【助産師・保育士監修】卒乳の時期はいつ?平均何歳くらい?自然卒乳・計画卒乳と断乳との違いは?
赤ちゃんがすくすく育ち、離乳食も終わりに近づくと、ママが気になってくるのは「卒乳」ですよね。卒乳は何歳ごろ、どのようにすすめていけば良いのでしょうか。ここでは卒乳のメリットやデメリット、卒乳と断乳との違い、卒乳の目安となる時期やタイミング、卒乳後に気を付けたいことなどをご紹介します。
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目次
卒乳と断乳の違いは?
母乳をやめる場合は、一般的に「卒乳」と「断乳」というふたつの方法があります。その定義はあいまいで諸説ありますが、基本的には次のように考えられています。
断乳と卒乳のどちらが良いとは一概にはいえません。ママの都合や子どもの性格なども加味して、ベストな方法を判断できると良いですね。
卒乳とは?
卒乳とは、子どもが母乳を欲しがらなくなり、飲むのをやめることいいます。何もしなくても自然と子どもが飲まなくなる場合はもちろん、親が「何歳まで」「仕事復帰のタイミングで」など計画を立て、母乳を飲まない状況に慣らしていき、徐々に子どもが母乳を必要としなくなっていくことも卒乳に含まれます。
自然と子どもが母乳を飲まなくなることを自然卒乳と呼びます。一方、親が計画を立てて卒乳することを計画卒乳といいます。
計画卒乳は「自然卒乳」と「断乳」のあいだにあるような方法です。親子で話し合ったり、子どもの様子を親が観察しながらだんだんと授乳回数を減らしていったりするなどして、子どもが自然と母乳をやめられるように誘導していきます。
断乳とは?
断乳とは、ママの意志によって母乳やミルクをやめることをいいます。この日に授乳はやめると決めたら、子どもが母乳を求めて強く泣いたとしても授乳をストップするという方法です。断乳ができる月齢には個人差はありますが、母乳やミルク以外で栄養をしっかりと摂れるようになると(おおよそ生後1歳から1歳半以降)、断乳を行っても問題ないとされています。
日本では1歳代での断乳が多く目立っていますが、世界水準でみると、平均4.2歳まで授乳を行っていると公表されています。アメリカの小児学会は「少なくとも生後1年間は授乳を続け、それ以降は母子が望む限り長く授乳を続けることがすすめられる」とし、WHO(世界保健機構)でも2歳まで母乳を与えることを推奨しています。
そのため、日本でも断乳と卒乳に対する考え方は少しずつ変わってきているようです。断乳をする場合は、可能な範囲で「計画卒乳」に近づけられると、親子ともに負担が少なくて良いかもしれませんね。
卒乳時期の目安はいつごろ?平均は?
赤ちゃんが自発的に母乳を飲まなくなることを自然卒乳といいます。「できれば自然卒乳したい」という考えのママも多いかもしれませんが、自然卒乳の時期とはいつごろなのでしょうか。
1歳半~2歳がおおよその目安
自然卒乳をする時期は、子どもによってかなりばらつきがあるでしょう。 生後10ヶ月で飲まなくなったという子もいれば、幼稚園にあがるまで飲んでいたという子もいます。そのなかでも、1歳半~2歳で卒乳できたという声が平均的なようです。
世界保健機構(WHO)のガイドラインによれば、6ヶ月から12ヶ月の子どもは必要なエネルギーの半分、12ヶ月から24ヶ月の子どもは必要なエネルギーの3分の1を母乳から得ているといいます。
1歳半~2歳になると、離乳食が完了して3食+おやつを食べ、コップやストロー飲みなどで水分補給ができ、歩行もしっかりとしてくる子どもが増えます。母乳やミルク以外で栄養が補給でき、運動量が増して夜通し寝られるようになることで自然卒乳がしやすくなるということなのでしょう。
2歳以降の卒乳も増えている?
日本でも1歳での断乳は不要という考え方が浸透するにつれ、自然卒乳を目指すママが増えています。「子どもが自然にやめるのを待っていたら、2歳を過ぎてしまった」という方も少なくありません。
各種機関は「母子が望む限り長く授乳を続ける」ことを推奨しているため、卒乳を待って2歳を過ぎたからといって、早く卒乳しなければと焦る必要はないのです。
自然卒乳を目指すなら、子どもの気持ちを大切にして
授乳は赤ちゃんの大切な栄養というだけでなく、ママとのスキンシップとして重要という側面があります。栄養の面で母乳が必要でなくなっても、子どもが心を落ち着かせたり安心したりする手段として、授乳を求めることは少なくありません。
自然卒乳を目指す場合は、こういった子どもの気持ちにも十分に配慮し、子どもが自発的に「もう十分」と思えるようになるまでたっぷりと授乳をしてあげましょう。
卒乳のメリット
子どもへの負担が少ない
自然とおっぱいから離れるため、断乳に比べて子どもにかかる精神的なストレスが少ないでしょう。子どもの意志でやめるので、ママも罪悪感を持たずに済むかもしれませんね。
スキンシップを比較的長く持てる
ママにとって授乳タイムは、子どもとふたりで向き合える幸せなひとときですよね。卒乳を待つ場合、断乳するよりも比較的授乳期間が長くなるため、子どもとのスキンシップの時間も自然と多くなるでしょう。
栄養を摂ることができる
母乳には栄養がたっぷり入っています。長い期間飲ませ続けることで、豊富な栄養を与えることができますね。
卒乳のデメリット
食が進まないことがある
おっぱいでお腹を満たしてしまい、食がなかなか進まないという子もいるでしょう。食事前後の授乳が癖になっていてご飯が進まないと、その後の偏食などの原因にもなることがあります。授乳をしていても食事はしっかりと食べられるようにしたいですね。
夜通し寝られないこともある
夜間の授乳が癖になっていると、いつまでも朝までぐっすり寝られない…という子もいますよ。ママがつらい場合は、夜間だけでも断乳を試みるのもひとつの手でしょう。このとき、おっぱいが張りすぎないようにできるといいですね。
ママへの負荷が大きい
授乳期間は何かとママへの負担が多くなりがちです。母乳をあげているママは食事制限をしたり、ミルクをあげているママは外出するときの荷物が増えたりとさまざまでしょう。子どもの身体が大きくなると、1回の授乳も体力勝負です。
自然卒乳の方法ってあるの?
自然卒乳は子どもがおっぱいをやめるまで待つしかないのでしょうか。なかなか卒乳する気配がないとママも不安になってしまいますよね。断乳はしたくないけど卒乳が待ちきれないという場合は、どうしたら良いでしょうか。
卒乳を促すためにママができることとしては、母乳の回数や時間を調整するという方法でしょう。おっぱいに接する時間を少なくしたり、授乳前にご飯や補食でお腹を満たしたりすることで、徐々に子どもがおっぱいから離れていくかもしれません。
計画卒乳の仕方のコツと注意点
計画卒乳を行う場合は、段階を踏んで少しずつ授乳回数を減らしていく方法が一般的です。卒乳にかける期間は1ヶ月ほどの方が多いようですが、子どもとママの状況にあわせて柔軟に調整して問題ありません。
1.授乳間隔をあける
外出を増やすなど、子どもがおっぱいを思い出さないでいられるような状況作りを心がけてみましょう。ママから離れ、パパや祖父母と過ごす時間を少しずつ増やしてみるという方法もあります。朝・昼・晩・寝る前に1回ずつなど、1日4回程度の授乳回数にするのを目標に、子どものペースにあわせて進めましょう。
2.飲まない時間帯を増やしていく
子どもに相談したり言い聞かせたりしながら、「外出のときは飲まない」「夜は飲まない」など、飲まない時間帯を増やしていきます。最終的に授乳が1日1~2回で済むようになったら、卒乳の日の1週間くらい前から、「〇日になったらおっぱいとバイバイしようね」といった内容の声かけをしておきましょう。
3.卒乳の日当日は
卒乳の日に母乳を欲しがった場合は、あげた方が良いとする説とあげない方が良いとする説、どちらもあるようです。断乳を望まず、卒乳の日が後ろ倒しになっても問題ない場合には、1日1~2回の授乳ペースを再度続けて数週間など一定の期間を置いてから、子どもに改めて「〇日にはおっぱいバイバイできるかな」などの声かけを行ってみると良いのではないでしょうか。
卒乳のコツ:スキンシップを忘れない
授乳は大切なスキンシップの時間でもあります。授乳しなくなる分、スキンシップをたくさんとるように心がけましょう。卒乳を進めるときは、子どもが哺乳しなくても精神的にリラックスできるよう、一緒に遊んだり抱きしめたりする時間を十分に確保してあげてくださいね。
卒乳の注意点:無理に卒乳しない
大切なことは、子どもの気持ちを無視して無理やり授乳をやめてしまわないことです。哺乳をやめることに納得できていないのに、強引におっぱいを取り上げてしまうと、子どもに大きなストレスがかかり、夜泣きなどの原因になる場合があります。
「卒乳」するには、子どもが母乳を飲まなくても良いという気持ちになっていることが大切です。計画卒乳を目指す場合は、「卒乳予定日」を重視するのではなく、「子どもの気持ち」に沿って計画を進めていきましょう。
完全ミルク育児の卒乳は?
完ミの場合の卒乳時期と方法は?
ミルク育児の場合、1歳を過ぎたら卒乳を意識し始めるとことが多いようです。牛乳を飲めるようになるため、粉ミルクを徐々に牛乳に置き換えていくと良いでしょう。
このとき、離乳食が順調に進んでいることが大切です。離乳が完了していて、食べ物から栄養を摂れていれば、ミルクをやめても良いでしょう。牛乳が苦手な場合はフォローアップミルクなどの飲みもので少しずつ粉ミルクを減らすのも良いかもしれませんね。
哺乳瓶も、ストローマグやコップに置き換える練習をしておくのもポイントです。保育園に通う子どもは、園によっては乳児クラスまでしか哺乳瓶の使用ができないという場合もあります。事前に確認し、練習しておくと安心ですね。
まずは夜のミルクからやめてみる
卒乳を促す際は、寝る前や夜間の授乳をやめてみることからはじめると良いでしょう。1歳近くになるとほとんどの子どもに乳歯が生えてきます。
乳歯が生えてくると虫歯の心配も出てきます。寝る前の歯磨きと同時に、夜間断乳をすることによって虫歯になるリスクを減らしましょう。寝かしつけが授乳になっている場合は、お茶や白湯にかえてみると良いでしょう。
卒乳後の寝かしつけは?
特に添い乳(赤ちゃんと一緒に横になって授乳する)で寝かしつけをしていたママは、卒乳後はどうやって寝かしつけをすれば良いのか悩んでしまうかもしれません。
卒乳後は赤ちゃんの寝る時間を決め、生活リズムを整えることが大切です。外遊びを増やす、お昼寝の時間が長くなり過ぎないようにするなど、特に卒乳後しばらくは気を配りましょう。
また、添い乳に代わる「寝る前の行動」を決めておく方法も効果的です。たとえば、本を読む、子守歌をうたう、手でとんとんと身体を軽くたたいてあげるなど、「眠る合図」を決めて毎日繰り返します。赤ちゃんが落ち着いて眠りに入ることのできる方法を探してみましょう。
卒乳させたいのにできない!
自然卒乳を待っているのになかなかできないというママもいるでしょう。2歳や3歳をすぎてもおっぱいから離れる気配がないと、だんだんと心配になってしまいますよね。
どうしてもゴールがみえないという場合は、断乳に踏み切るという選択肢もあるのではないでしょうか。子どもがきちんと母乳以外で栄養を摂取できていれば、いつおっぱいをやめても問題ないとされています。
自然にやめるのを待っていてもなかなかやめる気配がなく、ママ自身の気持ちにも焦りや違和感を覚えてきたら、思い切って計画卒乳や断乳を進めてみてはいかがでしょうか。
卒乳に失敗すると...
「卒乳できていたのに、おっぱいが張り過ぎてがまんできずあげてしまった」など、卒乳がうまくいかない場合もあるでしょう。一度卒乳に失敗すると、子どものおっぱいへの執着が強まってしまうことがあるようです。
ママの状況が許すのであれば、一定期間望んだ分だけ飲ませてあげるようにし、子どもが落ち着いてきたら再度卒乳を計画しましょう。ママも子どもも必要以上に焦らないことが、お互いにストレスなく卒乳を迎えるコツですよ。
また、子どもが欲しがっているのに授乳しないのは、かわいそうだなとママが苦しくなるときは、まだ卒乳の時期ではないのかもしれませんね。状況が許すのであれば、もう一度時期を改めても大丈夫ですよ。
卒乳後にママが気を付けたいこと
寂しくなる
ママの気持ちの準備ができていない状態で、突然子どもがおっぱいを飲まなくなって卒乳するケースは少なくありません。子どもがおっぱいへの執着がなさすぎると、ママが寂しい気持ちになってしまうでしょう。
卒乳の時期は個人差があり、予測ができません。成長の証としてポジティブにとらえ、気持ちを切り替えましょう。
太りやすくなる
授乳には多くのエネルギーが必要となるため、授乳中のママは赤ちゃん分まで食べるようにと良くいわれますよ。特に運動をしていなくても、授乳だけで痩せてしまったというママもいるでしょう。
完全母乳育児の場合、授乳で一日に消費するカロリーは500~800kcalほどだといわれています。卒乳後に授乳中と同じ食事量を摂っていると今まで消費していたカロリー分が上乗せになり、結果的に太ってしまうことがあるので、注意したいですね。
生理が再開する
産後の生理再開のタイミングには個人差があります。授乳中に生理が再開するママもいれば、授乳をやめてもなかなか生理が来ないというママもいるでしょう。
授乳中に生理がなかった場合、卒乳前後のタイミングで生理が再開する可能性があります。時期が予測できないため、いつ来ても大丈夫なよう、ナプキンを常に持ち歩くなどして対策しておきましょう。また、生理が始まる前に排卵が起こると妊娠の可能性もありますので、すぐに赤ちゃんが欲しくない場合は、避妊をしておきましょう。授乳していることは避妊にはなりません。
おっぱいがしぼんでくる
授乳が終わるとおっぱいにハリがなくなり、サイズダウンしたり形が崩れてきたりとがっかりしてしまうことがあるでしょう。バストアップのための運動や下着をつけることで、産前のプロポーションを取り戻せると良いですね。
サイズ:S~4L、SG~4LG
寝ながら育乳できるママたちに大人気のナイトブラ。色やサイズも豊富で選ぶのが楽しくなってしまいますよ。
おっぱいケアが必要
卒乳したからといってすぐに母乳が出なくなるわけではありません。圧抜きなどの正しいケアを行い、徐々に母乳の分泌量を減らしていきましょう。乳腺炎などのトラブル防止にもつながりますよ。
夜泣きに悩まされることがある
卒乳できても、夜通しぐっすり寝るようになるとは限りません。お腹がすいて起きたり、精神的に落ち着かず夜泣きをしたりと、しばらくはママを悩ませることもあるでしょう。おっぱいでの寝かしつけをしていたママには大変かもしれませんが、授乳以外の方法で寝かしつけられるように工夫すると良いですね。
卒乳に関する体験談
ままのて編集部に寄せられた卒乳に関する体験談をご紹介します。
ミルクと母乳の混合育児で子どもを育ててきました。夜はミルクをあげてから母乳で寝かしつけ行っていましたが、1歳頃になると牛乳を飲めるようになったため、ミルクではなく温めた牛乳を与えるようになりました。
寝かしつけの母乳も、徐々に出る量が少なくなっていたようで、少し飲んではガジガジと噛まれるようになりました。しばらく噛まれる日が続いたので、そろそろ卒乳かなと考えるようになりました。
1歳1ヶ月になった頃、思い切って夜に外出の予定を入れ、夫に寝かしつけをしてもらうと見事に成功。そのころには日中の授乳はほぼなかったので、そのまま卒乳することができました。しばらくは夜泣き対策でおしゃぶりを与えていましたが、それも1歳半くらいで卒業させることができました。
3歳になるまで哺乳を続けていました。最後の方は母乳の量自体も少なかったでしょうし、栄養の面では必要のないものだったかもしれませんが、子どもにとっては就寝前にリラックスするための大切な時間だったようです。
ママが負担を感じないようであれば、子どもが望むときに望むだけ母乳をあげてかまいませんし、大変だと思うようであれば、回数を減らしたり夜だけにしたりするなど、子どもと話し合っても良いと思います。
親子でストレスの少ない卒乳を目指そう
子どもが自然と「いらない」と言うようになるまでずっと授乳したいということは、素晴らしいことです。一方で、仕事などの理由から授乳期間を決めて計画卒乳を進めるというのも、親子のストレスを軽減するには大切なことです。
長い人生のなかで授乳をしている期間はほんの一瞬にすぎません。授乳がつらくて「早く卒乳させたい」と悩むママもいるかもしれませんが、数年後には懐かしく、良い思い出になっていることでしょう。子どもそれぞれに個性があり、卒乳はいつやってくるかわかりません。授乳中の幸せなひとときを楽しむことができると良いですね。
理想の卒乳スタイルは人それぞれです。自分たちにとって無理の少ない方法を選びましょう。
※この記事は2023年6月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。