男性の3人に1人が「とるだけ育休」?男性育休の実態とは?ママたちはどう思ってる?
近年、男性の育児休業取得が注目を集めています。特に「とるだけ育休」と呼ばれる、育児にはあまり関与しない育休取得が問題視されています。2025年現在、政府や企業はこの問題に対処するため、さまざまな取り組みを進めています。ここでは最新のデータや法改正、企業の取り組みを交えながら、男性の育児休業の現状と課題を紹介します。
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目次
男性の育児休業取得率の推移
厚生労働省のデータによると、男性の育児休業取得率は年々上昇しています。2020年度には12.65%だった取得率が、2024年度には30%を超えました。これは、政府や企業の積極的な働きかけや、社会全体の意識改革の成果といえます。主に以下の政府の取り組みはご存知の方も多いのではないでしょうか。
・育児・介護休業法の改正(2022年・2023年)
・育休給付金の充実
・企業への助成金制度の強化
企業の取り組みとしては以下のものがあげられます。
・男性の育休取得を促進する企業の増加(ソニー・サントリー・楽天など)
・短期・長期で選べる柔軟な育休制度の導入
・社内の育児サポート体制の強化
男性の「とるだけ育休」とは?
パパの育休の過ごし方から生まれた言葉
厚生労働省が発表した「令和2年度雇用均等基本調査」結果では、男性の育児休業取得率が12.65%(※1)となり、初めて1割を超えました。
2023年4月からは、従業員が1,000人を超える企業は男性の育児休業取得率などを公表することが義務化されます。パパの育休取得をうながす環境が整いつつあり、育休を取得する男性も増えています。
ところが、育休を取得したパパの家事・育児時間について調べたところ、家事・育児時間が3時間以下という回答が47.5%を占める結果となりました。育休を取得したにもかかわらず、育休を「とるだけ」になっている実態が浮かび上がったのです(※2)。
このように、パパが育児や家事をする時間が短く、パパの育休取得に対する満足度が低い状況を「とるだけ育休」と呼んでいます。
ママの負担が大きい現状
子育て中のママ・パパに行った別の調査では、仕事がある日の家事・育児時間はママが4.73時間なのに対しパパが1.55時間、休日はママが7.42時間なのに対しパパが3.43時間という結果でした(※3)。ママとパパの育児分担割合を見る調査ではママが8割、パパが2割となっています(※4)。
いずれの調査でも、家事・育児の負担に大きな差があることがわかります。育休を取得しているのにもかかわらず負担感が変わらないままだとしたら、育休を取得する意味を問いたくもなるでしょう。夫婦ともに満足度が高まるパパの育休中の過ごし方について、考える必要がありそうです。
2022年10月から産後パパ育休がスタート
2022年10月からは「産後パパ育休(出生時育児休業)」がスタートしています。産後パパ育休は1歳までの育児休業とは別に、出生後8週間以内に4週間まで育児休業が取得できる制度です。分割して2回まで取得可能で、このあいだ一時的に就業することもできます。
この制度を活用すれば、ママの入院中から退院までのあいだにきょうだいのお世話をしたり、里帰り先から自宅に帰る際に迎える準備をしたりできます。また、授乳やおむつ替えが頻回な新生児期に家事・育児を分担するなど、柔軟にママをサポートすることが可能です。
育児・介護休業法の改正
2023年の育児・介護休業法の改正により、男性の育児休業取得がさらに促進されました。特に、育児休業中の収入保証が手厚くなり、休業開始から6ヶ月間は給与の100%が支給される制度が導入されました。これにより、経済的な不安から育休取得をためらっていた男性も、安心して休業に入ることが可能となりました。
さらに、令和6年5月に育児・介護休業法及び次世代育成支援対策推進法が改正され、令和7年4月1日から段階的に施行されることが決まっています。内容としては以下のようなものです。
・子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充
・育児休業の取得状況の公表義務の拡大や次世代育成支援対策の推進・強化
・介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等
子どもの看護休暇の見直しや、育児のためのテレワーク導入の努力義務化などより子育てをしながら働きやすく環境を整えることを目的としています。
「とるだけ育休」を防ぐためのポイント
ただし、いくら働きやすくなったとしても育児に参画しなければ育児休暇を取得する価値はありません。「とるだけ育休」を防ぐためにはどのようなことに気をつけるべきなのでしょうか。
1ヶ月以上は育休を取得する
育児休業は原則として、子どもが1歳になるまで取得できます。しかし、2022年6月に行われた調査では、男性の育休取得日数は全国平均で8.7日と、月の半分にも満たない状況が明らかになっています(※3)。
短い育休期間では、生活のリズムをつかむことは難しいでしょう。たとえ生活リズムがつかめたとしても赤ちゃんの成長スピードは早く、1~2ヶ月単位で生活リズムが変わるため、そのたびに育児のアップグレードが必要です。
2022年10月には育児・介護休業法が改正され、夫婦ともに分割して2回取得することが可能となりました。夫婦が交代で育休を取得できるなど、柔軟な働き方・休み方が選択しやすくなっています。育休をとるときはできれば1ヶ月以上まとめて取得し、赤ちゃんの生活の変化を感じながら家事・育児に向き合いたいものです。
子育ての勉強をする
出生届や健康保険の加入など、パパが主体で進めるとスムーズな手続きや、産後ケアなどの公的に利用できる制度について事前に把握しておきましょう。健診やワクチンの定期接種などのスケジュールを共有し、ママとパパが交代で連れていくようにすると、かかりつけ医との連携がとりやすいですよ。
子育て中は月齢に合わせて授乳・離乳食の回数、着るもの、部屋の環境などを変える必要があり、成長に応じて遊びの内容や働きかけ方も変わってきます。母子手帳などに書かれた成長の目安を参考に、子どもの成長の段階を覚えておくと良いでしょう。
お宮参りやお食い初め、初節句といった節目のイベントを準備したり、アルバムをつくったりといった作業を一緒にするのもおすすめです。子どもの成長を夫婦で実感できる機会となりますよ。
家事・育児の担当を決める
パパが育休で家にいるあいだは、ママとパパの家事・育児の負担が分散できるように、タスクを見える化して担当を決めておきましょう。ママの美容院や歯医者、リフレッシュなど、パパがいるあいだにやりたいこともピックアップしておきたいですね。
乳幼児期は夜中も授乳やおむつ替えがあり、夜泣きする赤ちゃんにつき合う場面も出てきます。パパの育休中は夜中の家事・育児も分担して、どちらかに負担が偏らないように工夫していきましょう。
子育てについて話し合う
パパの育休の質を高めるには、夫婦のコミュニケーションも大事なポイントです。家事・育児のタスクを洗い出し、役割分担を決めていきましょう。
話し合いの際は当事者意識をもって、お互いに意見を出し合えるのが理想です。「頼まれたからやる」のではなく、「自分で気づいて取り組む」「わからないことは調べる」という姿勢がお互いの満足感を生みます。
産後のママの体調やホルモンの変化についても理解しておきたいですね。ママの疲れがたまっているときや気持ちの変化が大きいときは、パパがママの気持ちに寄り添うよう意識してみましょう。パパが話を聞いてくれる安心感が、ママの精神的なサポートにつながります。
育休前の準備をして「とるだけ育休」を回避しよう
パパの育休取得が進んでいるとはいえ、その実態が「とるだけ育休」なのだとしたらママはがっかりしてしまうでしょう。こうした状況に陥らないためにも、パパはママの妊娠中から子育てについて学んでおきたいですね。育休中の過ごし方をイメージしておけば、気持ちの切り替えがスムーズにいきますよ。
あらかじめ準備をしておくと、想定外のことが起こっても臨機応変に対応できます。パパのための休日ではなく、ふたりで一緒に子どもがいる生活を作るための期間として、有意義に過ごしていきましょう。
※この記事は2025年2月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。