助産師監修|断乳の方法と進め方は?断乳の時期とやり方を解説
助産師監修|ママの仕事復帰や下の子の妊娠など、さまざまな理由で断乳を考えているママも多いでしょう。いざ実践しようと思っても、断乳をいつから進めて良いのか、どのようなスケジュールで進めるか、断乳の仕方はどのような方法が良いか…など悩んでしまいますよね。ここでは断乳の時期や方法、断乳のアイデアなどを詳しくご紹介します。
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目次
断乳と卒乳の違いって?
断乳とは、ママの意思や都合を理由に、または文化慣習など社会的な理由でおっぱいをやめさせることを言います。たとえば、ママが仕事に復帰するためなどは断乳にあたります。
卒乳とは、赤ちゃんの意思でおっぱいを飲む回数や量が減っていき、赤ちゃんが自然におっぱいを飲まなくなることを言います。
以前は1歳前後で断乳する傾向が多くみられましたが、最近は卒乳を待つほうが良いと考えられており、できるだけ長く授乳をしたほうが良いという意見もあります。
しかし、断乳のタイミングはママと子どものコンディションや事情によりさまざまですよね。卒乳を待たずに断乳を進める際は、子どもの様子をみながら、ママがベストなタイミングを判断できると良いでしょう。
ママが断乳を考えるきっかけ
断乳を考えるきっかけは人それぞれでしょう。やむを得ず断乳しなくてはならないという場合、次のようなケースが多いようです。
ママの仕事復帰
ママが仕事に復帰することをきっかけに断乳を決意することもあるでしょう。ママの仕事復帰の際はたいてい子どもを保育園などに預けるため、そのあいだは必然的に授乳をすることができません。ミルク育児の場合でも、乳児期間しかミルクを与えないという園が多いでしょう。
最初のうちこそ子どもを安心させてあげるために、ママが帰宅をしてからおっぱいをあげることも多いかもしれませんが、そのときは甘えさせてあげれば良いでしょう。保育園で元気いっぱい遊んでいれば、寝るころにはクタクタに疲れているので、寝つきも良くなって自然に卒乳しやすくなる傾向にあるでしょう。
下の子を妊娠したとき
下の子を妊娠したときも、断乳のひとつのきっかけとなります。妊娠中の授乳は、お医者さんや助産師さんによって意見がわかれますが、基本的には可能です。しかし、切迫流産や切迫早産が心配される場合など、ママの体調によっては授乳を止められてしまうこともあるでしょう。
下の子を妊娠した場合は、ママの体調や気持ちをよく考慮した上で断乳をするかどうか決めるようにしましょう。
手術や入院、薬の服用が必要なとき
授乳中でもママが病気になってしまったり、あるいはけがをしてしまったりすることもありますよね。ママが手術や入院、もしくは薬の服用が必要になってしまうと、断乳を余儀なくされることがあります。そんな風に急に断乳が必要になっても、子どもに悪い影響がでることはありません。必要であればミルクで栄養を補い、抱っこや添い寝などで甘えさせてあげてくださいね。
断乳する時期の目安
ママの都合だけで断乳に踏み切るのではなく、子どもがおっぱいをやめても良い状態だと判断したときに実行するようにしましょう。
母乳以外で水分がとれている
1歳児は1日に1100〜1300mL程度の水分が必要です。全てお茶やお水で摂取するわけではなく、汁物やごはん、おかずなどの食事から摂取できる水分も含みます。
また、エアコンが効いている室内であったり、暑い日の外遊び中であったりと、環境によっても必要な水分量が違ってきますよね。これらの点を踏まえた上で、必要な水分量がとれているかよく観察してみましょう。
離乳食3回+補食2回で栄養がとれている
赤ちゃんの栄養源である母乳やミルクを断つということは、それ以外の食べ物や飲み物で栄養が足りている必要がありますよね。
では、どのくらい食事をとれていれば栄養が足りているといえるのでしょうか。もちろん赤ちゃんによって個人差がありますが、「離乳食3回と、さらに足りない栄養を補食として2回とれていること」を目安にすると良いでしょう。
離乳食は、毎食子ども用のお茶碗1杯くらいを食べきることができているか、食べ物をしっかり噛んだ上で飲み込むことができているかどうかもチェックしてみてくださいね。3回の離乳食と2回の補食を楽しんでいるようであれば、断乳を始めるチャンスといえるでしょう。
しっかり歩き、外遊びできる
赤ちゃんは8ヶ月ごろから歯が生え始め、消化機能自体は未熟なものの、それなりに消化することができる状態になっています。
また、一見関係がないようにも感じますが、外遊びができているかどうかという点も断乳を始めるひとつのチェックポイントです。しっかり外遊びができれば、お昼の授乳時間を外遊びで紛らわすこともできますし、夜はクタクタに疲れて寝かしつけやすくなるので、断乳が進めやすくなるでしょう。
断乳に適した季節はある?
一年の中でも春や秋など気候の良い時期か断乳に適しているといえるでしょう。夏は汗をかきやすく、水分が不足しがちになるため、授乳やミルク以外での水分補給が難しい場合はおすすめできません。
冬は感染症などが流行しやすい時期なので、断乳中にママや子どもが体調を崩す可能性が比較的高くなります。断乳に踏み切る際は、双方の体調が整っている状態で行うようにしましょう。
また、断乳中は、子どもがいつも以上に甘えてきたり、夜泣きで眠れなかったりとママへの負担が大きくなってしまいがちです。そのため、パパや家族が協力しやすい時期を選びたいですね。家族のスケジュールを確認した上で、ママの負担を軽減できるように協力を仰ぎましょう。
計画的な断乳の仕方と進め方は?
断乳に決まったやり方はありません。ママと子どもの数だけ進め方があります。下記のような方法を参考に、ふたりの体調と気持ちを見ながら実践してみてくださいね。
※あくまでもモデルケースの紹介ですので、この通りに実践できなくてもまったく問題ありません。それぞれのママと子どもにあったペースで進めることをおすすめします。
断乳開始前:事前準備
【授乳時間を減らす】
断乳をすると決めたらまず、授乳時間を徐々に減らすことからスタートしましょう。なかにはいきなり授乳を中止しなくてはいけないケースもあるかもしれません。しかし、緊急でない限り、なるべく授乳時間は徐々に減らしていくのが理想的です。
たとえば、授乳時間が1回につき15分ほどであった場合は、10分→8分→6分→3分といった具合に、徐々に時間を減らしていきます。授乳時間を徐々に減らしていくことによって、ママの母乳の分泌量も自然と減っていきますし、お互いに授乳をしない環境に慣れていくことができます。
夜間断乳からはじめてみるというのもひとつの手でしょう。夜中におっぱいをあげる癖をなくすと、日中は遊びなど他のことに集中できるので、比較的スムーズに進むようですよ。
【事前に言い聞かせる】
ある程度言葉がわかる年齢で断乳を行う場合は、事前に「もうすぐおっぱいバイバイだよ」と言い聞かせるのも良いでしょう。突然おっぱいがなくなると困惑してしまうかもしれませんが、事前に伝えておくことで、子ども自身もある程度気持ちの準備ができるかもしれませんね。
断乳初日:おっぱいから気をそらす
いよいよ断乳当日になったら、子どもにおっぱいから気をそらすように工夫してみましょう。今まで散々飲んでいた大好きなおっぱいですから、突然やめられるわけがありませんよね。
おっぱいを欲しがったら外に連れ出してお散歩をしてみたり、新しいおもちゃを与えたりして気をそらしてあげると良いでしょう。突然まったく授乳しなくなるのではなく、はじめのうちは授乳の間隔をあけるということを心がけ、ママ自身もおっぱいのケアをしながら進めていきましょう。
断乳開始2〜3日後:飲ませる回数を減らす
断乳を開始して2~3日経ったら、少しずつおっぱいを飲ませる回数を減らしていきましょう。授乳回数が1日に4回以上だった場合は、まずは朝、昼、晩の3回まで減らしていき、成功したら、次は1日に1、2回まで減らしていきましょう。
断乳開始1週間後:思い切って3日間与えない
いよいよ断乳のラストスパートです。断乳を開始してから1週間が経ったら、思い切って3日間おっぱいを与えない期間をつくりましょう。おおよそ3日間空くことによって、ママの母乳の分泌もある程度おさまってきますし、子どももおっぱいへの意識が薄れてくるようになるでしょう。
晴れて断乳に成功したら、おっぱいケアを忘れずに行ってくださいね。
おっぱいを与えていない間に、おっぱいが張ってきたり、痛くなってきたら搾乳が必要になることがあります。
搾乳が必要なほどの張りや痛みであれば、搾った後におっぱいを冷やすと良いでしょう。
頻繁に搾乳するとまた母乳は作られてしまいますので、限界の一歩手前くらいで搾るといいですね。
手入れ方法がよくわからない場合は、助産師に相談するといいですよ。
断乳中の子どものケア!気を付けることは?
水分や栄養をしっかり与える
母乳は、これまで赤ちゃんの水分や栄養を補給する役割も果たしてきました。当然断乳をしたら、その分の水分や栄養を与えてあげる必要があります。また、十分に水分と栄養を摂ることで、お腹が空いた、喉が渇いたという理由でおっぱいを欲しがることを防げます。
水分をあまりとらなくて心配な場合は、食事に汁物やお粥を出したり、外遊び後やお風呂後などの喉の乾いているタイミングに飲ませてみたり、赤ちゃんが無理なく水分がとれるように工夫してみましょう。
おっぱい以外でスキンシップをとる
断乳が無事に成功した後も、ふとした瞬間に赤ちゃんがまたおっぱいのことを思い出してしまうこともあるかもしれません。そんなときはおっぱい以外の方法でしっかりとスキンシップをとったり、遊びで気をそらせたりすると良いでしょう。ママだけがつらくなってしまいがちですので、断乳中はパパや家族の協力を十分に仰ぎ、抱え込みすぎないようにしたいですね。
失敗しない?!断乳のやり方アイデア5選
おっぱいに絵を描く、絆創膏を貼る
おっぱいにアンパンマンなどの絵を描く方法もあります。絵を描いて「おっぱいがいなくなっちゃって、アンパンマンになったんだよ。」などと教えてあげると、諦めてくれることがあるようですよ。乳首に絆創膏を貼ることでも同じような効果があるとされています。
カレンダーにシールを貼っていく
子どもがある程度の年齢に達している場合は、カレンダーにシールを貼ったり印をつけたりして進めていってみてはいかがでしょうか。「シールを何枚集めたらごほうび」など目標を定め、ゲーム感覚で楽しく進められると子どももすんなりとやめてくれるかもしれませんよ。
絵本を読む
おっぱいにまつわる絵本を読んであげることで、理解を促すのもひとつの手でしょう。断乳について一緒に考えながら、楽しく進められると良いですね。
おっぱいをみせない
おっぱいをみせると、思い出してしまい、求められてしまうことがあるでしょう。とくにお風呂のときは、おっぱいが目の前にあるとどうしても思い出さざるをえませんよね。断乳中はなるべくパパにお風呂に入れてもらうか、難しい場合は水着などで隠して入ると良いでしょう。
おっぱいに苦い味のするものを塗る
赤ちゃんの指しゃぶり防止用の薬を乳首に塗ってみるのはいかがでしょうか。いつもと違った味で、おっぱいが嫌だと感じるようになるかもしれません。子どもが苦手なレモンや梅干しの汁を塗るという方法もありますよ。
ただし、やり方によっては子どもを悲しい気持ちにさせてしまうかもしれません。子どもの様子をみて、判断しましょう。
また、おっぱいにわさびやからしを塗るという方法も知られています。ただ、消化機能が未熟な赤ちゃんにとって刺激物はあまり良くないうえ、わさびやからしを塗ると乳首が痛くなるというデメリットもあります。
断乳がなかなかうまくできないとき
断乳を進めていく上で、いつまでも子どもがおっぱいを忘れてくれなかったり、断乳途中でママや子どもが体調を崩したりということもあるでしょう。
急を要する断乳(ママの妊娠や服薬など)でない限り、お互いにとってあまりにもつらい場合には、一度断乳を中断する勇気も必要です。頑張りすぎてママがストレスを抱えてしまう、赤ちゃんがぐったりしてしまうというときは、コンディションが整うまで待ってから再開しましょう。
はじめは苦労したのに、再開時には案外すんなりとやめてくれた…ということもあるようですよ。
断乳後の寝かしつけは?
断乳後の寝かしつけに不安を持っているママも多くいらっしゃることでしょう。断乳後の寝かしつけには、まず赤ちゃんが心地よく入眠できるための手順を踏み、その子にあった寝かしつけのパターンを見つけてあげる必要があります。
赤ちゃんにはそれぞれ個性があるので、必ずしもこちらで紹介している方法で寝かしつけが成功するわけではありませんが、ぜひ参考にしてみてくださいね。
断乳の仕方に関する体験談
断乳に関してままのてに寄せられた体験談を紹介します。
子どもも2歳の誕生日に断乳しました。断乳する1ヶ月前ほどからカレンダーを見せ、「この日になったら2歳だから、おっぱいバイバイだよ~」と毎日シールを貼ってカウントダウンをしました。会話ができるようになってからの断乳は割とスムーズだったように感じます。
【断乳当日】
お誕生日当日は、朝にしっかりと授乳をしました。十分におっぱいを飲んだ子どもに「おっぱいにバイバイしようね」と声をかけると、本人もおっぱいに「バイバイ」と声をかけていました。
夕方になると「おっぱい飲みたい!」と大泣きしましたが、乳首に絆創膏を貼っておき「おっぱい怪我しちゃってイタイイタイなんだ」と話すと、しぶしぶ諦めたようです。
これまで夜は添い乳で寝かしつけていましたが、「おっぱい」と言うこともなく、ママに抱っこの状態で眠りました。夜中にも何度か目覚めましたが、水を飲ませたりトントンしたりするとすぐに寝つくことができました。
【断乳2日目】
日中に何度か「おっぱい欲しい」と言われましたが、「おっぱいイタイイタイなんだ」と話すと、「お水飲みたい」「お腹すいた」と別のことで気を紛らわせようとしていました。お風呂に入ったときにも乳首の絆創膏を見て「おっぱいイタイの?」と何度も不思議そうにしていましたが、きちんと理解はしていたようです。
寝かしつけのときにもおっぱいを要求されることはなく、かわりに本人がママに抱っこで寝ようとしました。ただ私の乳房の方がパンパンに張ってしまい、抱っこで胸が子どもに当たるだけで痛い状態での寝かしつけがとてもつらかったです。
【断乳3日目以降】
日中にときどき「おっぱい欲しい」と言われることがありましたが、少しずつおっぱいへの要求は薄れたようです。夜も添い乳をしていたころに比べ夜中に起きる回数も減り、目覚めてもすぐに寝付けるようになりました。
断乳すると決めたら自信をもって
断乳をすると決めても、「本当にできるのかしら」とママが不安を感じることもあるでしょう。しかし、ママのそんな不安は赤ちゃんに伝わります。ママが不安だと赤ちゃんは安心しておっぱいをやめることができません。
断乳を成功させるには、子どもとママの信頼関係がとても大切です。断乳をすると決めたら自信をもってすすめながら、授乳以外のことで子どもにたくさん愛情を注いであげましょう。子どもを安心させてあげることによって、自ずと断乳は成功していくことでしょう。