【産婦人科医監修】妊婦の座り方は正座・あぐらが良い?楽な座り方や腰痛対策、注意点
妊婦は腰痛や恥骨痛など、腰の周囲に痛みを感じる機会が多いといわれています。このため、デスクワークの最中や車の運転をしているとき、家でくつろいでいるときに、「妊婦の正しい座り方」が気になる人は少なくないかもしれません。妊婦の座り方の注意点や、あぐらや正座の可否、腰痛対策グッズを紹介します。
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目次
妊婦が悩む「腰を中心とした身体の痛み」と座り方
妊娠による体型の変化に伴い、腰やふくらはぎ、肩といったさまざまな身体の部位に痛みを感じる妊婦は多いといわれています。なかでも腰痛をはじめとした腰周辺の痛みに悩む妊婦は少なくありません。
仕事で事務を担当しており座っている時間が長い人や、車での移動が多い人であれば、「妊婦が楽に過ごせる座り方はないのか」を一度は考えるかもしれませんね。妊婦に適した座り方は、痛みを感じる部位や今までのけがの有無により異なります。妊娠前から膝が痛い人は正座が難しいかもしれませんし、身体が硬いためにあぐらをかけない人もいるでしょう。このため自分に合った楽な座り方を探す必要があります。
ただしあまりにもひどい痛みが続くようであれば、無理せず医師に相談することが大切です。自己判断での対処は、かえって症状を悪化させてしまう場合があることに注意してくださいね。
腰・背中・お尻、妊婦が痛みを感じやすい場所
妊娠中は、腰痛や肩こりなど身体の不調を感じる機会が多いかもしれません。なかでも腰の周りに痛みを感じる妊婦は多いといわれています。
腰の周りでは、股関節・鼠径部(そけいぶ)・背中・お尻・恥骨周辺に痛みを感じる人が多いでしょう。ただし腰・骨盤の周辺は複雑な構造になっているため、具体的にどこが痛いのかわからない人も多いようです。さまざまな痛みが同時に起こる場合は、坐骨神経痛の可能性も考えられます。ひどい痛みになるまで放置せず座り方を工夫し、必要であれば病院に行くなど、早い段階からの対策が必要です。
痛みの程度や痛みを感じるタイミングには、個人差があります。長いあいだ鈍い痛みを感じる人もいれば、チクチクとした痛みが続く人もいます。常に痛みを感じる妊婦もいれば、椅子に座るときや歩いているときなど、特定の状況下でのみ痛みを感じる人もいるようです。
腰痛・股関節痛・恥骨痛、妊娠中の原因は?
腰痛や恥骨痛に悩む妊婦は少なくありません。妊娠中も使える骨盤ベルトや薬剤不使用の温熱シートといった、腰痛対策グッズを愛用している方もいるかもしれませんね。妊婦の腰周辺の痛みは、妊娠による身体の変化と、日々の生活における腰への負担が原因となって発生します。
妊娠による体型の変化・急激な体重の増加
大きくなったお腹による圧迫で血行が悪くなり、腰周辺が痛くなることがあります。また急激な体重増加、大きくなったお腹による身体の重心の変化によっても腰に負担がかかり、腰痛の原因になることもあるようです。
妊娠による分泌ホルモンの変化
目に見えないところでも、妊婦の身体にはさまざまな変化が起こっています。出産に向けたホルモン分泌の変化により、関節や骨盤がゆるくなることも、妊婦の腰痛の原因として指摘されています。
日常的に腰に負担がかかっている
姿勢が悪い人や仕事で腰に負担がかかることが多い人は、日常的に腰にかかる負担が大きい状態にあります。このため妊娠の有無に関わらず、腰痛になることがあります。
妊婦にとって腰周辺の痛みが気になり始める時期は?
妊娠後期から臨月にかけては、足の付け根や腰が痛くなる人が多くなるといわれています。しかし実際は、妊娠初期・妊娠中期に腰周辺の痛みを感じる人もいるでしょう。
子宮が大きくなることが原因で腰痛が引き起こされている場合であれば、妊娠中期から後期にかけて痛みを感じ始め、痛みは臨月にピークを迎えるでしょう。一方で妊娠前から姿勢が悪い人は、時期を問わず痛みを感じる可能性があります。
妊娠中期から妊娠後期に痛みを感じ始めるケースが多いため、妊娠初期に痛みがない人であっても、早めに腰痛対策を検討すると良いかもしれませんね。もともと姿勢が悪い人は、妊娠前から姿勢の矯正を始めておくと妊娠中の腰の痛みを緩和できるかもしれません。腰痛対策としては、適度な運動や適切な体重管理、マッサージやストレッチ、気軽に利用できる腰痛対策グッズがおすすめですよ。
妊婦の座り方は「あぐら」「正座」がおすすめ?
猫背のような姿勢の悪い状態で座ると、リラックスできるという人もいるかもしれません。しかし姿勢の悪い状態が続くと、腰や背中に不自然な負担がかかっていることがあります。妊婦であれば、猫背のような姿勢になるとお腹が圧迫される危険性もあるでしょう。
妊婦の座り方では、「腰に負担をかけない」ことと「お腹を圧迫しない」ことが大切です。畳や床に直接座る場合であれば、前かがみにならないように正座をするのが良いでしょう。足の付け根が圧迫されて痛い場合には、あぐらもおすすめです。
ただし痛みの部位や程度によっても異なるため、負担にならず自分が楽になれる座り方を探してみましょう。そして可能な限り、良い姿勢を保つことができる座り方も試してみてくださいね。
床・椅子・車・ソファ、場所別の座り方
床や椅子、ソファなど場所によっても座り方は変わりますよね。それぞれの場所ごとにおすすめのお腹を圧迫しない座り方を紹介します。ただし、長時間座り続けると血行が悪くなることから、どこに座る場合であってもときどき動くようにしましょう。
床・畳の座り方
座敷やフローリングに座る際には、お腹を圧迫しないようにするため、前かがみにならないように注意しましょう。背中が伸び、骨盤が立つ正座がおすすめです。あぐらや正座が難しい場合には、座椅子を利用する方法も良いでしょう。座椅子に座るときは、背筋を伸ばすことを意識してくださいね。
椅子の座り方
椅子には深く腰かけます。背もたれがある椅子であれば、お尻が背もたれに当たるぐらい深く座り、背筋はまっすぐに伸ばしましょう。
ソファの座り方
ソファも椅子と同様に、深く腰かけ背筋をまっすぐに伸ばします。ただしソファに座ると無意識のうちに背中が曲がり、前かがみになってしまう人もいるため、定期的に動くとともに座り方を確認してみると良いかもしれませんね。
車の座席の座り方
車の座席の座り方も椅子と同様で、深く腰かけて背筋を伸ばします。ただし車の場合には、ハンドルとお腹の距離とシートベルトの着用方法に注意が必要です。ハンドルとお腹がぶつからない程度の距離に座席を調整し、安全のために妊娠中も正しくシートベルトを着用しましょう。
デスクワークの妊婦は座り方にはどんな注意が必要?
仕事で長時間座ることがある人は少なくありません。妊婦であれば、無理せず仕事を続けられるよう、妊娠中のみ事務の仕事を担当することになる人もいるでしょう。
座り方の注意点
デスクワークの場合には、机と椅子の高さを自分に合うようにしっかり調節し、椅子の肘やデスクで自分の肘を支えましょう。床に足がつかない場合は、足台を設けて足が安定するようにしたいですね。ディスプレイと顔の距離は、近くなりすぎないように注意しましょう。
姿勢が悪い人は、仕事中に前かがみになってしまうケースが多いですが、妊娠中の前かがみはお腹の圧迫につながることがあります。椅子に深く腰かけ、できるだけ背筋を伸ばしてお腹を圧迫しない座り方を意識しましょう。背もたれがある椅子であれば、お尻が背もたれに当たるように座るのがポイントです。
座り方以外の注意点
妊婦に限らず、長時間座り続けていると腰に負担がかかります。定期的に動くようにすると良いでしょう。また妊娠中はむくみが気になる人も多いかもしれません。気になるようであれば、医師など専門家に相談の上、着圧ソックスの着用やマッサージを試してみてくださいね。
妊婦も使える対策グッズの活用
腰痛や恥骨痛が気になる人は、気軽に試すことができて妊婦も使用できる対策グッズを試してみるのも良いでしょう。湿布薬は「薬」なので、医師に相談してから使用する必要があります。
一方で温熱シートや磁気アイテム、妊婦用骨盤ベルトは妊娠中も使用することができるものが多く、人気が高いようです。ただし原因によっては痛みが悪化するケースもあるため、安全を考慮して医師に相談してから使用するほうが安心でしょう。
蒸気の温熱で痛いところを直接温めるシートです。薄型なのでアウターにも響きにくく、仕事や家事をしながら身体をケアできます。肌に直接貼るのに抵抗がある人は、下着に貼るタイプがおすすめです。
気になるところをピンポイントでケアできるエレキバンは、腰だけでなく足や肩などに使うことができます。妊娠初期や出産直後に使用するときは医師に相談してから使用するようにしましょう。
妊娠中から産後まで使える床ちゃんベルト2は、腰やお尻の痛みの予防・改善を助けるケア用品です。筋力の不足を補ってくれるので、骨盤周りの安定を感じられるでしょう。
妊婦体操での腰痛対策
「逆子体操」や「安産体操」、「妊婦体操」といった言葉を聞いたことがある人は多いかもしれません。妊婦に良いとされる体操やストレッチの中には、腰痛解消に期待できるものもあるようです。
本格的なものから簡単にできるものまで、種類は豊富にあります。自分に合った手軽にできる体操やストレッチをひとつだけでも習得しておくと良いかもしれませんね。
発売日:2013年11月
著者/編集:上野順子, 渡部信子
出版社:家の光協会
基本の骨盤ケアから妊娠初期・中期・後期、産後まで、妊娠期間ごとに合わせたケアが分かりやすく解説されています。解説のイラストもおしゃれで、前向きに取り組みたくなる一冊です。
発売日:2014年01月
著者/編集:吉川元子, 渡部信子
出版社:日貿出版社
現役助産師である著者が操体法とヨガをミックスして完成させた妊婦さんのための新しいヨガ体操がまとめられています。バースプランや妊娠期から産後までのタイムスケジュールなども紹介されており、マタニティ本としても参考になります。
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座り方だけでなく、普段の姿勢も見直そう
妊娠中の腰周辺の痛みは、妊娠だけでなく普段の姿勢の悪さから引き起こされている可能性も考えられます。産後には赤ちゃんの抱っこなど、腰に負担がかかることが増えるため、妊娠中から腰痛対策を検討しておくと良いかもしれません。腰のマッサージは夫やパートナーにお願いし、スキンシップのひとつとして活用するのも良いですね。自分に合った対策を見つけておきましょう。
※この記事は2024年3月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。