縦割り保育とは?異年齢保育のねらいと、メリット・デメリット

少子化で異なる年齢の子どもと交流することが減っているなかで、縦割り保育(異年齢保育)を取り入れる幼稚園や保育園が増えてきています。縦割り保育とは、異年齢の子どもを一緒に保育することです。ここでは、縦割り保育の意味やねらい、メリット・デメリット、子どもの遊び方について解説します。

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目次

  1. 縦割り保育(異年齢保育)とは?
  2. 縦割り保育のねらい
  3. 縦割り保育のメリット
  4. 縦割り保育のデメリット
  5. 縦割り保育での子どもたちの遊び方
  6. 縦割り保育を行う保育園に通う子どもの体験談
  7. 縦割り保育では人とのかかわり方を学べる
  8. あわせて読みたい

縦割り保育(異年齢保育)とは?

縦割り保育とは、0歳児クラス、1歳児クラス…と年齢でクラスを分けるのではなく、さまざまな年齢の子どもを一緒に保育することです。異年齢の子どもを一緒に保育することから、異年齢保育または混合保育とも呼ばれることもあります。

幼稚園や保育園では、子どもの年齢によって年長、年中、年少…とクラスを分けることが一般的です。しかし、現代では少子化が進み、異なる年齢の子どもと遊ぶ機会も減っていることから、縦割り保育で異年齢の子どもと触れあう機会を作る幼稚園や保育園が増えてきています。

縦割り保育を導入している幼稚園・保育園では、毎日縦割り保育を行う園もあれば、1週間のうちの何日かを縦割り保育にする園もあります。それぞれの年齢の園児を同じくらいの割合で集めグループやクラスを分けるケースや、0~2歳児と3~6歳児という大きなグループに分けるケース、園全体でクラスやグループを分けずに保育を行うケースなど、やり方もさまざまです。

また、普段は年齢によってクラス分けされている幼稚園や保育園でも、土曜日や預かり保育・延長保育の時間帯では縦割り保育を導入している場合もあるでしょう。

縦割り保育のねらい

以前は、家庭のなかでの兄弟姉妹の関わりや、近所の子ども同士で遊ぶ機会がたくさんありました。そのようななかで、年上の子どもが年下の子どもをいたわり、年下の子どもが年上の子どもに憧れ真似をするといった、人とのかかわり方が自然と身につく機会も多かったのではないでしょうか。

年齢の異なる子ども同士で遊ぶときには、みんなが楽しく遊ぶために、自然にルールや役割分担が生まれます。年下の子どもは年上の子どもの様子からルールや役割を学び、年上の子どもは年下の子どもをお世話しながら遊ぶという役割を果たします。

また、異年齢の子どもたちのかかわりが続くなかで、誰もが成長とともに、お世話される側からお世話する側になるといった体験をします。自分より年上の子どもの様子を見て学びながら、ゆっくりと人とのかかわり方を学ぶことができるのです。

少子化が進んだ現代では、このような異なる年齢の子ども同士で遊ぶ機会が減っています。縦割り保育を行い、年齢の異なる子ども同士が交流することで、人間関係の築き方や、集団社会でのルール・役割分担をゆっくりと身につけることができるでしょう。

縦割り保育のメリット

縦割り保育には、異年齢の子どもと一緒に過ごすことで、さまざまな刺激を受けられるというメリットがあります。年上・年下の子ども同士で遊ぶなかで、人とかかわることの楽しさを知ることができるでしょう。

年上の子どもにとってのメリット

異年齢の子どものなかで、年上の子どもは、自然に年下の子どもに自分のできることを教えたり、年下の子どもを危険なことから守ったりします。年下の子どもを指導したり、ときにはリーダー的な役割を果たしたりすることで、責任感が芽生え、社会性を身につけることができるでしょう。年下の子どものお世話をする姿を大人からほめられることで、自尊心や満足感を得て、自信につながることも期待できます。

また、年下の子どもを指導するために、年下の子どもにわかりやすく言葉で伝える必要があります。そのため、自分の気持ちや意見をしっかりと言葉で伝える力がつくことも多いでしょう。

年下の子どもにとってのメリット

年下の子どもは、年上の子どもの様子から刺激を受けることができます。年下の子どもにとって、年上の子どもは憧れの存在です。年上の子どもがしていることを間近で観察することで、いろいろなことに挑戦しようとする気持ちが生まれたり、いろいろなことに興味や関心を持つことができたりするでしょう。

また、年上の子どもの様子に日々接するなかで、自分が成長したときに、どのように年下の子どもに接すると良いかを学ぶことができます。成長につれて自然に年下の子どもをやさしくお世話することができるようになるでしょう。

生まれた時期による成長の差が出にくい

年齢で区切られた保育では、月齢の違いによる発達の差が出やすい傾向にあります。早生まれの子どもは、クラスのほかの子どもに比べてできないことが多く、コンプレックスを抱くこともあるかもしれません。逆に、4~6月生まれの子どもはクラスでの活動が物足りなく感じることもあるでしょう。

一方で縦割り保育では、発達段階の近い子どもと一緒に過ごすことができ、成長の差が出にくいでしょう。生活リズムが月齢で大きく違う乳児期には、早生まれの子どもは下の学年の子どもと一緒に保育されることも珍しくありません。幼児期にあっても、生まれた時期による有利・不利が生じることが少ないでしょう。

縦割り保育のデメリット

異なる子ども同士が一緒に保育される縦割り保育には大きなメリットがあるものの、保育者の負担は大きくなります。また、子どもによってはストレスを感じることもあるようです。

保育の安全性の確保への配慮が必要

縦割り保育では、年齢が同じ子どもを保育する場合に比べ、危険が伴うことがあります。たとえば外遊びをするときにも、年上の子どもと年下の子どもではできることが異なるため、それぞれの安全に気を配る必要があります。

また、年上の子どもが年下の子どもをお世話する際にも、注意が必要です。年上の子どもが赤ちゃんの抱っこをしようとするときには、転落や転倒の危険もあります。年上の子が年下の子をお世話する様子を保育者がしっかりと見守る必要があるでしょう。

年上の子どもも年下の子どもも楽しめる工夫が必要

年齢が異なる子どもを一緒に保育するということは、発達段階の違う子どもを一緒に保育するということです。年下の子どもにあわせた保育を行うと、年上の子どもにとっては物足りなく感じることもあるでしょう。年下の子どもが、年上の子どもの遊びにうまく入れないこともあるかもしれません。大きな子どもも小さな子どもも楽しめる保育を行うには、保育内容への工夫が必要です。

また、発達段階によってできることが違うため、せっかく縦割り保育を行っていても、同じ年齢の子どもが集まってしまうことも多いようです。それぞれの年齢の子どもが一緒に遊べるように、保育者が導くことが必要になるかもしれません。

子どもがストレスを感じることも

縦割り保育では、年上の子どもにいじわるをされる、年下の子どもに自分が使っているおもちゃを取られるといった、子ども同士の衝突が増える傾向にあります。こういった子ども同士の関わりは縦割り保育の魅力のひとつでもありますが、家庭のなかで年齢の異なる子どもと接していない子どもにとってはストレスになる場合もあるでしょう。子どもがイライラしている場合には、保育者や家庭でのフォローが必要です。

縦割り保育での子どもたちの遊び方

縦割り保育では、子どもたちはどのように遊ぶのでしょうか。縦割り保育を取り入れている園の方針や、子どもの年齢によって遊び方は異なります。縦割り保育の幼稚園や保育園では下記のような遊びを行うことが多いようです。

■ごっこ遊び(ままごと、お店屋さんごっこ、保育園ごっこなど)
■みんなでお絵描きや製作遊び
■鬼ごっこ
■伝承遊び(花いちもんめ、かごめかごめ、あぶくたったなど)

また、縦割り保育を導入している保育園では、年上の子どもが年下の子どもと手をつないでお散歩に行くこともあるようです。年上の子どもが年下の子どもに交通ルールを教えてあげたり、疲れたときに励ましてあげたりすることもあるでしょう。

縦割り保育を行う保育園に通う子どもの体験談

筆者の子どもが通う保育園では、0歳から6歳までの子どもが同じ部屋で過ごす縦割り保育を導入しています。

1歳児クラスで入園した当時は、3月生まれだったため、下の学年の0歳児と一緒に過ごしていました。この時期は、同じ1歳児でも4~6月生まれのお友だちとは、同じ年とは思えないほど発達の段階が違います。0歳児と一緒に過ごすことで、お昼寝のリズムや散歩のペースなども無理がなく、早生まれだからといって心配する必要がありませんでした。

また、赤ちゃん時代にはお兄さん・お姉さんにとても可愛がってもらっていました。仕事を終えて子どものお迎えに行くたびに「〇〇ちゃん、今日はこんなことできたんだよ!」「〇〇って喋ったよ!」と、お世話好きのお兄さん・お姉さんが保育園での子どもの成長を教えてくれ、嬉しくなったものです。

赤ちゃん時代に年上の子どもから可愛がってもらった体験から、5歳になる現在は、保育園でも赤ちゃんのお世話をよくしているようです。小さな赤ちゃんと遊んであげる様子は、親の目から見ても驚くほど上手で感心しています。

毎年4月に0歳児、1歳児の赤ちゃんが新しく入ってくると、年長児・年中児のお兄さん・お姉さんが、赤ちゃんを取り囲みお世話をする姿が見られます。ママと離れて泣いている赤ちゃんに対して「みんな一緒だから怖くないよ」「もうすぐママのお迎えの時間だよ」と年上の子どもたちが声を掛けている様子は、とても微笑ましいものです。

異年齢の子ども同士で過ごすことで、年下の子どもに思いやりを持つことができるだけでなく、自分の気持ちを言葉で伝える力もついているように感じます。いろいろな子どもと一緒に過ごすからこそ、相手の気持ちも自分の気持ちも大切にできるのかもしれません。

縦割り保育では人とのかかわり方を学べる

少子化によって異年齢の子ども同士で遊ぶ機会が減っているなかで、人とのかかわり方を学べる保育の方法として、縦割り保育を取り入れる幼稚園・保育園が増えています。縦割り保育では、年上の子どもが年下の子どもを自然にお世話することで、ひとりっ子の家庭でも兄弟姉妹がいるような体験ができるでしょう。

これから幼稚園や保育園を選ぼうとしている方は、縦割り保育を行っている園を候補に入れてみても良いかもしれませんね。

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