【助産師監修】母子健康手帳の書き方は?何を記入する?かわいい記録・おしゃれにデザインする方法とイラストを描けるスペースも紹介
「母子手帳」と聞いたことはあっても、内容まで把握している女性は少ないのではないでしょうか。母子手帳は妊娠・出産・乳児・幼児・発育曲線・予防接種というように、子どもの成長にあわせた内容と健診の記録ができる構成になっています。妊婦健診や出産後に必要になる出生届出済証明も含めて、母子手帳の内容・中身についてお伝えします。
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目次
母子手帳の役割
母子手帳は正式名称「母子健康手帳」と言い、お住まいの自治体に妊娠の届出をすると交付されるママと赤ちゃんの健康管理のための手帳です。母子手帳には、妊娠中から子どもが小学校に入学するころまでの健康診断の結果や予防接種の履歴などを記録します。
また、健診や成長の記録に加え、妊娠中や子育てに必要な情報や相談窓口が記載されており、赤ちゃんを育てるうえで不安や疑問を感じたときに開くと役立つことも多いですよ。
母子手帳の内容・中身
母子手帳の内容・中身は、数年ごとに社会情勢や制度の変化にあわせて改正されています。最近では2023年、2024年に改正が行われています。そのため自分自身の母子手帳を親から譲り受けている人や母子手帳が改正された年をはさんできょうだいを妊娠・出産している人は、以前の母子手帳と今の母子手帳の内容の違いに気づくかもしれません。
とはいえ、母子手帳は今も昔もママと赤ちゃんの健康管理のために作られた手帳であることは変わりません。今の時代に即した母子手帳の内容を特に使用頻度が高い部分からお伝えしていきます。
妊婦生活に関すること
妊娠中は主に妊婦健診や検査の記録として使用されることが多く、産婦人科の受付では毎回診察券と一緒に母子手帳の提出が求められます。基本的に妊婦健診で計測する体重、血圧、腹囲、子宮底長などは医療機関側で母子手帳に記録してくれます。検査の記録も同様で、医療機関が検査結果を記入したり検査結果の用紙を母子手帳に貼付したりする場合があるので、検査に関するページも特に妊婦さん自身で記入する必要はないでしょう。
また、母子手帳には緊急連絡先や分娩施設へのアクセス方法を記入する欄があります。こちらは早めに記入しておきましょう。万が一外出先で体調が悪くなってしまったときでも、母子手帳を携帯していればスムーズに自分の状態を医療機関に伝えることができるので安心ですよ。
赤ちゃんの出産や成長に関すること
赤ちゃんを出産すると分娩に関することや赤ちゃんの検査・健診結果が母子手帳に記録されていきます。また、ママ自身が記録していくものとしては男女別の発育曲線・成長曲線が有名かもしれません。
発育曲線・成長曲線は正式には「乳児身体発育曲線」と言います。乳児身体発育曲線は厚生労働省が10年ごとに乳幼児の身体の発育を調べて作成しているもので、横軸に月齢や年齢、縦軸に身長・体重の数値が配置された曲線のグラフです。グラフ内の色がついた帯内に各月齢の94%の子の値が入るように作成されており、乳幼児の成長の目安として使用されます。
発育曲線を記入していて、帯内に自分の赤ちゃんの数値が入っていないと不安を感じるママがいるかもしれません。発育曲線はあくまで成長の目安です。発育曲線の帯内に入らなければいけないわけではなく、どのあたりに自分の赤ちゃんが位置しているか確認し、どんな曲線を描いているかを見ることが大切です。
何ヶ月か記入したときに、発育曲線から大きくはずれた場所で横ばいのままであったり、急激な体重の増減を示していたりする場合には注意深く観察する必要があります。ただし、帯から外れていても発育曲線のカーブにそって身長・体重が増えているようなら、そこまで問題視する必要はありません。一人ひとり違う発育の様子をゆったりとした気持ちで見守っていきたいものですね。
妊婦健診受診票・補助券
妊娠は病気ではないため健康保険が使えず、妊婦健診費用は基本的に自己負担となります。しかし、多くの市区町村では妊婦健診費助成として妊婦健診受診票や補助券を発行しています。
妊娠届を提出すると母子手帳の別冊という位置づけで交付されることが多く、妊婦健診の際は母子手帳と一緒に提出を求められます。妊婦健診の受診票を持参し忘れると全額自己負担となるので、妊婦健診の際は必ず持参するようにしましょう。
母子手帳は日本全国で使用が可能ですが、妊婦健診の受診票は基本的に発行された自治体以外では使用できません。隣接する市区町村や、他地域でも自治体が独自で提携契約している医療機関であれば使用できるケースがあるので、里帰り出産を考えている人は早めに確認しておきましょう。
母子手帳の内容【妊娠中に記入・記録する部分】
妊婦の健康状態等
妊婦の身長、ふだんの体重、これまでにかかった病気などを記入します。赤ちゃんの発育に影響をおよぼすお酒やタバコに関する質問もあるので、妊婦さん自身はもちろん一緒に生活するパートナーの生活習慣もあわせて見直してみてはいかがでしょうか。
妊婦の職業と環境
仕事をしている妊婦さんであれば職業、仕事内容、勤務時間、通勤時間、通勤方法、産休・育休の期間を記入します。職場環境に関しては、タバコの煙がひどい、休憩がとりにくい、時間外労働が多いといった場合は特記事項として記入するよう指示があります。
妊婦の環境を記入する欄は、一戸建てやマンションといった自宅の住居の種類、エレベーターの有無、騒音や日当たりの良し悪し、同居している家族を記入します。
ちなみに働く女性が妊婦健診で、医師から時短勤務や休憩時間などの指導を受けた場合、母性健康管理指導事項連絡カード(以下、「母健連絡カード」)を利用すると勤務先にスムーズに伝えることができます。医師に母健連絡カードを記入してもらい勤務先に提出すると、事業主は記載内容に応じた措置を講じる必要があります。また、母健連絡カードは診断書と同等に扱われるものなので、母健連絡カードを記入してもらえば診断書は必要ありません。
妊婦自身の記録
妊娠月数ごとに自分の体調や妊婦健診で聞きたいことを妊婦さん自身で記録できるページです。母子手帳の中で書き方が決まっていない自由度の高いページになるため、人によっては赤ちゃんを迎える自分の気持ちを記入する人もいます。こうしたメッセージは成長した子どもが目にしたとき、きっと嬉しく感じることでしょう。
妊娠中の経過
妊娠中の経過は、妊婦健診の結果を医療機関に記入してもらうページです。妊娠週数、子宮底長、腹囲、体重、血圧、浮腫(むくみ)、尿たんぱく、尿糖といった妊婦健診で計測・検査した項目が集約しています。このページを参考にして、妊娠中に体重指導が行われる場合があります。
検査の記録
妊娠中は風疹ウイルス抗体や不規則抗体、HIV抗体などを調べるため、多くの血液検査を行います。検査の記録のページには、それぞれの検査項目や検査を行った日付が記入されます。検査の記録の隣ページは検査結果の用紙を添付できるよう予備欄になっていることが多いようです。
2023年の改正で、妊婦健診で行った検査の結果について気になる点や追加検査・治療が必要かなどの疑問があったときに、医師に相談することを促す文章が追加されました。病院で結果について説明を受けた時点では気になることがなくても、あとで母子手帳を見返したときに気になることが出てくることもあります。なにか心配なことがあれば、遠慮せずに医師に相談するようにしましょう。
父親や周囲の記録
「父親や周囲の記録」は、2023年の改正により新たに追加された項目です。妊娠中からパパや家族がママと一緒に妊娠生活や赤ちゃんの成長、産後の育児について考えるきっかけになるよう作成されました。
このページは大きく枠だけが設けられており、母子手帳の書き方は特に決まっていません。赤ちゃんを迎えるまでの気持ちやママに対する想い、新しい家族を迎える意気込みなどを記し、家族のきずなを深めるページにしてみてはいかがでしょうか。
両親学級の記録
自治体で行われている両親学級(母親学級)に参加した際に、受講年月日や科目が記入されるページです。自治体の両親学級は平日に開催されることも多く、仕事をしている妊婦さんにとってはなかなか参加しづらい場合があるかもしれません。受講できないことに不安を感じる妊婦さんは、自治体の保健福祉センターで相談してみましょう。
また、出産する病院独自で両親学級が開かれていることもあるため、妊婦健診の際に開催の有無を確認してみましょう。
妊娠中と産後の歯の状態
妊娠期は体質やホルモンバランスの変化により虫歯になりやすい時期です。妊婦健診の受診票に加えて、妊娠中の歯科健診の受診票を交付している自治体もあるので有効活用しましょう。産後は赤ちゃんのお世話で歯医者へ行く時間がなかなか取れないかもしれません。受診票の交付の有無にかかわらず、妊娠中に歯科健診を受けておくと安心ですよ。
母子手帳の内容【出産後に記入・記録する部分】
出生届出済証明
赤ちゃんが生まれてまず行う手続きは、出生届の提出です。この出生届の提出を証明するのが出生届出済証明です。出生届出済証明は母子手帳の表紙を開いてすぐのページにあることが多く、出生届を提出した市町村の窓口で署名・押印をしてもらいます。
パパやママの勤務先に、赤ちゃんの出産証明として出生届出済証明のコピーの提出が必要な場合があります。出生届提出時に、しっかり記入されていることを確認しましょう。
出産の状態
赤ちゃんを出産したときの状態が記録されるページです。妊娠何週何日目での出産になったのかを記入する妊娠期間や、赤ちゃんが生まれた日時、分娩経過、分娩方法、分娩所要時間、出産時の出血量、輸血の有無、赤ちゃんの性別・体重・身長・胸囲・頭囲が医療機関によって記録されます。
出産後の母体の経過
出産後のママの子宮の状態や悪露(おろ)、おっぱいの状態、尿検査の結果、血圧、体重が記録されるページです。出産後や1ヶ月健診のときの診察結果を医療機関が記入してくれます。
出産後に入浴や家事を開始した日や、月経再開した日を書き留めておく欄もあるので、こちらはママ自身で忘れないよう記録しておきましょう。
2023年の改正では、産後ケアや子育て世代包括支援センターなどの子育てに関する地域の相談機関を利用した場合に記録するページも追加されています。各自治体では、ママや赤ちゃんのための産後ケア事業の拡充が図られています。住んでいる自治体で産後にどのような支援を受けられるか、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。
子どもの成長・健診の記録
子どもの成長・健診の記録のページは、基本的に見開きで使用します。左側のページは保護者が記録、右側のページは医療機関が記録します。保護者が記録するページは「はい」「いいえ」で答える子どもの発達に関する質問がいくつか書かれており、ページ下は空欄になっています。空いているスペースには子どもの成長の様子や、かかった病気などを記入しておきましょう。寝返りをした日、ハイハイをした日など子どもの成長を実感した日を記入しておくのも良いですね。
予防接種の記録
予防接種を受けることで感染症の予防ができるとともに、もしかかってしまっても重症化を防ぐ効果が期待できます。そのために0歳からさまざまなワクチンの摂取が必要です。予防接種を受ける際は母子手帳を必ず提出し、いつ・どんなワクチンを摂取したかを医療機関に記録してもらいましょう。
予防接種の記録を定期的に確認することでワクチンの打ち忘れをなくしたり、次に打つべき予防接種のスケジュールを立てるときに役立てたりすることができます。
母子手帳の副読本とは
母子手帳と一緒に自治体から交付されるものに副読本があります。母子手帳の副読本は妊娠中や出産後に役立つ情報が掲載されています。新生児のお世話の方法や母乳育児・離乳食、子どもの発達に関することなどが説明されているので、副読本を読むと産後の生活がよりイメージしやすいかもしれません。自治体によっては地域の公園や遊び場、子育て支援センターの情報も掲載しているので、自宅に近い場所を今からチェックしておきましょう。
母子健康手帳の書き方
母子健康手帳の紙面は基本的に黒1色もしくは赤と黒の2色などシンプルなデザインで構成されています。イラストなどはあまり描かれておらず、親しみやすさをあまり感じられないかもしれません。そのためか、「せっかくなら母子手帳をかわいくしたい、おしゃれに飾りたい」というママも多いようです。
母子手帳には妊娠中の記録、父親や周囲の記録、母親・保護者の記録など自由に記入できるページがあります。ここに文字だけで記入するのではなく、イラストを描き込んだりシールを貼ったりすることでかわいいデザイン・おしゃれなデザインのページが作れます。イラストを描くのが苦手なときは、文字の下にペンや色鉛筆などでラインを引くだけでも華やかになりますよ。
母子手帳の内容・中身を把握しておこう
母子手帳の内容や中身は、妊婦さん自身で記入するもの、医療機関で記入してもらうもの、出産や育児に関する読み物の大きく3つに分かれます。母子手帳を受け取ったら、まずは一通り目を通し、最終月経開始日や妊娠の初診日など記入できるところから記入しておきましょう。
母子手帳の書き方が決まっていないページにママとパパの赤ちゃんを迎える気持ちを記しておくと、赤ちゃんへの素敵なプレゼントになるでしょう。
出産すると赤ちゃんのお世話に時間をとられ、なかなか母子手帳をじっくり読む時間が取れないかもしれません。妊娠中に母子手帳の読み物のページや出産後に記入が必要な箇所をチェックし、赤ちゃんを迎え入れる準備を進めておきましょう。赤ちゃんのパパとも情報を共有できるといいですね。
※この記事は2025年4月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。