赤ちゃんの視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚の不思議な発達!「お腹の中でもわかるよ!」

赤ちゃんは、お腹の中にいる時から視覚や聴覚、嗅覚、味覚、触覚といった五感がしっかりと形成されています。だからこそ、生まれ出た瞬間から、外の世界の音や光や匂いを感じ、ママのぬくもりを探すのですね。暗く狭いと思われる子宮の中でどんなことを感じながら過ごしているのか、胎児の五感の発達を紐解きながら解説していきます。

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この記事の監修

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産婦人科医
寺師 恵子

目次

  1. お腹の中の赤ちゃんの「五感」の発達
  2. 1.胎児の視覚の発達:光を感じる?
  3. 2.胎児の聴覚の発達:音は聞こえる?
  4. 3.胎児の味覚の発達:味わえる?
  5. 4.胎児の嗅覚の発達:においはわかる?
  6. 5.胎児の触覚の発達:痛みや羊水の温度を感じる?
  7. お腹の中にいる赤ちゃんの五感を意識した生活を
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お腹の中の赤ちゃんの「五感」の発達

お腹の中の赤ちゃんは最初は胎芽(たいが)という豆粒のような状態から、グングンと成長を遂げています。日に日に人間らしさを増してくるのですが、いったい、いつから視覚や聴覚といった感覚がそなわってくるのでしょうか。

赤ちゃんが刺激に対して反応する様子は、検査によって妊娠8週頃から確認できます。一番最初に発達するのは口の周りの感覚で、その後、28週頃までに聴覚や視覚、味覚、嗅覚が新生児に近い状態まで発達すると考えられています。

22週頃の早産で出生した子の中には、機械による補助を受けながらも、五感がはたらいていることを示す反応が得られることもあるそうです。お腹の中は真っ暗闇の無音というイメージがありますが、赤ちゃんはママのお腹の中にいるあいだ、羊水に包まれながらさまざまな音や光の加減、味を感じて五感を育んでいるのですね。

では、以下で、その「五感」の発達についてそれぞれ詳しくお話してきましょう。

1.胎児の視覚の発達:光を感じる?

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視覚をつかさどる眼の構造

視覚をつかさどる器官と言えば「目」ですが、日常的な生活において目と意識している「白目」と「黒目」は、実は、視覚器のなかのほんの一部でしかありません。目の構造はかなり複雑で、眼球と眼球の周囲にあるまぶたや筋肉などさまざまな組織で構成されているのです。

たとえば眼球の中には水晶体があり、周りの筋肉が収縮することでピントを調整します。眼球の内側を覆う網膜は視神経とつながって、目から得た情報を脳に伝える役割を果たします。

これらの組織は、妊娠超初期から段階を経て徐々に形成されます。目のくぼみができ、水晶体や網膜が生まれ、血管や神経がつながり、瞼ができて少しずつ発達してくるのです。そして生後も発達を続け、視神経は生後10週、見え方を大きく左右する黄斑部(おうはんぶ)は生後半年たってやっと完成します。視力が1.0になるには、3歳頃まで時間を要するのです。

視覚器は3~8週に急速に発達

眼は身体の中の数ある器官の中で、早期から作られはじめます。その時期は妊娠週数の3週あたりで、受精卵が着床し妊娠が成立するころには、「眼溝(がんこう)」と呼ばれる溝が出現します。4週になるとこの溝に目の元となる「眼胞(がんぽう)」が作られ、6~8週頃までに水晶体や網膜、角膜の元になる組織へと分化が進みます。

6週頃には眼球に向かい血管や神経が伸びはじめ、5~10週頃にかけては皮膚のひだがまぶたを形成していきます。8週頃には、私たちが認識している「眼」の形がしっかりとできあがってくるのです。

3~8週の時期に薬やアルコールを摂取したり、子宮内感染を起こしたりすると先天性異常につながるリスクが高まります。妊娠に気づいたら感染症にかからないよう注意し、飲酒や薬の服用は控えるようにしてくださいね。

光に反応するのは妊娠28週前後から

胎児の目は、10週頃に上と下のまぶたがくっついて閉じられるようになります。その後3ヶ月が過ぎ、妊娠26週頃までまぶたは閉じられたままです。そして28週頃までにまぶたが開き、まばたきする仕草をみせてくれます。この時期に、光を当てると目を閉じる「瞬目反射」があらわれます。

30週になると、光の量に応じて瞳孔の大きさが変わる「対光反射」がみられます。神経節細胞が発達し、暗い、明るいという情報を処理する機能がはたらきはじめるからです。赤ちゃんはママのお腹越しに外の世界の明るさを感じ、光に反応した動きをみせてくれますよ。

一方で形を認識する細胞は生後36時間経ってから、形や色を識別する細胞は生後2ヶ月を過ぎてからはたらきはじめます。生まれたときにぼんやりとしか物をみることができないのは、視覚が発達途上だったからなのですね。

2.胎児の聴覚の発達:音は聞こえる?

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聴覚をつかさどる耳の仕組み

音を聞き分ける器官となる耳は、身体の外に突出している「外耳(がいじ)」と鼓膜のある「中耳(ちゅうじ)」、鼓膜のさらに奥にある「内耳(ないじ)」に区切られています。私たちが普段「耳」と呼ぶ、顔の横についた貝殻のような器官は「耳介(じかい)」と言います。外の世界にあふれる音を集める器官です。

耳介から体内に延びる耳の穴は「外耳道(がいじどう)」と言い、音を増幅させて鼓膜に振動を伝えます。外耳道の奥には半透明の膜である「鼓膜」があり、「ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨」という3つの小さな骨につながっています。音を脳に伝える、聴覚期の中でも重要な部分です。

3つの骨の名は「耳小骨(じしょうこつ)」と呼び、鼓膜と連動して震えることで、内耳にある「蝸牛(かぎゅう)」に音を伝える役割を果たしています。内耳は頭蓋骨の中に入り込み、聴神経とつながって脳に音の信号を伝えています。身体のバランスをとるのに重要な役割を果たす「三半規管」があるのも内耳です。

耳の形ができあがるのは妊娠7週頃

耳は外耳と内耳が同時進行で形成されていきます。まず妊娠3週目頃、耳となる位置に「耳板(じばん)」ができると、その場所が陥入して後に内耳へと発展する「耳胞(じほう)」が形成されます。

妊娠4~5週には耳胞から内耳神経節が伸びて蝸牛が形成されはじめ、妊娠6週には半規管と蝸牛、内リンパ嚢に明確に別れます。そして妊娠7~16週にかけては、蝸牛の渦巻きを形作っていくのです。

外耳となる部分では妊娠5週頃に、後に耳介となる「耳介小丘(じかいしょうきゅう)」が盛り上がってきます。妊娠6~7週には小さな盛り上がりが融合し、耳の形が明瞭になります。

音が聞こえるのは28週頃から

音を伝える耳小骨が成長をはじめるのは、蝸牛が完成する妊娠16週頃から20週頃にかけてです。内耳が完成した後、音を認識できるほどに脳が発達すると、胎児の聴覚も目覚めます。妊娠週数で言うと、28週から31週頃になります。

この時期には、外からの音の刺激に反応するように赤ちゃんが動きます。胎教を始めるのに向いている時期が妊娠8ヶ月頃からと言われるのは、聴力の発達に関係しているのですね。赤ちゃんの聴力を伸ばすためにも、ママの声やママが気持ち良いと感じる音楽をたくさん聞かせてあげたいですね。

聴力の発達を妨げる要因として飛行場や建設現場から聞こえてくる騒音や、職場の環境などを心配する声がありますが、騒音と発育の因果関係はよくわかっていないのが現状です。ただし、騒音だと感じる環境に身を置くことで精神的なストレスがたまり、つわりが悪化する事例はあるようです。妊娠中はストレスをできるだけ減らし、穏やかに過ごすよう心がけましょう。

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3.胎児の味覚の発達:味わえる?

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味覚を伝える感覚器は3種類

口は唇や歯、歯茎や舌といったいくつものパーツで成り立っています。その中で味覚をつかさどるのは舌や咽頭、口蓋にある「味蕾(みらい)」と呼ばれる組織です。味蕾は舌の表面に約6,000個、咽頭などに約2,000個存在するといわれています。この味蕾で甘味、塩味、苦味、酸味を感知しています。

舌の表面には、ザラザラとした大小に分かれた突起がありますね。舌の付け根の方に並ぶ大きめの「有郭乳頭(ゆうかくにゅうとう)」や舌の縁にあるヒダ状の「葉状乳頭(ようじょうにゅうとう)」、舌表面に赤い粒のようにみえる「茸状乳頭(じじょうにゅうとう)」と言います。

味蕾はこの突起の中に存在していますが、舌を全体的に覆う一番小さな突起「糸状乳頭(しじょうにゅうとう)」に味蕾はなく、味を感じません。また、年を重ねると味蕾の感度は鈍り、味覚が低下してきます。一説には、茸状乳頭は大人になると退化してくるとも言われています。

味覚を感知するのは妊娠14週頃から

味蕾の内部には味覚細胞があり、味覚細胞で味を感知すると顔面神経、咽頭神経、迷走神経を介して脳に情報が伝わります。味覚細胞の寿命は10日間と短く、いつも新しい細胞が作られているのです。

舌乳頭ができはじめるのは妊娠7週頃からで、妊娠14~15週頃には味蕾が形成され、味覚を感知する能力が発達します。羊水はママが口にした食べ物の影響を受け、甘くなったりしょっぱくなったりすることがわかっており、胎児は味が変化する羊水を飲みながら、味覚を形成していると考えられるのです。赤ちゃんの好き嫌いはこの頃から始まっているのだそうですよ。

妊娠8ヶ月頃になると、胎児は味蕾が成熟し、味を識別する能力を身に着けているという研究結果もいくつか報告されています。食事の際は栄養バランスだけではなく、食材の味にも気を配り、いろいろな味覚を赤ちゃんに伝えてあげられると良いですね。

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4.胎児の嗅覚の発達:においはわかる?

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嗅覚をつかさどる5000万個の嗅細胞

鼻の初期は口と咽頭とつながって発生しますが、妊娠4週頃に口と鼻を隔てる膜が形成されます。妊娠4週の終わりから5週にかけ鼻の隆起が始まり、鼻腔が形作られていきます。12週頃になると鼻孔があき、胎児の顔面は生まれるときの外見に近づきます。

鼻の形が作られた後、鼻腔の奥では嗅細胞(きゅうさいぼう)が発達してきます。嗅細胞はおよそ5000万個存在し、1000種類の「においセンサー」を構成していると考えられています。この膨大な量のセンサーで、40万種類以上あるといわれるにおいをかぎ分けるのです。

嗅覚が発達するのは妊娠7ヶ月頃から

嗅細胞が成熟し、においをかぎ分ける機能を持ち始めるのは妊娠7ヶ月頃から10ヶ月頃にかけてです。生まれてくるときには嗅覚が成熟しているため、新生児は生まれてすぐに羊水や母乳のにおいをかぎ分け、母親の存在を識別するのだと考えられています。

赤ちゃんの嗅覚の発達を考えるときに、マニキュアやパーマ液のにおいの影響を心配する声が聞かれます。ママが認識したにおいが赤ちゃんに伝わり、嗅覚の発達に影響するというような研究データは見受けられませんが、強いにおいで気分が悪くなることもあるため、換気はしっかりと行うようにしましょう。

また、灯油やガソリンなど、においが強い可燃性の物質を扱う際は、取り扱い方法に注意したいところです。灯油の不完全燃焼による一酸化炭素中毒や火災には十分に気を付けたいですね。

5.胎児の触覚の発達:痛みや羊水の温度を感じる?

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皮膚や粘膜で感じる触覚・痛覚・温度覚

触覚は身体全体が感じる「体性感覚」に含まれる知覚の一種です。体性感覚には皮膚や粘膜が刺激を受けることで起こる「表在感覚」と、筋肉や関節、靭帯など特有の場所で認識する「深部感覚」があります。このうち触覚が含まれるのは表在感覚です。

表在感覚を細かく分類すると、押したり触ったりしたときに得られる「触覚」、痛みやかゆみをあらわす「痛覚」、冷たい、温かいといった温度を感じる「温度覚」、振動をとらえる「振動感覚」に分類されます。

触覚は五感の中で一番早く発達する感覚

触覚は五感の中で一番早い感覚としてあらわれ、妊娠7~8週頃には口元の刺激に対して顔を向ける反射を示すことがわかっています。妊娠9週頃には手足の感覚ができあがっているため、足裏に物が当たった感覚に対して足の指を丸める動作が見られます。

妊娠10週頃になると指しゃぶりをはじめます。指しゃぶりは触るという感覚と、触られるという感覚が同時に感じられる行為です。妊娠初期の段階では触れるものから離れる様子を見せていた赤ちゃんが、妊娠13週頃には自分から接触をはかる仕草を見せるようになり、顔を触ったり子宮の壁をなでたりするようになりますよ。

痛みや温度を感じているかは解明途上

実のところ、胎児が痛みを認識できるかどうかを示す明確なデータは得られていません。しかし、22週~24週の早産児が痛みを感じているような様子を示したことから、このころには痛覚が存在していると考えられます。

また正期産で生まれた赤ちゃんは誕生時に痛覚、温度覚、圧覚が備わっているという意見が大半です。一方で、新生児の触覚は感度が鈍いという指摘があります。しかし、触覚の感度が鈍いために反応が弱いのか、触覚に対する意味付けを行うための経験値が低く反応ができないのかはまだ解明途上の段階です。

生まれたばかりの赤ちゃんは痛みに強いという話を見聞きすることもありますが、この考えは間違った認識の可能性があります。赤ちゃんの触覚や痛覚は繊細なものだという意識をもって、どんなときでも赤ちゃんが心地よく感じる手ざわりやぬくもりを届けてあげたいですね。

お腹の中にいる赤ちゃんの五感を意識した生活を

お腹の中の閉ざされた世界の中でも、赤ちゃんの五感は次々と発達を遂げ、外の世界に出てくる準備を進めていることがわかります。お腹の中は暗く静かな闇ではなく、音や光、味に囲まれたにぎやかな世界なのかもしれません。

ママが食べた食べ物の味や、妊娠中期から後期にかけて耳にする音が赤ちゃんに影響するのだと考えると、赤ちゃんがお腹の中にいるときから、五感の発達を意識した生活を心がけたいものです。

あれもこれもと考えすぎるのはストレスとなりかえって良くありませんが、ときには妊娠中にも使えるアロマをたいてリラックスしながら胎教音楽を聴くといった時間を作ってみてはいかがでしょうか。

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