完全ミルク育児のメリット・デメリットは?赤ちゃんの寝かしつけ、授乳間隔・量はどうする?

赤ちゃんを育てるには、完全ミルク育児、完全母乳育児、混合育児の3パターンの授乳方法があります。赤ちゃんをミルクのみで育てる「完全ミルク育児」には、赤ちゃんやママにとってどんなメリットやデメリットがあるのかご紹介します。

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この記事の監修

河井 恵美
助産師・保育士
河井 恵美

目次

  1. 完全ミルク育児とは?
  2. 完全ミルク育児のメリット
  3. 完全ミルク育児のデメリット
  4. 母乳育児からミルク育児への移行方法は?
  5. 完全ミルク育児での寝かしつけは?
  6. 混合育児のメリット・デメリット
  7. ママと赤ちゃんにあった育児をしよう
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完全ミルク育児とは?

赤ちゃんの授乳方法には3タイプあります。ミルクのみの完全ミルク育児、母乳のみの完全母乳育児、母乳とミルクの混合育児の3タイプです。

「完全ミルク育児」とは、母乳を与えずに粉ミルクのみで赤ちゃんを育てる育児のことです。略して「完ミ」などと呼ばれるケースもあります。

WHOは、生後6ヶ月間は母乳のみで育てることが好ましいとしています。しかし、母乳の分泌量、ママや赤ちゃんの体調、ママが仕事復帰する場合などの生活環境により、赤ちゃんやママにあった適切な方法を選択することが大切でしょう。

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完全ミルク育児のメリット

完全ミルク育児の最大のメリットは、ママ以外の人でも授乳できる点です。完全ミルク育児を行う場合の主なメリットをご紹介します。

ママが休める

母乳が思うように出ないとストレスがたまりやすくなりますが、ミルクの場合は粉ミルクの量を計測して作るため、毎回同じ量を用意できます。母乳が出ないと悩み、さらに母乳の出が悪くなってしまうような悪循環もなく、パパやおばあちゃんにミルクをお願いすればママは休めむことができます。

どんなにかわいい我が子でも、24時間一緒にいると息が詰まってしまうものです。短時間でもひとりの時間があれば、リフレッシュできます。

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飲んだ量がわかりやすい

ミルクをあげるときには哺乳瓶を使うので、目盛りを見ると赤ちゃんが飲んだ量が正確にわかります。初めての育児の場合、ささいなことでも心配になりますよね。母乳の場合は、赤ちゃんが飲んでいるように見えても、実際には母乳の出が悪く、時間がかかっているだけのこともあります。

ミルクが不足しているのか、飲ませ過ぎなのか数字でわかるので、ママやパパも安心できるのではないでしょうか。ミルク缶には、月齢にあったミルクの目安量が書かれているので、参考にしながら与えられます。

ママ以外も授乳できる

ママが仕事復帰した場合や、体調が悪い場合、ママが赤ちゃんを預けて外出する場合など、ママが授乳できないときに、他の人が授乳できます。母乳はママ限定ですが、ミルクの場合はパパも積極的に育児ができるので、赤ちゃんはもちろんパパにとってもママにとっても嬉しいですね。

また、母乳育児の場合は、授乳時の人目が気になり授乳場所で悩みがちです。しかし、ミルクの場合は人目を気にせずに授乳できます。

【体験談】夫と交代で睡眠を取ることができました

出産直後から母乳の出が悪く、子どもの吸い付きも悪かったので生後1ヶ月で母乳は断念。そうそうに完全ミルクに切り替えました。ミルクは哺乳瓶の消毒や温度の調整がかなり面倒ですが、夫などに替わってもらえるので、そのあいだ睡眠を取ることができて助かりました。

授乳間隔が安定する

母乳に比べると、ミルクは腹持ちが良いといわれています。ミルクの消化は母乳よりも時間がかかり、個人差はありますが、母乳に比べると頻繁に授乳する必要がなく、授乳間隔が安定します。授乳間隔が安定していると頻繁に授乳する必要がないので、ママは休めます。

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卒乳・断乳がスムーズになる

卒乳や断乳には個人差がありますが、母乳育児の赤ちゃんに比べるとミルク育児はスムーズ行えます。ミルクの赤ちゃんは哺乳瓶を使用しているので、哺乳瓶を使ってミルク以外の飲み物を与えて赤ちゃんに慣れさせていけば、マグやコップへの転換もスムーズに行うことができます。

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ビタミンDが摂取できる

粉ミルクには、母乳にはあまり含まれていないビタミンDが含まれています。ビタミンDが不足すると起こる可能性がある、骨の変形や成長不全の「くる病」の心配が軽減します。

おっぱいトラブルがない

母乳を与えていると、乳腺がつまることによって起こる、痛みを伴う乳腺炎などのおっぱいトラブルが付きものです。しかし、ミルク育児の場合は乳腺炎の心配はありません。乳首が切れてしまうようなこともなく、安心です。

完全ミルク育児のデメリット

完全ミルク育児にはメリットもありますが、完全ミルク育児だからこそのデメリットもあります。完全ミルク育児を行った場合に考えられる、主なデメリットをご紹介します。

子宮回復が遅れる

赤ちゃんがおっぱいを吸うことでオキシトシンが分泌されると、子宮が収縮して産後の子宮回復につながります。しかし、ミルクの場合は赤ちゃんにおっぱいを吸われず、オキトキシンが分泌されないため、子宮の回復が遅れる傾向にあります。

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外出時の荷物が増える

赤ちゃんとの外出は、おむつや着替えなど何かと荷物が多いですよね。母乳育児の場合は、ママがいれば授乳できますが、ミルク育児の場合はミルクを作るための道具が必要です。必要最低限の道具として、哺乳瓶、粉ミルク、お湯をいれた水筒などの準備が必要になるので、荷物が増えます。

荷物が多くなってしまっても、パパなど他の誰かと一緒に出かけるときは荷物を持ってもらうことができます。しかし、ママと赤ちゃんとのふたりきりや、上の子も一緒に外出する場合はさらに荷物が増えるので、外出時は大変です。

お金がかかる

ミルク育児では、粉ミルクを購入する必要があります。赤ちゃんが成長するにつれて飲む量が増えるので、必要になる粉ミルクの量も増え、その分お金がかかります。

準備に手間がかかる

ミルクを飲ませるときは母乳に比べると準備に手間がかかり、赤ちゃんがミルクを欲しがってもすぐにミルクを飲ませてあげることができません。以下はミルクを作るときの主な手順です。

1.哺乳瓶と70℃以上のお湯を用意する
2.必要な粉ミルクの量を計測して哺乳瓶にいれる
3.お湯をいれながら、粉ミルクを溶かす

作りたてのミルクは熱いため、赤ちゃんに飲ませる前に適温まで冷ます必要があり、時間がかかります。ミルクは作り置きができないので毎回作らなければならず、余ったミルクは処分した方が衛生面でも安心です。

哺乳瓶を使用した後は、哺乳瓶や乳首を丁寧に洗う必要があります。

免疫がつきにくい

母乳には、赤ちゃんにとって必要な栄養素がたくさん含まれています。産後2~3日くらいまでに出る黄色の「初乳」と呼ばれる母乳の中には、赤ちゃんにとって大切な免疫が多く含まれています。生後間もない赤ちゃんは、病気から守ってくれる免疫が不十分です。

自身ではまだ免疫を作れないので、赤ちゃんは母乳を通して免疫をもらいます。そのため、母乳を飲まない完全ミルク育児では、免疫がつきにくいといわれています。

母乳育児からミルク育児への移行方法は?

母乳を少しでも長く与えたい場合は母乳を優先して飲ませ、ミルクを足して不足量を補う混合育児を行いましょう。下の子の妊娠やママの仕事復帰などによって完全ミルク育児へ移行したい場合は、赤ちゃんにはミルクをメインに与え、母乳を足すようにしましょう。

母乳は赤ちゃんが飲んでくれた分だけ新しく作られるので、赤ちゃんが飲む母乳量が減ると母乳の分泌量も減っていきます。徐々に母乳の量を減らしていくことで、母乳トラブルを避けることができます。

しかし、今まで母乳だけを飲んでいた完全母乳育児の赤ちゃんがミルクに慣れるまでには、時間がかかってママが苦労することも考えられます。

完全ミルク育児での寝かしつけは?

母乳育児や混合育児の場合はおっぱいをあげながら寝かしつけることができますが、完全ミルク育児の場合はどのようにして寝かしつければ良いのでしょうか。ミルク育児の赤ちゃんの場合は、抱っこをしながら寝かしつけるのが一般的です。

スムーズに寝てくれる場合は良いですが、なかなか寝てくれないこともありますよね。小さな赤ちゃんでも、ずっと抱っこをしていると腕が痛くなり、大変です。

抱っこがつらいときは、お気に入りのタオルやおもちゃを持たせたり近くに置いたりすると、赤ちゃんが安心して寝てくれることもあります。ただし、赤ちゃんは何でも口にいれてしまうので、誤飲してしまうような小さなものは避けてくださいね。また、窒息予防の観点から赤ちゃんの周りには何も置かない方が良いため、眠ったらすぐにおもちゃなどは片付けましょう。

最近では赤ちゃん用のベッドも、振動を個別に調整してくれるものが販売されています。振動するようなベッドを使用する際は、振動で赤ちゃんの姿勢が横向きやうつ伏せになっていないかをママやパパがこまめに確認する必要があります。特にタイマーでしばらくベッドを動かして、親が赤ちゃんから離れて家事や他の作業を行う場合は大変危険です。ママやパパの目の届く範囲で使用しましょう。

河井先生のヒトコト「ハイローチェアは危険!」

ハイローチェアのように囲いがなく、支えが不安定なものは一時的には使用できますが、夜の睡眠には不向きです。

赤ちゃんが動くようになると、ベルトをしていてもチェアの上で動き、バランスを崩してチェアが転倒したり、赤ちゃんの位置がずれて転落する可能性があり大変危険です。

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混合育児のメリット・デメリット

混合育児では、完全ミルク育児と母乳育児のそれぞれのメリットを生かすことができます。

メリットは、ママや赤ちゃんの状況にあわせた授乳方法を選択できる点です。夜中はミルクの準備が大変なので母乳を与えたり、逆に腹持ちの良いミルクを与えたりできます。誰かに預けて外出するときはミルクにするなど、ママと赤ちゃんにあった授乳方法を選べるでしょう。

デメリットは、粉ミルクを購入することで、母乳育児と比べるとお金がかかることです。また、ミルクを与えたときは赤ちゃんが飲んだ量がわかりますが、母乳の場合はどのくらい飲んだかわかりません。

ママと赤ちゃんにあった育児をしよう

母乳は誰でも同じように出るものではありません。ママの仕事復帰や母乳の出方など、さまざまな理由で母乳育児や混合育児ができないケースがあります。

ミルク育児は、ママ以外が授乳できるなどのメリットも多く存在します。赤ちゃんとママにあった方法で、赤ちゃんとの時間を楽しみましょう。

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