臨月の運転は危険?車・自転車で移動するときの注意点は?
臨月の運転はおすすめできませんが、やむを得ず運転するケースもあるかもしれません。臨月に運転する場合、どのようなことに注意すれば良いのでしょうか。どのような危険が考えられるのでしょうか。身体への負担や影響について、気になる点を解説します。運転する場合の対策や、いざというときの対処法についても詳しくみていきましょう。
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臨月とは?車・自転車を運転しても大丈夫?
赤ちゃんの出産予定日は、最後の生理初日から数えて280日目に設定されます。そして、出産予定とされる月のことを臨月と呼びます。週数で言うと臨月は、36週0日から39週6日目までを指します。
臨月とはいえ、36週は正期産の期間ではありません。正期産は37週0日から41週6日目までを指すため、36週で出産を迎えると早産となります。臨月になっても赤ちゃんは成長を続けているため、少しでも長くママのお腹で過ごせるように、環境を整えてあげたいですね。
臨月での車や自転車の運転は法律で禁止されているわけではありませんが、ママや赤ちゃんにとってのリスクがついてまわります。やむを得ない事情を除いて、できる限り運転は控えるようにしましょう。
臨月に運転を控えるべき理由は?
妊娠中は注意力が低下する
妊娠後期にかけてはホルモンの分泌量が変化してくるため、ホルモンの影響を受けて注意力が低下するという説があります。一方で、最近の研究では女性のホルモンバランスの変化は、注意力や集中力に影響しないという報告もあります。
ホルモンによる影響は解明がなされている最中ですが、実際、妊娠後期から臨月にかけて集中力や注意力が低下したと訴える妊婦さんの声は多く見られます。これは頻尿やお腹の重みで夜の眠りが十分に確保できていなかったり、胎動やお腹の張りといった身体の変化が起こったりすることが原因と考えられます。
ふとした瞬間に注意力が低下する可能性は十分に考えられます。一瞬の隙が重大な結果を生んでしまう運転は、できるだけ控えておきたいものです。
妊娠中は疲れやすい
妊娠中は普段と比べて血液の循環量や心拍、呼吸数が増加しています。体重も増加しており、少し動いただけでも動悸や息切れを感じることもあります。身体への負担が大きいことから、妊娠後期は体力が低下し疲れやすい状態です。
さらに、不眠や出産に対する不安、食事や行動への制限などのストレスがあると、脳が疲労を蓄積している可能性があります。運転中はさまざまなことに注意をはらわなければならず、常に情報処理が求められるものです。脳が疲れていると思わぬ判断ミスを招くこともあるため、注意が必要です。
運転は身体に負担がかかる
車や自転車による振動が、赤ちゃんに直接の影響を与える心配は基本的にはありません。しかし、お腹が大きくふくらんだママの身体には、小さな振動も堪えるものです。普段気にならない程度の道路の凸凹も、臨月のお腹には大きな衝撃と感じることも少なくないのです。
さらに、運転中は猫背や反り返り姿勢となりやすく、腰やお腹に負担がかかります。一部の研究では、長時間の運転が目のかすみやぼやけにつながるというテータが示されています。
往路で問題がなくても、復路の運転はだるさや疲労を感じさせるものです。天候が悪くなったり、空が暗くなったりすることも考えられます。たとえ短時間の移動でも、身体への負担を考えると運転は控えたほうが良さそうです。
陣痛や破水がいつ起こるかわからない
陣痛や破水は、前兆もなく突然やってくることがあります。我慢できる痛みや、じわっとしみる程度の破水であれば、路肩に停車する余裕があるかもしれません。しかし、バケツを引っくり返したような破水が起これば、ひとりではなかなか対処がしづらいものです。
突然の出産に備え、車や自転車は運転せず、家族に運転を頼むかタクシーやバスなどの移動手段を確保しておきたいですね。
臨月に運転してはいけないケースは?
眠気・疲れがある
妊娠している、していないにかかわらず、眠気や疲れがあるときの運転は危険をともないます。自分やお腹の中の赤ちゃん、周囲の人を巻き込む事故につながっては大変ですよね。出産を控えてこうしたリスクを回避するためにも、眠気や疲れがあるときは無理をせずに休息を取るようにしたいですね。
お腹の張りや痛みがある
お腹の張りや痛みがあるときは、横になって休むことが大切です。場合によっては、そのお腹の張りや痛みが、出産につながる合図かもしれません。安静にして、しばらく様子をみましょう。
臨月にやむをえず運転する場合の注意点は?
長時間の運転はしない
これまでの運転習慣にもよりますが、長距離を運転するプロのドライバーでも、運転開始から20~30分を超えると、身体のだるさや眠気を感じることが増えてくるという調査結果があります。
往路よりも復路のほうが、疲労度が増すというデータもあることから、運転が長時間となるような移動は避けたほうが良さそうです。
高速道路の運転はしない
高速走行中は、ちょっとしたハンドル操作でも車が大きく移動します。臨月では思うように身体が動かせず、大きくなったお腹がハンドル操作の邪魔をすることも考えられます。
高速道路はサービスエリアやパーキングの間隔が長いため、自分のタイミングで車を停めることもなかなかできません。トイレの回数が増える臨月では、別の手段も含め移動方法を検討してみましょう。
こまめに休憩をとる
やむを得ず運転する場合は、こまめに休息をとりましょう。軽くストレッチをしたり足を伸ばしたりすることが、眠気や疲労の回復に役立ちます。休息時間を考慮し、余裕を持ったスケジュールで行動しましょう。
ただし、運転開始時は一時的に緊張が高まるものです。休憩をとることは大切ですが、何回も休まなければたどり着けない場所に移動する場合は、ほかの手段をとるか移動の予定自体を見直してみても良いかもしれません。
お腹の張り・痛みを感じたら停車
運転中にお腹の張りや痛みを感じたら、安全な場所に停車するようにしましょう。慌ててその場に停まってしまうと、事故の原因となります。お腹が落ち着くまで、少しのあいだ休めるような広めのスペースに停めると良いでしょう。
地域によっては、停車及び駐車を禁止する道路でも、妊娠を理由として駐車が認められる「高齢運転者等専用駐車区間制度」が設けられていることがあります。この制度は、妊娠中又は出産後8週間以内であれば、高齢運転者等専用駐車区間に設置された道路標識があるスペースなら、駐車が可能となる制度です。
制度の利用には、あらかじめ地域の警察署への申請が必要となります。届け出が認められれば高齢運転者等標章が交付されるので、標章を車の外から見える場所に掲げて使用することが可能です。詳しくは地域の警察署のホームページに情報が掲載されているので、確認しておくと良いでしょう。
シートベルトはお腹を避けてつける
日本産科婦人科学会の診療ガイドラインによると、妊娠中においてもシートベルトを着用するよう、指導することとされています。ガイドラインへの記載を受け、警察庁が発行した「交通の方法に関する教則」も改訂され、妊婦は原則として正しく3点式シートベルトを着用すべきであると明記されました。
これはダミーを用いた衝突実験により、シートベルトを着用していた方が、交通事故発生時に子宮内圧の上昇を抑えられたからです。道路交通法では「妊娠中にシートベルトを装着することが療養上または健康保持上適当でない」ときに限ってシートベルトの着用義務を免除していますが、安全を考えるとシートベルトは着用したほうが良いですね。
正しい着用方法はベルトが子宮を横断しないように着用することです。肩ベルトは肩から両胸のあいだを通し、続いてお腹のふくらみをよけながら胸とお腹のふくらみのあいだにかかるようにして脇に通します。腰ベルトはできるだけ恥骨の低い場所を通るようにしましょう。お腹への負担を軽減する補助具も販売されています。
できるだけ同乗者をつける
もしものときに対応できるよう、可能であれば同乗者をつけましょう。ご家族、お友だちにお願いすることができれば安心です。同乗者が確保できない場合はよく知っている道を通ったり、お店や知人宅があるルートを選んだりして、いざというときに対応できるようにしておくことが大切です。
陣痛や破水が起こったら病院に連絡
運転中に陣痛や破水が起こったら、まずは慌てすぎないようにしましょう。安全な場所に車を停めて、病院に連絡を入れるようにします。破水がなく陣痛だけの場合は、すぐに受診が必要なケースと、自宅で少し様子を見たほうが良いケースに分かれます。どのように行動したらいいか判断を仰ぎ、指示に従いましょう。
臨月の運転時に身に着けておくべきものリスト
母子手帳
臨月に入ってから外出するときには、母子手帳を必ず持ち歩くようにしましょう。健康保険証、診察券とセットになっていると安心です。
健康保険証
いざというときにすぐに取り出せる場所に、母子手帳と健康保険証をセットにしておくと便利です。自分以外の人でも探しやすいようにしておくことがポイントです。
診察券
お財布やカード入れの中でほかのカードと紛れていると、必要なときにみつけづらいものです。母子手帳や健康保険証とセットにしておく、携帯電話のケースに入れておくなど、電話番号がすぐに分かるようにしておくと良いでしょう。
携帯電話
少しの外出では携帯電話を置いて出かけることもあるかもしれませんが、出先で何があっても良いように、携帯電話も持ち歩くようにしましょう。
夫や病院、家族の連絡先がすぐに呼び出せるようにしておくとあわてずに済みます。上の子が小学校や保育園・幼稚園に通っているときは、もしもの場合に備え、電話番号がきちんと登録されているか確認しておくことも必要です。
生理用ナプキン
突然の破水には、生理用ナプキンが役立ちます。多い日用や夜用の大きめのナプキンを用意しておくといざというときにあわてずに済みます。大きめのナプキンは産褥期の悪露にも使えるため、無駄にはなりませんよ。
運転中に破水が起こったら、運転を中止して下着に生理用ナプキンをあててから、病院に指示を仰ぐようにしましょう。
バスタオル
バケツを引っくり返したような破水が、突然起こることもあります。そのようなときはナプキンでは対応しきれません。腰の周りにバスタオルを巻くか、座席シートの上に敷いて漏れを防ぎます。
防水シーツやペット用のトイレシートがあれば、それを用意しておく方法もあります。防水シーツやトイレシートは、赤ちゃんのおむつ替えシートとしても使えるため、1枚用意しておくと便利ですよ。
臨月は車・自転車を運転しないのがベスト
臨月に入ってからの車や自転車の運転は、リスクがつきものです。運転しなければいけない状況をできるだけ避けられるよう、あらかじめ準備をすすめておきたいものですね。
地域によっては、タクシー会社で妊婦の移動をサポートするサービスを提供しています。子育てタクシーや陣痛タクシー、マタニティタクシーの名称で運用されているので、地域のタクシー会社を調べておくのがおすすめです。事前登録制ですが、陣痛や破水にも対応できるよう講習しているため、いざというときの強い味方になりますよ。