更新日:2018年12月07日

臍帯血バンクに臍帯血を保存するには?民間・公的バンクの違いと費用・リスク

臍帯血バンクは、再生医療や細胞治療への応用が期待されている「臍帯血」を保存しておく機関です。公的臍帯血バンクと民間臍帯血バンクには、どのような違いがあるのでしょうか。運用目的の違いや、民間バンクを選ぶ際に確認しておきたいポイント、注意点を解説します。気になる費用、保存期間、保存方法についても見ていきましょう。

監修 : ままのて 医師・専門家
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記事の監修

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産婦人科医
藤東 淳也

臍帯血の保存は必要?メリット・デメリットは?

臍帯血とは

「臍帯血(さいたいけつ)」は、赤ちゃんとママをつなぐ臍帯(へその緒)と胎盤の中にある胎児由来の血液です。臍帯血には、赤血球や白血球のもととなる「造血幹細胞」が多く含まれており、白血病や再生不良性貧血など血液難病の移植治療に役立てられています。将来的には骨や脳、神経などの再生医療への応用も期待され、世界中で研究が進められています。

公的バンクと民間バンクに保存できる

臍帯血の採取・保存は公的な臍帯血バンクと民間の臍帯血バンクが行っています。このうち、民間の臍帯血バンクに採取した臍帯血を保存すると、赤ちゃん自身や親、きょうだいが移植を必要とするような病気になったときに、保存した臍帯血を利用できるというメリットがあります。

しかし、自己臍帯血を利用した治療は研究段階で、保存した臍帯血を使用して治療を行うための医療ネットワークはまだ確立されていない状況です。また民間の事業者をめぐっては、安全性や治療効果についてさまざまな議論があります。こうしたデメリットも存在することを知っておきましょう。

保存先は慎重に検討しよう

自己臍帯血が使用できない場合は公的バンクを利用したコーディネートに頼ることとなるため、公的バンクの充実を図ることも重要です。臍帯血を保存することは、将来的な治療の道を開くことにつながる可能性が高いと考えられますが、臍帯血の保存を考える際は、自己臍帯血が使用できない場合のリスクも想定し、さまざまな要素を比較しながらどこに保存するか選定すると良いでしょう。

臍帯血バンクとは?民間と公的バンクの違いは?

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公的臍帯血バンク(臍帯血供給事業者)

公的臍帯血バンクとは、「造血幹細胞移植法」に基づき厚生労働省から認可を受け、移植のために用いられる臍帯血を提供する事業者を指します。献血のように、妊婦さんから臍帯血の無償提供を受け成り立っている事業です。

現在、医療施設への供給を行っているのは、日本赤十字社北海道さい帯血バンク、日本赤十字社関東甲信越さい帯血バンク、一般社団法人中部さい帯血バンク、認定NPO法人兵庫さい帯血バンク、日本赤十字社九州さい帯血バンクの6事業者です。

臍帯血の採取は、公的バンクの提携病院で行われます。血液を採取するには一定の条件が設けられており、双子や三つ子などの多胎妊娠、遺伝性血液疾患などがあると採取できません。また、帝王切開や休日・夜間の出産の場合も採取できないときがあります。

採取された臍帯血は移植に適した状態へ調整され、凍結保存されます。臍帯血の保存は無料で行われ、第三者へ提供されます。提供者自身の移植に使われることはありません。臍帯血移植を必要とする患者と、保存された臍帯血の白血球の型が一致する割合は90%以上の実績をあげています。より多くの患者が移植を受けられることを目指して、公平に運用されているのです。

民間臍帯血バンク(臍帯血プライベートバンク)

民間臍帯血バンクとは、赤ちゃん本人やその家族が治療を必要としたときのために、臍帯血の保存を行う事業者です。公的バンクとは異なり、厚生労働省の認可を受けていません。採取可能な病院は事業者によって異なりますが、分娩先の病院が同意すれば、基本的にどの施設でも採取が可能です。

民間臍帯血バンクをめぐっては、臍帯血が流出し、違法に治療に使われていた実態がありました。そこで、厚生労働省は民間臍帯血バンクの実態調査を行い、再生医療などの安全性を確保するため法の整備を進めています。厚生労働省が平成29年に行った「臍帯血プライベートバンクの業務実態に関する調査(※1)」では、日本国内で営業する民間臍帯血バンクは6社確認できました。

そのうち調整、保存、引き渡しを行っており、名前を公表した事業者は3社です。また、調査と同時に提示された「臍帯血プライベートバンク業務内容等に係る届出及び報告に係る実施要領」に基づいて、事業の届け出を行ったのは株式会社アイル、株式会社ステムセル研究所の2社でした(※2)。

民間臍帯血バンクの各事業者は、信頼性を高めるための情報提供や適切な契約の履行に努めています。民間プライベートバンクを利用する際には、費用や保存方法のほか、情報提供、医療ネットワーク、実績などを確認・比較したうえで、慎重に選択するようにしましょう。口コミや評判を確認するのはもちろんのこと、自分自身でホームページなどをしっかり読み、理解した上で検討を進めましょう。

臍帯血バンクでの保存費用・期間・方法

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保存費用

保存の際にかかる費用は、初期登録費用、検査・分離費用、保管費用があります。初期登録費用はおよそ20,000円が相場です。検査・分離費用は初年度にかかる費用で140,000~170,000円となります。保管は1年ごとの更新が一般的で、1年間で5,000~10,000円の費用がかかります。

10年間、20年間の長期保管契約を用意している事業者もあります。長期契約の場合、10年間で50,000~80,000円、20年間で100,000円ほどの料金設定があります。出産前に契約し、細胞数などの問題で保存にいたらなかった場合は、保存料金はかからないのが一般的です。

多胎妊娠の場合や以前に保管を依頼したことがある場合など、割引条件を設定していることもあります。詳しい条件については、契約前にしっかりと確認するようにしましょう。

保存期間

保存期間は1年ごとの更新で、事業者によっては10年、20年の長期保存契約も実施しています。ただし、保存方法や解凍技術が長期保存に耐えうるかどうかは、実証に乏しいのも事実です。民間臍帯血バンクを利用する際は、長期保存後の治療効果を検討したうえで契約期間を決定したほうが良さそうです。

また、契約終了後の臍帯血の取り扱いについても、取り決めが必要です。契約終了後は廃棄するか、契約延長の意向があるかを確認する体制があることが望ましいですね。別の用途に流用されることがないようチェックしておきましょう。

保存方法

契約した事業者から、臍帯血採取キットが送られてきます。手元に届いたキットを出産する病院の医師に渡し、臍帯血の採取を依頼します。採取した臍帯血を保管施設に送付すると、保存のための調整が行われます。

臍帯血の調整は、クリーンルームで行われます。無菌の状態で臍帯血から幹細胞を分離します。臍帯血は細胞数、無菌検査などが行われ、保存基準を満たしているかチェックされます。同時に母親の採血を行い、感染症検査も実施します。

検査により保存基準を満たした臍帯血は、細胞へのダメージをおさえながら凍結され、マイナス190~196℃の超低温で長期保存されます。保存方法は各事業者で基準を定め、厳しく管理されています。どのような状態で検査・保存されるのかは、カタログや施設見学で確認できると安心ですね。

臍帯血バンクでの保存を選択肢のひとつに

日本で初めて臍帯血の移植が行われたのは1994年のことです。その後、1999年に日本さい帯血バンクネットワークが発足し、公的臍帯血バンク事業が開始されました。非血縁者間の臍帯血移植が500例を突破したのは2001年のことです。

臍帯血移植が治療法として確立されたのはここ20年ほどのことで、再生医療や細胞治療に関して言えば、まだまだその有効性は研究途上の分野と言えます。

将来的には、現在「難治性」といわれる病気の治療への活用が期待されているため、民間バンクでの保存には一定のメリットがあると考えられています。一方で、公的バンクへの提供が増えれば、臍帯血を利用した治療や研究はさらに発展していくことでしょう。

公的バンクに預けるか、私的バンクに預けるかは自由に選択できますが、今後10年以内に赤ちゃんが造血幹細胞を使った治療を必要とする確率や、医療技術全体の進歩などを踏まえて、臍帯血の保存を検討してみてはいかがでしょうか。

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