日本産科婦人科学会が妊婦の新型コロナウイルスワクチン接種を推奨!母体・赤ちゃんへの影響は?解熱剤は服用できる?
妊婦さんおよび授乳中のママに対し、新型コロナウイルスワクチンの接種を推奨するという見解が日本産科婦人科学会より示されています。この通知にいたったこれまでの経緯について紹介しながら、ワクチンの影響や里帰り先での接種の手続き、発熱したときの解熱剤の服用についてなど、気になる疑問を産婦人科医監修で解説します。
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目次
日本産科婦人科学会が妊婦の新型コロナウイルスワクチン接種を推奨
日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本産婦人科感染症学会は、2021年8月、新型コロナウイルスのmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンについて妊婦さんの接種を勧めるという見解を示しました。これは2021年5月に出された「妊婦をワクチン接種対象から除外しない」、6月に出された「希望する妊婦はワクチンを接種することができる」という通知の内容を更新したものです。
さらに、2022年2月21日より、妊婦が新型コロナウイルスワクチンを接種した際に高い有効性を示唆するエビデンスがあり、安全性に関する特段の懸念を示唆するエビデンスもないことから、厚生労働省は努力義務の適用除外を解除し以前よりも接種を推奨しています。
妊婦さんの感染経路の約8割が夫またはパートナーによることから(※1)、夫またはパートナーの方の接種も推奨しています。
ワクチン接種で母体&赤ちゃんへの影響はある?
母体への影響
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が示したデータによると、妊婦さんと妊娠していない女性とを比較して、両者には副反応が起こる頻度に差がないことがわかっています(※2)。
また、流産、早産、胎児の発育不全、先天奇形、新生児死亡といった妊娠異常が発生する割合は、ワクチンを接種していないときと比べて変わらないことも報告されました。
一方で、妊娠後期に新型コロナウイルスに感染すると特に重症化しやすく、早産や妊娠合併症、胎児への悪影響のリスクが上がるといわれています。そのため、特に糖尿病などの基礎疾患を合併している場合は、接種を検討することが求められます。
赤ちゃんへの影響
アメリカで行われた研究では、妊娠中にmRNAワクチンを接種した人の臍帯血(さいたいけつ)や母乳には、新型コロナウイルスに対する抗体があることが確認されています(※2)。
臍帯血とは、ママと赤ちゃんとをつないで栄養や酸素などを送っている胎盤とへその緒の中にある赤ちゃんの血液のことです。このことから、ママが新型コロナワクチンを接種した場合は赤ちゃんにも抗体が引き継がれ、生まれてからも赤ちゃんを守る効果があると期待されています。
里帰り先でもワクチン接種できる?
新型コロナワクチンは住民票がある市町村で接種するのが原則です。そのため、里帰り先などワクチン接種券に記載されている住所とは別の地域で接種する場合は、あらかじめ接種を希望する市町村で「住所地外接種届」の届出を行う必要があります。
ただし、里帰り先の産科医療施設で接種する場合は、届け出の必要はありません。妊婦さんへの優先接種をすすめている自治体では届け出が不要な場合もあるので、事前に接種を希望する自治体の窓口で確認しておくと安心です。
妊婦でも接種後は解熱剤を服用できる?
新型コロナワクチンを接種し副反応で発熱した場合は、我慢せずに解熱剤を早めに服用することが推奨されています。妊娠中に服用できる解熱剤はアセトアミノフェン(カロナール)です。
SNSなどでは発熱する前に予防的に服用するケースもみられますが、現時点では推奨されている方法ではないので注意が必要です。
授乳中もワクチン接種できる?
CDC(アメリカ疾病予防管理センター)の報告では、授乳中の方も新型コロナワクチン接種を推奨しています。接種を受けた方の母乳には新型コロナウイルスに対する抗体が確認されていますが、mRNAワクチンの成分は母乳や乳腺の組織に出てこないと考えられています。
妊婦さんのワクチン接種は医師に相談しよう
新型コロナウイルスがはじめて確認されて以降、予防法や治療法についての研究が各所で進められており、新たな知見やデータが続々と示されています。
ワクチンに対するベネフィットとリスクについてもさまざまな意見が交わされ、ママや赤ちゃんへの影響を考慮して接種を推奨する流れとなりました。
しかし、新しいワクチンに対して不安に思う方も少なくありません。気になることは医師やパートナーと相談し、しっかりと納得したうえでワクチンを接種するかしないかを判断するようにしましょう。
※この記事は2022年4月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。