときに「排卵痛」を感じたり、ホルモンの一時的な変化などが原因で「排卵出血(中間期出血)」が起こったりすることがあります。
また、排卵後から月経までの「黄体期」は、プロゲステロンの分泌量が増え、さまざまな症状があらわれやすくなります。たとえば頭痛、腰痛、イライラ、倦怠感、乳房の張り、むくみといった症状は、プロゲステロンが関係しています。
症状のあらわれ方は個人差がありますが、こうした身体の変化は、ホルモンバランスの乱れや身体の不調を知るのに役立ちますよ。
妊娠1週の薬やレントゲンの影響
受精前から妊娠27日までは「無影響期」と呼ばれます。一般的に薬やレントゲンの影響を受けないとされている時期です。この期間に薬を服用したり、レントゲンを受けたりしていても気にしすぎないようにしましょう。
気を付けたいのは、妊娠28日~50日までの「絶対過敏期」です。妊娠3週の後半から妊娠7週の前半にかけて中枢神経、心臓、消化器官など重要な器官が形成されるので、薬の種類によっては重大な影響が出ることもあります。妊娠の可能性があるときは市販薬であっても勝手に判断せず、医師に相談してくださいね。
また、喫煙習慣が卵子や精子の質を低下させ、生殖機能に影響をおよぼす可能性も指摘されています。妊娠を望んでいる場合は、男女ともに禁煙するよう心がけたいですね。
妊娠1週に出血する原因
排卵出血(中間期出血)
排卵は卵巣の中で育った卵胞から、卵子が外に排出される現象です。卵胞の膜が破裂するとき、少量の出血が見られることがあります。これを「排卵出血」といいます。
さらに、排卵期はホルモンバランスが大きく変化するため、その影響を受けて子宮内膜がはがれることがあります。はがれおちた子宮内膜が体外に排出されると、一時的に生理のような出血が起こります。この現象を「中間期出血」と呼びます。
このような出血は少量で、通常2~3日ほどで終わります。出血が長く続くとき、出血の量が多いとき、腰痛やおりものの変化があるときは、医師に相談してみましょう。
ホルモンバランスの乱れによる機能性出血
妊娠や疾患以外で起こる性器からの不正出血を「機能性出血」といいます。機能性出血はホルモンバランスの乱れと関係していることが多く、出血のパターンによって原因が異なります。出血している原因を確定するには、出血のタイミング、出血の量、出血の期間を確認しておくことが大切です。
機能性出血は「無排卵月経」や「黄体機能不全」があるとあらわれやすくなります。症状が出現する背景には、高プロラクチン血症や甲状腺機能異常が隠れていることもあるので、生理不順が続くときは注意が必要です。
無排卵月経はだらだらと長く続く出血が不規則に起こるのが特徴です。排卵が起こらないため、基礎体温は高くなりません。基礎体温の高温期が短いときは、黄体機能不全が疑われます。黄体機能不全では、プロゲステロンが十分に分泌されないため、黄体期が短くなり生理が早くきます。
感染症による炎症
細菌に感染したことによる腟の炎症が、不正出血を引き起こすこともあります。原因として多く見られるのは、クラミジア感染症、淋菌感染症です。不正出血以外にもおりものの変化、外陰部のかゆみ、下腹部痛などが感染を示す症状としてあげられます。
細菌感染は、初期の段階では気付かないことも多く、症状が出たときには腟から子宮頸管、子宮内膜へと感染が広がっている可能性があります。治療しないまま妊娠すると、流産、早産、母子感染を引き起こすことがあるので、おりものの変化や不正出血に気付いたら、早めに医師の診察を受けましょう。
子宮筋腫・子宮ポリープ
子宮にできたポリープや子宮筋腫が原因で出血することもあります。ポリープは子宮内膜と子宮頸管にできる腫瘍で、ほとんどの場合が良性です。できた場所によって出血の量は異なります。まれに「がん化」することもあるので、検査を受けておくと安心ですね。
子宮筋腫は良性の腫瘍で、30代~50代に女性に多く見られる疾患です。不正出血や生理の経血量が増加するのが代表的な症状です。ポリープや筋腫は不妊症や流産、早産の原因となることもあるので、経過を見ながら摘出するかを判断します。
子宮頸がん・子宮体がん
子宮頸がんの主な原因はHPV(ヒトパピローマウイルス)への感染で、30代から発症例が増えてきます。初期の段階では症状が見られず、進行すると不正出血やおりものの変化があらわれます。
子宮体がんは子宮内膜の組織が腫瘍かしてできるがんです。50代で発症するがんといわれていましたが、最近では30代、40代でも発症するケースが増えています。初期から不正出血が見られるので、茶おりやおりもの量の増加に気付いたら、早めに検査を受けましょう。
妊娠1週の過ごし方
バランスの良い食事を心がける
妊娠しやすい身体を作るには、健康な身体であることがとても重要です。健康な身体を維持するために、バランスの良い食事を心がけましょう。さまざまな感染症にかかりにくくするには、ビタミンが必要です。たんぱく質やビタミンは、卵子や精子を作るもととなります。栄養を内臓に届ける血液は、鉄分から作られます。
近ごろは炭水化物抜きのダイエットが話題です。しかし、妊娠初期に炭水化物の摂取量が不足していると、生まれてきた子が将来的に肥満になる可能性が指摘されています(※2)。どれかの栄養に偏ることなく、たんぱく質、炭水化物、脂質、ミネラル、ビタミンの5大栄養素をバランス良く摂れるよう、食事やおやつを工夫したいですね。
質の良い睡眠を取る
食事と同様に、睡眠も心身の健康を保つためにとても重要な要素です。睡眠中は下垂体から成長ホルモン、プロラクチンなどのさまざまなホルモンが分泌されています。これらのホルモンが不足すると性腺機能が低下して、無月経になったり精子が作られなくなったりすることがあります。
仕事や育児で寝る時間を確保するのが難しいこともあるかもしれませんが、一日の生活リズムをできるだけ整え、睡眠の質を確保するようにしたいですね。睡眠の質を高めるには、寝る前にリラックスする時間を作ったり、寝具を自分に合ったものに変えたりするのも有効です。
適度に運動する
適度な運動は血行を促進し、臓器の働きを高めます。妊娠、出産に必要な体力を維持するためにも、妊娠前から適度な運動を心がけましょう。運動習慣がない人は、いきなり厳しい筋肉トレーニングをする必要はありません。ウォーキングをしたり、毎日の家事を意識して行ったりするだけでも、身体を動かすことにつながりますよ。
ただし、妊娠が判明してからの運動は、安定期に入ってから行うのが望ましいです。妊娠の経過によっては運動が制限されることもあるので、運動を始める際は、医師に確認してから行うようにしてください。
妊娠1週の注意点
葉酸を摂取する
葉酸はビタミンB群の一種で、赤ちゃんの「神経管閉鎖障害」の発症リスクを抑えるために、妊娠初期に特に必要とされる栄養素です。葉酸は緑黄色野菜に多く含まれ、1日400μgを目安に摂取することが推奨されています。栄養補助食品なら手軽に必要量がまかなえますよ。
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妊活中~妊娠3ヶ月の女性は葉酸の積極的な摂取が望ましいとされています。厚生労働省は妊娠可能性のある女性に対し、食事からの摂取に加えて1日400μgの葉酸を摂取することを推奨しています。 ベルタ葉酸からは400μgの葉酸を手軽に摂取できるほか、鉄分やカルシウム、ビタミン、ミネラルなどが摂取でき、妊娠中の健康維持に役立ちますよ。
葉酸を効率良く摂取できるように体内にとどまりやすい「酵母葉酸」を使用している点もこだわりポイントのひとつ。香料、着色料、保存料などを使用していないところもうれしいですね。サプリメントの大きさは直径9mmと小さく比較的飲みやすいでしょう。
予防接種歴を確認する
妊娠中に感染症にかかると、必要な治療が受けられないだけではなく、赤ちゃんの重篤な障害や、流産・早産につながる可能性があります。特に注意したい感染症は風疹、おたふくかぜ、はしか、水疱瘡です。罹患歴や予防接種歴があっても、十分な抗体が作られていないことがあります。
これらの疾患の予防接種は生ワクチンなので、接種後2ヶ月は避妊が必要です。妊娠してからは予防接種ができません。妊娠を希望しているときは夫婦で予防接種歴を確認し、不安な場合は抗体検査を受けるようにしましょう。
妊娠1週のママへ
妊娠は受精、着床、そして10ヶ月もの長い妊娠期間を経て出産にいたるまで、数々の奇跡的な現象が積み重なって成立しています。そう考えると、ママの命もパパの命も、とてもかけがえのないものだと感じませんか。
ふたりの大切な命から赤ちゃんへと、命のバトンがつながるのがいつになるのか、それは誰にもわかりません。今の時間を大切にしながら、その瞬間を待ちたいですね。
もしも妊娠の超初期症状があらわれているなら、妊娠3週以降に入っているかもしれません。妊娠1週は妊娠の兆候が見られない時期です。正しい妊娠週数の数え方で確認してみてくださいね。