妊娠中の授乳が痛い!いつまで続ける?妊娠初期の授乳と流産の関係は?

妊娠中の授乳について、近頃は続ける派と断乳派と2通りの意見があるようです。妊娠初期の授乳は、流産と関係があるのでしょうか。妊娠中の授乳で気を付けるべきポイントや、授乳をやめるときの方法について気になる点を解説します。上の子と赤ちゃん、ママにとって妊娠中の授乳をどのようにとらえたら良いのか、一緒に考えていきましょう。

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この記事の監修

池田 貴子
産婦人科医
池田 貴子

目次

  1. 妊娠中も授乳できる?
  2. 妊娠中の授乳による影響・症状
  3. 妊娠中の授乳が痛いときの対策
  4. 授乳を減らす・断乳する方法
  5. 妊娠中の授乳は妊娠経過に注意しよう
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妊娠中も授乳できる?

二人目の妊娠が判明したときや二人目が欲しいと考えたときに、上の子が母乳を飲んでいる真っ最中だとしたら、授乳を続けてよいものか悩んでしまうのではないでしょうか。

実は、妊娠してからも授乳を続けてもよいかどうかは、医師によっても判断がわかれるところです。そのため、妊娠中も授乳を続けてもよいと指導される場合もあれば、妊娠したら授乳をやめるように指示されることもあります。

結局のところ、最終的な判断はママにゆだねられるのが実情ですが、以前に比べ妊娠中も授乳を続けてもよいという考え方が浸透してきているようです。

妊娠したら授乳はいつまで?

妊娠したら授乳をいつまで続けるのか、この判断の決め手となるような医学的な文献は見当たりません。そのため、授乳をいつまで続けるかは上の子の年齢と妊娠の経過をみて決めることとなります。

母乳育児は世界的に推奨されている育児方法で、指標となっているのはWHO(世界保健機構)とユニセフ(国連児童基金)が共同で発表した「母乳育児成功のための10ヶ条」です。(※1)WHOはさらに、適切な栄養を補完しながら、2歳を過ぎるまでは母乳育児を続けることが望ましいと提唱しています。

妊娠経過に出血やお腹の張りなどの異常がなく、上の子が2歳未満で卒乳をしていない場合は、医師や助産師さんと相談しながら授乳の期間を決めるのも良いかもしれませんね。

妊娠初期の授乳と流産の関係

授乳をすると赤ちゃんが乳頭を吸った刺激で、オキシトシンというホルモンが分泌されます。オキシトシンには子宮収縮作用があり、陣痛促進剤の成分としても使用されています。授乳すると早産や流産のリスクが高まるという説は、このオキシトシンの子宮収縮作用に由来するものです。

しかし、出産のためにオキシトシンが大量に分泌されるのは分娩が始まってからのため、授乳の刺激では流産につながるような子宮収縮は起こらないという説を唱えている人もいます。

また、妊娠初期の流産は染色体異常が原因であることが多く、授乳が流産を引き起こすという因果関係をみとめたデータはありません。とはいえ、オキシトシンは抱擁や性交によっても分泌されることはわかっており、乳頭の刺激が子宮収縮を促すことは十分に考えられます。

オキシトシンの分泌と子宮収縮の関係については解明途上の分野のため、授乳の際に下腹部の痛みやお腹の張り、出血があったときは授乳を控えたほうが良いでしょう。過去に流産や早産の経験があるときも注意が必要です。

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妊娠中の授乳による影響・症状

乳房の痛み

授乳で乳汁がつくられ続けているあいだは、乳房のトラブルが起こりやすいものです。乳汁がたまったことによる乳腺炎や、乳頭にできる白斑もそのひとつです。特に妊娠初期はつわりの症状で食生活が思うようにならなかったり、体調不良で授乳間隔があいてしまったりする可能性があります。乳腺炎になりやすい人は十分に注意しましょう。

また、上の子の年齢が進んでくると、歯があたってできる噛み傷や吸引力が強いために亀裂が入ることもあります。乳房や乳頭に異常が生じたときは授乳を中止し、重症化する前に医師の診察を受けるようにしてくださいね。

イライラ・疲れ

授乳をしていると、1日のうちに何度となくおっぱいをせがまれますね。妊娠していないときはその要求に付きあうことができても、妊娠して体調が悪いときや気分がすぐれないときが増えると、授乳自体が負担に感じることもあるかもしれません。

ホルモンの影響で眠りが浅くなる妊娠初期は、夜中の授乳がつらく感じることもあるでしょう。疲れがイライラを誘い、イライラからくるストレスでさらに眠れなくなるという悪循環が起こることも考えられます。

授乳がイライラやストレスの原因となっているなと感じるときは、上の子の気持ちをおっぱいからそらすことを選択肢として考えてみてはいかがでしょうか。

お腹の張り

妊娠中は血液の量が増えたり心拍数が上がったりと疲れがたまりやすい身体となっています。疲れやストレスはお腹が張る原因となるため、もしもお腹が張ることが頻繁にあるようならば、授乳の回数を減らすなどしてゆっくり休むことを心がけましょう。

授乳のタイミングでお腹が張るようであれば、乳頭の刺激が子宮収縮につながっている可能性があります。妊娠中期以降は子宮がオキシトシンの影響を受けやすいという説もあるため、授乳に関係してお腹が張るようであれば、授乳を控えたほうが良さそうです。

上の子に対する気持ちの変化

妊娠するとホルモンのバランスが変化することで、さまざまな精神反応があらわれます。こうした反応の中には、夫や上の子に対する拒絶反応が含まれます。身体に触れられることさえ複雑に感じてしまうほどです。

拒絶する気持ちが芽生えてしまうと、妊娠前までは至福のときと感じていた授乳の時間も苦しく感じてしまうことがあるかもしれません。しかし、上の子に対する気持ちの変化に悩むというママの声は多く、自分ひとりの問題だと落ち込みすぎないようにしましょう。

上の子に対して気持ちがトゲトゲしくなってしまったときは、授乳の回数を減らしたりパパに面倒をみてもらう時間を増やしたりして少し距離を置くことが大切です。上の子の気持ちを汲み取りながら、ママもリラックスできる時間を持つようにすると、上の子が赤ちゃんを迎え入れる体制が整えやすくなりますよ。

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妊娠中の授乳が痛いときの対策

正しい姿勢で授乳

ある程度上の子が大きくなってくると、授乳のときの体勢によってはママの身体に大きな負担がかかります。授乳が原因で肩こりや腰痛が生じたり、お腹の圧迫につながったりしては大変です。正しい姿勢で授乳するようにしましょう。

授乳方法でおすすめなのは、上の子の頭を脇に抱えるようにして授乳するフットボール抱きです。腕で頭を支えるのがつらいときは、クッションなどで高さを調整すると負担が軽くなりますよ。

乳首のケア・保護

吸引力が強いと、乳首がちぎれるような痛みを覚えることもあるかもしれません。乳頭が切れて傷になっているようなときは、馬油やオリーブオイルを塗って保護すると、痛みが軽減するかもしれません。

さらに、オイルを塗った上からラップを巻くと、保湿効果が高まり下着や洋服からの刺激も防いでくれます。

病院や助産院に相談

授乳回数を減らしたり、食事のバランスが変化したりすることで、乳房のトラブルにつながることが考えられます。卒乳や断乳を考えるとき、また、乳腺炎など自分では対処できない異常がみとめられたときは、病院や助産院で相談してみましょう。

専門家によるマッサージやカウンセリングを受けることで、痛みがやわらぐかもしれませんよ。

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授乳を減らす・断乳する方法

1.授乳時間を短縮する

子どもの気の向くまま、満足するまで授乳時間を設けているようであれば、1回の授乳時間を短縮することで、徐々におっぱいから離れる習慣をつけていきましょう。

授乳を始める前に「1回3分ね」「時計の針が6になったらおしまい」などと声掛けをしながら時間を区切ると、子どもも時間を意識しやすくなりますよ。

2.1日の授乳回数を減らす

1回の授乳時間を短くしながら授乳と授乳の間隔を長くしていくと、1日の授乳回数を少なくすることができます。授乳回数を減らす方法としておすすめなのが、朝・昼・晩の食事の後や、朝起きたときだけ、寝る前だけとタイミングを固定することです。

授乳を避けたい時間帯に子どもがおっぱいを意識しないように工夫することも有効です。胸元が詰まった服装にしたり、子どもが遊びに夢中になる環境を作ったりして、おっぱい以外のものに集中するように仕向けていきましょう。

心がけたいのは、子どもから「おっぱい」と言い出すまでママからは声掛けをしないことです。また、おっぱいと言われてもすぐに授乳せずに、まずは耳たぶや腕を触らせてみるのも良いかもしれません。おっぱい以外のスキンシップで子どもが落ち着くようであればしめたものです。気が紛れているうちに、おっぱいを忘れてしまうかもしれませんよ。

3.授乳しない日を徐々に作る

授乳の間隔をあけられるようになったら、授乳しない日を意識的に設けてみましょう。夜寝るときだけ授乳をしているようなら、夫や実家に協力を得て寝かしつけしてもらうというのもひとつの方法です。

ただし、授乳間隔があいて徐々におっぱいから離れたとしても、すぐに1日まったく飲まないでいられるかといったらそうではありません。卒乳、断乳がスムーズにいくかどうかは個人差があります。また、途中で子どもが体調を崩すと、授乳回数が元に戻ってしまうのもよくあるケースです。焦らずにマイペースで進めるようにしてくださいね。

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妊娠中の授乳は妊娠経過に注意しよう

以前は妊娠したら授乳は中止するという考え方が一般的でしたが、最近では上の子と下の子の授乳を一緒に楽しむ「タンデム授乳」という考え方も取り上げられるようになりました。妊娠経過は個人差があり、子どもとのかかわり方は各家庭でさまざまな考え方があるため、「あれは良い」「これはダメ」と一概にいうことはできないのが妊娠と子育てなのです。

とはいえ、妊娠期間中はママの身体が特別な状態となっている時期です。つわりや腰痛といったマイナートラブルをはじめ、妊娠高血圧症候群や切迫早産など医師による管理が必要な状況に陥ることも考えられます。

上の子の授乳中に妊娠した場合や、次の妊娠を考えるときは医師や助産師と相談のもと、安全な環境で授乳するかしないかを判断するようにしましょう。授乳は子どもにとってもママにとって特別な時間です。妊娠中の授乳とじょうずに向きあって、新しい家族を迎え入れるための絆を上の子と一緒に深めていけると良いですね。

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