妊婦の坐骨神経痛は治るの?痛みの原因・解消・予防法【産婦人科医監修】
腰痛に悩まされる妊婦さんは多いですよね。どんどん大きくなっていくお腹を支えるために、妊娠中は腰に負担がかかってしまいます。腰から足にかけてしびれや痛みを感じたら、「坐骨神経痛」かもしれません。坐骨神経痛は妊婦さんに多くみられる症状です。ここでは、坐骨神経痛の原因や解消法、予防法について解説します。
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目次
妊婦がなりやすい坐骨神経痛とは?
病名ではなく症状の名前
まず、「坐骨神経痛」は病名ではありません。坐骨神経痛の原因となる病名が存在し、その病気の症状として現れる痛みです。妊婦さんは大きなお腹を支えるために腰に負担がかかってしまい、腰痛が引き起こされてしまいます。腰痛がひどくなった結果、坐骨神経痛が起こることがあるのです。
麻痺や痛みなどの症状
妊婦さんの坐骨神経痛の症状は、おしりから太ももの裏側・ふくらはぎなどにかけて足全体に感じる麻痺や痛みが特徴です。
ひどくなると日常生活や仕事に支障をきたす
妊娠中はどんどんお腹が大きくなっていくため、同時に坐骨神経痛もひどくなっていきます。お腹が大きくなればなるほど症状は悪化していくことがほとんどです。坐骨神経痛がひどくなると、痛みで湯船につかれなくなったり靴下がはけなくなったりと、日常生活や仕事に支障をきたす場合もあるのです。
妊娠中の坐骨神経痛の原因
坐骨神経への圧迫
おしりから足先にかけて坐骨神経が通っています。お腹の中の赤ちゃんがどんどん大きくなることで、坐骨神経を圧迫することが一番の原因です。
骨盤や恥骨の開き
妊娠すると、女性ホルモンのひとつである「リラキシン」がたくさん分泌されます。リラキシンは骨の関節をつないでいる「靭帯」をゆるめる働きがあり、赤ちゃんが出てきやすいように骨盤や関節などを緩ませます。それと同時に、左右の骨盤をつないでいる恥骨も緩みます。
そのため、骨盤の周りが動きやすくなり不安定な状態となります。妊娠後期には、重心が変化してお腹を支える骨盤に負担がかかりやすくなり、坐骨神経を圧迫するため、坐骨神経痛が現れるのです。
坐骨神経痛の解消法
身体を温める
妊婦の坐骨神経痛を解消する方法のひとつは、身体を温めることです。腰から足にかけて温めると坐骨神経痛がや和らぐことがあるので、ゆっくりと湯船に浸かったり足湯をしたりしと、日ごろから身体を温めるように心がけてみましょう。
腰痛用のベルト
坐骨神経痛をやわらげるために、妊婦さんの腰の負担を少なくする目的で作られた腰痛用のベルトを使うことも、効果的です。坐骨神経痛の予防にもなりますし、骨盤のゆがみも矯正してくれます。血行が良くなり、便秘や肩こりにも効果的でしょう。
ツボの刺激
妊婦さんの坐骨神経痛には、ツボを刺激してみるのも良いかもしれません。両方の親指で、「委中(いちゅう)」と呼ばれる膝の裏のツボや「殷門(いんもん)」と呼ばれるふくらはぎのツボ、「承扶(しょうふ)」と呼ばれるおしりと、足のつけ根の裏にあるツボを左右同時に30秒ほど押して刺激してみましょう。
ストレッチや体操
妊娠中の坐骨神経痛は、腰回りの筋肉がこり固まると悪化してしまいます。坐骨神経痛が悪化しないよう、妊婦向けのお腹に負担がかからない軽いストレッチや体操をすすことをおすすめします。痛みがひどいときは、ストレッチや体操は避け、少し痛みが和らいで動けるようになってから、気持ち良く感じられる程度で行ってみましょう。
坐骨神経痛がやわらぐ寝方
横向きで身体を曲げた体勢
妊婦さんの坐骨神経痛は、腰回りの骨格とおしりの筋肉が坐骨神経を圧迫することで起こっていることが多いので、寝方を工夫すれば坐骨神経痛が和らぐことがあります。痛みを感じるときは、「横向きで身体を曲げた姿勢」を試してみてください。
痛みのあるほうを上にして寝る
足やおしりにしびれが出ている場合は、痛みのあるほうを上にして寝るのが効果的です。痛みのあるほうに体重をかけないようにするのがベストなのですが、両方にしびれが起こっている場合は、しびれの軽いほうを下にしてみましょう。ただし、右を下にした姿勢を長時間続けること、大きくなった子宮に大静脈が圧迫され、気分が悪くなったりふらふらしたりすることがあるので、注意が必要です。
抱き枕を使用する
妊婦さんの坐骨神経痛には、抱き枕を使用するのもおすすめです。横向きで寝た状態で膝のあいだに抱き枕を挟み、腰やおしりにかかる体重を分散させるようにして寝てみましょう。背中側に抱き枕を置いて少しもたれかかるような状態でも、負担を軽くすることができます。
腰痛・坐骨神経痛を予防するには?
腰痛や坐骨神経痛は、妊婦さんにとってとてもつらいものです。出産時にはいきまなくてはならないので、痛みやしびれがさまたげとなる場合も考えられます。出産に万全の状態で臨むためにも、腰痛や坐骨神経痛はぜひ予防したいですね。
身体を冷やさない
身体の冷えはお腹の赤ちゃんにも大敵なので、常日ごろから十分に注意しましょう。人の身体は、脂肪の多いところは冷えやすくなります。特に妊娠中は脂肪がつきやすく、お腹周りは温めていても、おしりや太ももは忘れがちです。
特におしりの筋肉はこりやすい筋肉なので、暖かい下着をはいたり、座るときはクッションを置いてじかに床に接触しないようにしたりと、冷やさない工夫が必要です。
寝る姿勢に気をつける
寝る姿勢によって坐骨神経を圧迫し、腰痛や坐骨神経痛がひどくなることがあるので、寝る姿勢に気をつけてみましょう。抱き枕を利用しながら横向きに寝るなど、腰痛や坐骨神経痛を引き起こさない寝方を心がけましょう。
歩きやすい靴を選ぶ
妊娠中は転倒防止のためにもヒールの高い靴は避けたほうが良いといわれますが、これは腰痛や坐骨神経痛を予防するためにも大切なことなのです。高いヒールの靴を履くと、姿勢が前のめりになってしまいます。身体が姿勢を正そうと、背骨や腰椎が反る形になるために、腰に負担がかかってしまいます。
お腹の大きい妊婦さんは余計に身体の重心が変わるので、腰への負担は相当なものです。妊娠中の腰痛・坐骨神経痛を予防するなら、ヒールは3cm以内にとどめ、歩きやすい靴を選びましょう。
日ごろからストレッチや運動をする
妊娠中の腰痛や坐骨神経痛の予防には、妊婦さん向けのストレッチや運動をすることも大切です。骨盤周りのストレッチを行うことは、腰痛や坐骨神経痛の予防につながり、筋肉の血行も良くなるでしょう。
腹帯・骨盤ベルトを使う
腹帯や腰ベルトは、本来ならば大きくなっていくお腹や腰(骨盤)を支えるために使うものですが、腰痛や坐骨神経痛の予防にも使えます。骨盤が開いて不安定な骨格をしっかり固定してくれる役目もあるので、積極的に使用してみてはいかがでしょうか。
痛みが産後に残らないためにも、早めの対応を
坐骨神経痛の痛みやしびれを放置すると、産後にまで坐骨神経痛に悩まされることになるため、妊娠中に対策することが大切です。また、産後は妊娠中よりも大変な生活が続きます。赤ちゃんのお世話をしているときに腰痛や坐骨神経痛に悩まされるのは、避けたいところです。痛みやしびれがひどいときは無理をせず、産婦人科の医師に相談しましょう。